食堂つばめ (ハルキ文庫 や 10-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 458
レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758437370

感想・レビュー・書評

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  • ぶたぶたシリーズの矢崎在美さんの別シリーズ1作目。
    なんとなく「かもめ食堂」を連想していたけど、全然違う話でした(笑)

    会社員の柳井秀晴は食いしん坊。
    電車の中でうとうとしていたら、見覚えのないところにいました。
    空腹のあまり車内販売を探すが、見つからない。
    販売員らしい女性に、食堂ならあると言われて、サンドイッチを頼みます。
    女性は「ノエ」という名札をつけていました。
    サンドイッチは最初は普通と思ったのですが、美味しいサンドイッチを思い出した途端、異様に美味しくなる!?
    停車駅で降りたのですが‥

    秀晴が次に気がついたら病院で、電車内で倒れたとわかる。
    食堂つばめでの出来事は、どうやら臨死体験だったらしい。
    何かあったらまず腹ごしらえ、と母に言われて育ったのが、幸いしたのか‥?

    美味しい玉子サンドをまた食べたい一心で、再びあの車内の食堂つばめに戻った秀晴。
    謎の女性ノエは、生死の境をさまよう人を出来る限り生の世界へ戻したいと考えているらしい。
    ノエ自身は記憶を失っているらしいのだが。
    ノエの正体とは‥

    最後に食べたいと思うのは何?
    大事な思い出のある食べ物が次々に出てきて、実に美味しそう。
    玉子サンドを食べたくなるのは請け合い~もう何度も食べちゃいましたよ。
    誰もが知っているような食べ物だから、自分の思い出とも重なってきます。

    ぶたぶたシリーズに比べれば、やや曖昧で不思議感のある筆致。
    暗いってほどでもないんですが。
    一言で表現できなくて、ご紹介書くのが遅れました。
    どう展開するのかな?
    美味しい食べ物には安心しつつ、どちらへ転ぶかわからないような感覚を楽しめばいいのかな‥?

  • 矢崎存美さんの小説はぶたぶたさんシリーズのイメージが強くて、他のシリーズに馴染めるだろうか?とドキドキしながら読んだ。
    でも読み終わった今は、食堂つばめの続きも早く読みたくなっている。
    ぶたぶたさんとは違う方法で寄り添ってくれる。そんな作品だと思う。

    体調が悪い時、何も食べられなくなることもある。
    ものすごく落ち込んだ時、何かを食べることさえしたくなくなる。
    緊張している時、食事どころじゃないよなんて気分になる。

    ご飯が美味しく食べられるというのは、心と体が元気な証なのかもしれない。
    だから大切な人が美味しそうにご飯を食べているとほっとする。
    「食べ過ぎ」とか「塩分取り過ぎだよ」とか文句を言いながらも。
    もし暗い顔をして俯いていたら、美味しいものを食べに行こうと誘うだろう。
    大好きなご飯を何としても用意するだろう。
    ご飯がその人の元気になると信じて。

    『食堂つばめ』はそんな想いが溢れている小説。
    目の前を通り過ぎていく今にも死んでしまいそうな人に美味しいご飯を食べましょうと誘う食堂。
    あなたの思い出の味を再現します。
    だから元気を出して、と。

    死の一歩手前まで来たら、そりゃご飯どころじゃない。きっと。
    でも、そんな時だって自分に何か食べさせようと一生懸命になってくれる人がいたら、それだけで救われるだろうと思う。
    どんな時だってその優しさを受け取れる状態でいたい。
    用意してくれたご飯を美味しいと感じられる状態でいたい。
    そう思った。

  • 食べ物の話が読みたくて買ったのですが、謎の答えが知りたくてどんどん読んでしまった。
    読み進むにつれて、霧が晴れるように『あれ、もしかして?』と、先を予想してみるのが楽しい。
    切なくも温まる物語でした。
    やはり、食べることは生きること?
    食べ物にまつわる思い出、家族の話・・・でした。

  • こんな世界観は嫌いではないです。でも、ぶたぶたさんと同じ作者さんだとは思えない。いや、でも食べ物ネタがあるから、そうでもないかな。

    食べ物を食べるときって味もそうですが思い出や物語も一緒に味わっていますよね。なんとなく食べる食事なんて寂しい。色々なものに感謝しながら楽しく食べたいと思います。

    読後に玉子サンドを食べたくなるので読む前に買っておくことをお勧めします。(笑)

  • 設定の弱いところ誤魔化そうとしているのが、気になりました。
    主人公は自由に出入りできて、なおかつ、なんのリスクもなく、出来事も全部おぼえてる。臨死体験から帰ってきた人たちはみんな、後遺症もなく元気。
    御都合主義?それともシリーズが進むにつれて解明される謎なの?

    主人公が臨死体験してるときの、周りの人へのノエの対応が淡白なのに、
    中盤から、帰すことに一生懸命だっていわれても、なんだか納得できず。

  • ふと目が覚めると見慣れない電車の座席にいる主人公。お腹が空いたので食事が取りたいと、乗務員らしき女性に声をかけ、案内してもらった所でサンドイッチを食べる。
    最初不味いハムサンドを食べて、がっかりしたが次の玉子サンドがものすごく美味しくてびっくりする。しかも食べてる間に見た目や味が変わる。
    ここはいったいどこなのか?
    この女性は誰なのか?
    という話。

    話の筋は先読み出来てしまったけど、出てくるご飯が美味しそうでお腹が空きます。
    玉子サンドもいいけど、つきたてのお餅も食べてみたい。

    主人公の好物は「人に作ってもらったご飯」だそうで、それは確かに贅沢なことだしな〜と納得。

  • 謎の女性ノエに導かれ、
    あるはずのない食堂車で今までに食べた事のないほど
    おいしい玉子サンドを食べた秀晴。
    しかし、それはなんと臨死体験だった。
    自らの食い意地のおかげで命拾いしたが
    どうしてもあの玉子サンドを食べたい一心で
    再び生と死の狭間である不思議な「街」にたどり着く…

    思っていたのと違っていてちょっと残念…
    あらすじや帯が料理小説みたいな感じで
    てっきりもっと料理についての話が広がるかと
    思っていたので…
    なんだか話に入り込む前に気づいたら終わってしまって
    いい話ですね…で終わってしまった…
    食べている時の描写も「読んでいて食べたくて
    たまらなくなる」というほどでもなく…

    ただ、死ぬ前に思い出の味がもう一度食べられる
    というのはいいですね…
    自分なら何食べたいかな…やはり母の料理かなぁ…
    そう思うとノエの中でりょうさんより
    キクさんの方が大きかったのはやはり母は強し、
    ということなのかも。

  • 全て購入しているぶたぶたシリーズの作者のやつだったので、つい購入。昔は(失礼な言い方だが)ぶたぶたシリーズを読んでいても文章がそれほど上手くない、と感じていたのだが、今は非常に読みやすく分かりやすい文章なので、ぶたぶた以外でも面白いのでは、と思って。

    面白かったです。うん。

    自分が今一番食べたいものが出てきて、それが臨死状態からの復活のきっかけになる、ってのも面白いネタだと思った。

    まあ、正直言えば、よくあるネタの詰め合わせかな、と思う部分もなくはない。臨死状態から蘇らせる、実はキーパーソンが肉親でした、そのことを相手は忘れてます、などなど。

    でもこの本の本質はそこにはないからねぇ。この本の本質は、「誰もが懐かしい思い出の味、もう一度味わいたい味があって、それが生きる気力を呼び戻させる」というところだから。

    ぶたぶたシリーズといい、著者は「食べ物にはそういう力がある」と信じているところが見受けられる。それは僕も同意する。美味しいものを食べるのはもちろん楽しいし嬉しいのだが、それ以上に「自分のために作ってくれた何かを食べる」というのは、本当に素晴らしいことなんじゃないかな、と思う。家族の間だとそれが当たり前になりすぎているきらいはあるが、そうじゃないんじゃないか、と思わさせられた。

    そういう意味で、主人公たる秀晴の「誰かが作ってくれたものが好き」というのは、「そうだよなぁ、誰かが作ってくれるっていいよね」と言いたくなるよね。特にそれが、一生懸命に作ってくれたものであれば、たとえ不味いものであったとしても、ね。

    そんなことを考えさせてくれる一冊でした。

    ただねー、コレを読んでいくと、りょうさんの存在価値ってなんだろう、って思わざるを得ないんだよね。何となくキーパーソンっぽいんだけど、でも実際のところはノエの夫であり、秀晴の祖父でした、ってこと以外に、存在価値があまりないようにも思えてしまうんだよなぁ。いなくてもいいんじゃね?って。

    シリーズ化されるようだし、著者のブログには続編を書いている、って書かれてたので、今後りょうさんの重要度がどれくらい高まってくるのか、期待して見ていきたい。

    さて、僕の「死ぬ間際に食べたい味」ってなんやろね?基本は美味いざる蕎麦なんだけどなぁ。

  • あの世とこの世とを行き来する不思議な物語ですが、
    美味しい食べ物と共に綴られている心温まる一冊です。

    [あらすじ]----------------------

    会社員の柳井秀春は自他共に認める美味しいもの好きの食いしん坊。
    親からも婚約者からも「食い意地が張っている」と言われるほどの食いしん坊だが、
    ある日、出張帰りの電車の中で不思議な体験をする。
    電車に乗ってウトウトとした眠りから覚めた柳井は、
    猛烈にお腹が空いてしまい車内販売か売店を探しに車内を歩くが、
    謎の少女ノエに誘われて電車にはあるはずの無い食堂車に連れて行かれる。
    そこで出てきたのは今まで食べたことの無いとても美味しいタマゴサンド。
    夢中になって食べた柳井がノエに言われるままに電車を降りると、
    いつの間にか病院のベッドの上で寝ている自分に気づく。
    柳井は新幹線の中で倒れてしまいそのまま生死の境をさまよっていたようだ。
    不思議な体験をした柳井は再びノエに会うことになるが。。。

    ーーーーー----------------

    この物語にはたくさんの食事が出てきますが、
    どれもこれも美味しそうな食べ物ばかり。
    物語を読んでいてお腹がグルッと鳴ってしまいました。

    「臨死体験をした」となると深刻な内容だと思われてしまいますが、
    不思議な世界が日常的に軽いタッチで書かれていて、
    生と死の境目にある街のこともさらっとした文章で描かれています。

    謎の美少女ノエはどういう役割なのか。
    なぜ美味しい食事を作ってくれるのか。
    食堂の名前はなぜ「食堂つばめ」なのか。
    そんな謎も読み進めて行くうちに心温まる結末を迎えます。

    さすがに「ぶたぶたシリーズ」で心温まる物語を書き続けている矢崎ありみさん。
    今回も美味しい食べ物の表現と心温まるストーリン展開はさすがでした。
    ぜひ続編を出して欲しいと切に願っています。

  • 『食堂かたつむり』に、タイトルが似て…というか、二番煎じか?と思わせられるだけで、ずいぶん損をしているのでは。

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著者プロフィール

埼玉県出身。1985年、星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞。’89年に作家デビュー。「ぶたぶた」シリーズなど著作多数。

「2017年 『繕い屋 月のチーズとお菓子の家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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