美雪晴れ―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
4.25
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本棚登録 : 2683
レビュー : 416
  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758438049

作品紹介・あらすじ

名料理屋「一柳」の主・柳吾から求婚された芳。悲しい出来事が続いた「つる家」にとってそれは、漸く訪れた幸せの兆しだった。しかし芳は、なかなか承諾の返事を出来ずにいた。どうやら一人息子の佐兵衛の許しを得てからと、気持ちを固めているらしい-。一方で澪も、幼馴染みのあさひ太夫こと野江の身請けについて、また料理人としての自らの行く末について、懊悩する日々を送っていた…。いよいよ佳境を迎える「みをつくし料理帖」シリーズ。幸せの種を蒔く、第九弾。

感想・レビュー・書評

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  • 又次を喪った悲しみから少しずつ前に進み出すつる家の面々。芳は一柳に嫁ぎ、澪は野江を身請けする手立てとして鼈甲珠を吉原で売り出そうと決意する。

    料理人としての驕りを自覚できず、番付を気にしていた頃からは考えられないほど、しっかりと芯のある強い女性に成長した澪。世間知らずで危なっかしいけれど、彼女ならきっと大丈夫。

    百合根まんじゅう、食べたい。

    次が最終巻ということで寂しくもありますが、大団円を祈って。。。ゆっくり読もうと思います。

  • みをつくし料理帖シリーズも第9弾となり、いよいよ次は最終巻とのこと。
    巻末の既刊本紹介のページを読めば、それぞれの本には『追憶』『覚悟』『転機』『悲涙』『決意』といった言葉が添えられている。澪の過ごしてきた日々には想像を絶するような辛いことも多く、よくぞここまで乗り越えてきたと思わずにいられない。
    ただ耐えるばかりではない。厳しく哀しい現実の中でも、心を和ませてくれる小さな喜びを見出して、困難を乗り越えて人生の糧とする。
    凛として潔く、しなやかで逞しい。

    そんな澪を支え共に喜びや哀しみを分かち合ってきた周りの人々との暮らしを読むことができるのも、あとわずか。
    きっと何か嬉しい結末が待っていると信じているけれど、
    早く先が読みたいと思うけれど、
    寂しくなるなあ・・・。

    さて、本書ではご寮さんが老舗の料亭・一柳の主人に嫁ぐことを決意し、「つる家」の面々と寿ぎの日を迎えるまでいつもと変わらない毎日を丁寧に過ごしていく。
    思い出されることはあれこれあるけれど、ご寮さんの幸せを精一杯願って、笑顔で送り出そうとするさまが愛おしくてならない。

    いよいよ終盤ということで、澪の進もうとする料理人としての道も見通しが立ち、ご寮さんの息子の再起も匂わされ、あさひ太夫の身請けに奔走する澪にも一筋の光が・・・。
    それぞれの話に中心となる人物はいるが、周りの登場人物に起こる変化もきちんと書かれていて、奥行きのある人情味豊かな話を堪能できた。

    坂村堂の食事シーンは、いつ読んでもおいしそうに味わう姿が目に浮かぶ。季節の食材を豊かな風味の出汁や出会いのものと一緒に調理し、相手の喜ぶ顔を想像しながら提供する。
    確かに、澪の料理は一貫しておいしく値打ちな旬のものを、食べる人の身になって料理する。今までは職人のように、そのことだけを考えて仕事をしていたように見えたが、ゆるぎない芯がはっきりしてよい意味でのしたたかさも身につけたようだ。
    その彼女を遠くから見守り、意図せず考えを整理し明らかにしてくれる源斉先生。
    この人もずいぶん、存在感が増してきました。

    レビューを書きながら、ここまでのストーリーを思い出していてふいに思う。
    私たちの毎日は昨日と同じ様でありながら、異なる今日を生きている。
    そういう日々を重ねて、1年、2年と過ぎていき振り返ってみれば、
    追憶やら覚悟、悲涙や決意があり、
    あああれが転機だったと思うこともある。
    澪ほど過酷な人生ではないにせよ、我々にも何かしら、記憶に深く刻まれることが起こっている。
    今まで本の中の皆がゆっくりと立ち上がり前を向いて歩いていく姿に励まされてきました。
    新刊が出るのを待ちながら、友人たちと感想を話して楽しんできましたし、
    本の楽しみ方もずい分広がりました。
    私にとって、これからも大切にしたいシリーズなのです。

  • みをつくし料理帖9作目。
    次で完結とのこと。
    丁寧に、色々な事がいい方向へ向かっていく様子に、あちこちで泣きそうになります。

    名料理屋「一柳」の店主・柳吾に求婚されたご寮さんこと、芳。
    母娘同様に寄り添って生きてきた澪にとっても、嬉しい話だが、時には寂しさも感じます。
    「つる家」の面々も、婚礼を心待ちに。
    芳は一人息子の佐兵衛の許しを得てからと考えていた。

    店の手伝いには、一柳からお臼という大柄な気のいい女性が助っ人に。
    いずれは澪が店を出ることを考えて、料理人も探してもらう。
    皆いい人ばかりで、ほっこり、じんわり。

    柳吾は、澪の才能を生かしたいと、一柳の板場に入るように誘う。
    驚愕する澪。芳と別れなくて済むのは嬉しい、芳の亡き夫でかっての主人のような名料理人を目指すならば、それは願ってもないこと。だが‥

    吉原であさひ太夫となっている幼馴染の野江。
    澪の力で身請けするのが目標なのですが、さすがにこれだけは大問題として残っています。
    澪は吉原で鼈甲珠を売り出すことを計画します。
    実行に移してみると‥

    料理人としてどの道を行くか。
    迷う澪に、ずっと見守ってくれていた源斉先生の温かな言葉が‥
    少しずつ存在感を増している先生ですが‥?

    神帰り月―――味わい焼き蒲鉾
    美雪晴れ―――立春大吉もち
    華燭―――宝尽くし
    ひと筋の道―――昔ながら

    主なお料理は4品。
    蒲鉾が高価なものだったことや関西関東の違いなど、面白かったです。
    こういうお料理を出してくれるお店が近くにあったらなぁ!

  • いよいよ次で完結と知り、これはもう買ってしまうかという気持ちを抑えて待っていたのですが、きっと最終巻は発売日に買うね、これは。
    ほんとは終わってほしくないけど、待ち遠しい。

    ああ、みんな幸せになってくれるといいなぁ。
    それぞれの思いが届いて、まっすぐ道を進んでいけるといいなぁ。

    母代りの芳が一柳の女将となり、つる家は新しい奉公人と料理人を迎え、澪は野江の身請けという心願を叶えるため、そして料理人としての心星見つけるため新たな転機を迎えます。

    今回は源斉先生だったなぁ…



    (2014年8月29日 再読)

  • 読んでてすごく安心する。
    ほんわかする。

    どの登場人物もいい人なんだよな〜
    江戸っ子だから、口は悪くてもいい人なんだよ〜

    次巻が最終巻ということで、だんだんといろんなことが片付いてきた。

    澪もだんだん成長してきた。
    最初の頃やったら、すぐこのうまい話に乗ってたんやろな〜と感慨深い(笑)

    さてさて、次巻はいよいよ小松原様も久しぶりに登場するということですごく楽しみ。


    野江ちゃんとどうなるのか…
    きっといろんな意味で泣いてしまうんやろな〜

    だって、この巻で又さんのことが書かれてるだけで泣きそうになるもん。

    早く読みたいような、まだまだ終わって欲しくないような…

  • たくさんの困難があったこれまでと違い、着実に幸せが積み重なっていきます。
    芳の結婚、身請けの話、つる屋の今後、そして源斎先生との温かな関係。
    別離もあるけれど、希望が見える巻です。

    澪が作ってきた人と人の関係が、澪を助けてくれる。
    澪が真っ直ぐに自分自身の思いと、道とに誠実に向き合ってきた結果が結ばれつつある、そう感じます。

    個人的には小松原さま派なのですが、源斎先生の一貫した姿勢には安心感がありますね。
    恋とは違うけれど、尊敬し、慕い合うことのできる関係が築かれるように思います。
    小松原こと、小野寺さまのその後の話も素敵でした。

  • 晩秋から年末年始を経て、弥生晦日まで。
    凍える寒さの中に春の兆しが現れ、やがて花咲く季節を迎える。
    兆しは人にも・・・ひとつきりの道が澪に示される。
    ・神帰月・・・蒲鉾作りに試行錯誤し、奮闘する澪。
       客の笑顔が見られる健やかで美味しい料理を・・・澪の心意気が
       感じられる作品。そして、芳と柳吾の関係にも動きが。
       柳吾が芳に差し出したものは!
    ・美雪晴れ・・・辛い一年だった。でも嬉しいこともあった。
       年末年始を一柳で過ごした芳と澪。
       芳と過ごす時間はあと僅か。そんな澪に柳吾は提案する。
       そして美雪晴れの天のもと、訪れた摂津屋と澪との会話は。
    ・華燭・・・つる家の新しい料理人が決まる。縁とは面白きもの。
        芳の華燭の宴が近づき、宴用の一品に思い巡らす澪に、
        源斉から思いがけない話が。そして佐兵衛。
        潰えたはずの夢。だが人と人との縁は華燭の光のように
        結ばれる。その温もりは宝尽くしの料理のように。   
    ・ひと筋の道・・・花見見物の客でごった返す吉原で、澪は鼈甲珠を
        売り出す。初手は失敗で悩むが、失火し坂村堂の家に
       身を寄せる美緒の成長と心の強さに影響され、工夫を重ねる。
       その姿を見守るつる家の面々。傍観する。伝右衛門と摂津屋。
       そして澪の心の迷いを断ち切ったのは、源斉の言葉だった。
    ・巻末附録 澪の料理帖・・・物語の副題になっている料理のレシピ。
    ・特別付録 みをつくし瓦版・・・「りうの質問箱」作者への質問。
    ・特別収録 富士日和・・・茶屋で語らう数馬と紋次郎。
             紋次郎が持参した料理に、かの娘の成長を知る。
    蒔かれた幸せの種。寒い季節を乗り越えて、春の兆しと共に芽生え、
    花開くだろう。そんな幸せの兆し。
    つる家の今後に安心感をもたらす政吉とお臼。
    太一を気に掛ける辰政。柳吾に嫁いだ芳。佐兵衛の行く末。
    過酷な運命にさらされながらも皆を守ろうとする美緒。
    そして、澪。強く成長する彼女に異なれど真摯に助言を与える
    柳吾と清右衛門。注目する伝右衛門と摂津屋。
    長く彼女を見つめてきた源斉の言葉「食は人の天なり」
    どういう完結を迎えるか、期待が高まりました。

  • 冒頭からご寮さんがらみが続いて、
    もう涙腺が緩みっぱなし。
    号泣はしないけれど、心をぎゅっと掴んで、
    ほろりとさせる。
    これまでの苦難とそこに関わった人の情を思う。

    料理と季節感と心情の絡ませ方が、ますます冴えている。
    蒲鉾と黒豆の違いも興味深かった。

    佳境だとは思っていたけれど、次が最終なんて。
    四千両に佐兵衛、ふき、早々には片付かない問題が、
    あと一冊でどうにかなるのか。
    長々と続けるのは良くない。
    10冊で終わらせる。その心意気には喝采。
    不安。と同時に期待。

  • +++
    名料理屋「一柳」の主・柳吾から求婚された芳。悲しい出来事が続いた「つる家」にとってそれは、漸く訪れた幸せの兆しだった。しかし芳は、なかなか承諾の返事を出来ずにいた。どうやら一人息子の佐兵衛の許しを得てからと、気持ちを固めているらしい―。一方で澪も、幼馴染みのあさひ太夫こと野江の身請けについて、また料理人としての自らの行く末について、懊悩する日々を送っていた…。いよいよ佳境を迎える「みをつくし料理帖」シリーズ。幸せの種を蒔く、第九弾。
    +++

    前作では、哀しい出来事が次々に起こり、意気消沈していたつる家の面々である。本作では料理屋「一柳」の主・柳吾と芳の縁談に始まり、いずれつる家を旅立つ澪のあとを任せる板前・政吉も決まり、妻のお臼とともに、つる家に馴染み、あさひ太夫の身請け金を稼ぐ算段も少しずつ見えてきた。誰もがお互いのことを慮るつる家の面々とその周りの人たち。そして、おいしそうに料理をほおばるお客たち、もちろん澪が毎度工夫して拵える料理の数々。どれをとっても胸のなかにぽっと灯がともるようである。最後の最後の特別収録「富士日和」で小松原にも会わせてもらえた。次作では野江ちゃんとじっくり再開できるだろうか。待ち遠しいシリーズである。

  • このサイトで発売日に気づき、急いで購入。
    本屋にあって良かった...。
    前巻から発売まで一年?程間が空いたので、ちょっと記憶喪失気味だが、澪ちゃんの願いが叶いますように。
    そしてまさかの特別収録。美しい料理と共に、思わず涙が。この作品読んでると涙が滲んで仕方ない。涙もろいのは私だけか。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「涙もろいのは私だけか。」
      いえいえ、「みをつくし」シリーズを読んでいる人は皆そうです。。。
      「涙もろいのは私だけか。」
      いえいえ、「みをつくし」シリーズを読んでいる人は皆そうです。。。
      2014/06/19
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