食堂つばめ (ハルキ文庫 や 10-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758437370

感想・レビュー・書評

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  • ぶたぶたシリーズの矢崎在美さんの別シリーズ1作目。
    なんとなく「かもめ食堂」を連想していたけど、全然違う話でした(笑)

    会社員の柳井秀晴は食いしん坊。
    電車の中でうとうとしていたら、見覚えのないところにいました。
    空腹のあまり車内販売を探すが、見つからない。
    販売員らしい女性に、食堂ならあると言われて、サンドイッチを頼みます。
    女性は「ノエ」という名札をつけていました。
    サンドイッチは最初は普通と思ったのですが、美味しいサンドイッチを思い出した途端、異様に美味しくなる!?
    停車駅で降りたのですが‥

    秀晴が次に気がついたら病院で、電車内で倒れたとわかる。
    食堂つばめでの出来事は、どうやら臨死体験だったらしい。
    何かあったらまず腹ごしらえ、と母に言われて育ったのが、幸いしたのか‥?

    美味しい玉子サンドをまた食べたい一心で、再びあの車内の食堂つばめに戻った秀晴。
    謎の女性ノエは、生死の境をさまよう人を出来る限り生の世界へ戻したいと考えているらしい。
    ノエ自身は記憶を失っているらしいのだが。
    ノエの正体とは‥

    最後に食べたいと思うのは何?
    大事な思い出のある食べ物が次々に出てきて、実に美味しそう。
    玉子サンドを食べたくなるのは請け合い~もう何度も食べちゃいましたよ。
    誰もが知っているような食べ物だから、自分の思い出とも重なってきます。

    ぶたぶたシリーズに比べれば、やや曖昧で不思議感のある筆致。
    暗いってほどでもないんですが。
    一言で表現できなくて、ご紹介書くのが遅れました。
    どう展開するのかな?
    美味しい食べ物には安心しつつ、どちらへ転ぶかわからないような感覚を楽しめばいいのかな‥?

  • 矢崎存美さんの小説はぶたぶたさんシリーズのイメージが強くて、他のシリーズに馴染めるだろうか?とドキドキしながら読んだ。
    でも読み終わった今は、食堂つばめの続きも早く読みたくなっている。
    ぶたぶたさんとは違う方法で寄り添ってくれる。そんな作品だと思う。

    体調が悪い時、何も食べられなくなることもある。
    ものすごく落ち込んだ時、何かを食べることさえしたくなくなる。
    緊張している時、食事どころじゃないよなんて気分になる。

    ご飯が美味しく食べられるというのは、心と体が元気な証なのかもしれない。
    だから大切な人が美味しそうにご飯を食べているとほっとする。
    「食べ過ぎ」とか「塩分取り過ぎだよ」とか文句を言いながらも。
    もし暗い顔をして俯いていたら、美味しいものを食べに行こうと誘うだろう。
    大好きなご飯を何としても用意するだろう。
    ご飯がその人の元気になると信じて。

    『食堂つばめ』はそんな想いが溢れている小説。
    目の前を通り過ぎていく今にも死んでしまいそうな人に美味しいご飯を食べましょうと誘う食堂。
    あなたの思い出の味を再現します。
    だから元気を出して、と。

    死の一歩手前まで来たら、そりゃご飯どころじゃない。きっと。
    でも、そんな時だって自分に何か食べさせようと一生懸命になってくれる人がいたら、それだけで救われるだろうと思う。
    どんな時だってその優しさを受け取れる状態でいたい。
    用意してくれたご飯を美味しいと感じられる状態でいたい。
    そう思った。

  • 食べ物の話が読みたくて買ったのですが、謎の答えが知りたくてどんどん読んでしまった。
    読み進むにつれて、霧が晴れるように『あれ、もしかして?』と、先を予想してみるのが楽しい。
    切なくも温まる物語でした。
    やはり、食べることは生きること?
    食べ物にまつわる思い出、家族の話・・・でした。

  • 「ぶたぶた」シリーズが好きで、ふと見つけて読んでみた。

    ぶたぶたさんとはまたちょっと違うけれど、物語の雰囲気は好き。凄くスラスラと読めて、あっという間に読んでしまった。

    覚悟はしていたけど、美味しそうなご飯がたっぷり。
    寝る前に本を読む事が多いから、お腹が空かないように気をつけてた。
    あー、食べてみたい!!

    さて、今後どんな展開になっていくのかが楽しみだな。どんな美味しい料理が出るのかも。

  • こんな世界観は嫌いではないです。でも、ぶたぶたさんと同じ作者さんだとは思えない。いや、でも食べ物ネタがあるから、そうでもないかな。

    食べ物を食べるときって味もそうですが思い出や物語も一緒に味わっていますよね。なんとなく食べる食事なんて寂しい。色々なものに感謝しながら楽しく食べたいと思います。

    読後に玉子サンドを食べたくなるので読む前に買っておくことをお勧めします。(笑)

  • 主人公の食い意地が、自分の生死を分けたっていうのが面白いなって思いました。私もかなりの食いしん坊なので、主人公に好印象!
    設定はどうなってるんだろう?と読み出してから疑問だったんですが、ちゃんと読み進めていく中で、理解出来ました。本当に主人公と同じように迷った感覚になります。最後のひいばあちゃんのお話が、個人的には好きです。なぜ、ツバメという名前をお店につけたのか、思い出って相手が覚えてなくて悲しくなるけど、自分が覚えていればずっと忘れないというメッセージがちょっとうるっとしました。2巻もすごく楽しみです!

  • 設定の弱いところ誤魔化そうとしているのが、気になりました。
    主人公は自由に出入りできて、なおかつ、なんのリスクもなく、出来事も全部おぼえてる。臨死体験から帰ってきた人たちはみんな、後遺症もなく元気。
    御都合主義?それともシリーズが進むにつれて解明される謎なの?

    主人公が臨死体験してるときの、周りの人へのノエの対応が淡白なのに、
    中盤から、帰すことに一生懸命だっていわれても、なんだか納得できず。

  • ふと目が覚めると見慣れない電車の座席にいる主人公。お腹が空いたので食事が取りたいと、乗務員らしき女性に声をかけ、案内してもらった所でサンドイッチを食べる。
    最初不味いハムサンドを食べて、がっかりしたが次の玉子サンドがものすごく美味しくてびっくりする。しかも食べてる間に見た目や味が変わる。
    ここはいったいどこなのか?
    この女性は誰なのか?
    という話。

    話の筋は先読み出来てしまったけど、出てくるご飯が美味しそうでお腹が空きます。
    玉子サンドもいいけど、つきたてのお餅も食べてみたい。

    主人公の好物は「人に作ってもらったご飯」だそうで、それは確かに贅沢なことだしな〜と納得。

  • うーん、普通

  • 謎の女性ノエに導かれ、
    あるはずのない食堂車で今までに食べた事のないほど
    おいしい玉子サンドを食べた秀晴。
    しかし、それはなんと臨死体験だった。
    自らの食い意地のおかげで命拾いしたが
    どうしてもあの玉子サンドを食べたい一心で
    再び生と死の狭間である不思議な「街」にたどり着く…

    思っていたのと違っていてちょっと残念…
    あらすじや帯が料理小説みたいな感じで
    てっきりもっと料理についての話が広がるかと
    思っていたので…
    なんだか話に入り込む前に気づいたら終わってしまって
    いい話ですね…で終わってしまった…
    食べている時の描写も「読んでいて食べたくて
    たまらなくなる」というほどでもなく…

    ただ、死ぬ前に思い出の味がもう一度食べられる
    というのはいいですね…
    自分なら何食べたいかな…やはり母の料理かなぁ…
    そう思うとノエの中でりょうさんより
    キクさんの方が大きかったのはやはり母は強し、
    ということなのかも。

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著者プロフィール

一九六四年、埼玉県生まれ。八五年、矢崎麗夜名義で星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞し、八九年『ありのままなら純情ボーイ』で作家デビュー。主な著書に「ぶたぶた」シリーズ、「食堂つばめ」シリーズ、「NNNからの使者」シリーズ、『あなたのための時空のはざま』など。

「2022年 『おいしい旅 想い出編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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