美雪晴れ: みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-11 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 3919
感想 : 501
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758438049

作品紹介・あらすじ

名料理屋「一柳」の主・柳吾から求婚された芳。悲しい出来事が続いた「つる家」にとってそれは、漸く訪れた幸せの兆しだった。しかし芳は、なかなか承諾の返事を出来ずにいた。どうやら一人息子の佐兵衛の許しを得てからと、気持ちを固めているらしい-。一方で澪も、幼馴染みのあさひ太夫こと野江の身請けについて、また料理人としての自らの行く末について、懊悩する日々を送っていた…。いよいよ佳境を迎える「みをつくし料理帖」シリーズ。幸せの種を蒔く、第九弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「食は、人の天なり」

    町医者の源斉先生の言葉により自らが目指す料理人としてのあり様を見定めた澪
    そして新たな道を歩みだすつる屋の面々、えーもうなんかこの期に及んでなんか大きな展開ですけど、大丈夫なん?あと一巻しかないで!の『みをつくし料理帖』シリーズの九

    そう言えば源斉先生もずっと暖かく澪を見守り、時には厳しく導いてくれた人なんよなぁ
    許す!おいちゃん許す!もう源斉先生とだったら許すで!

    それにしても一柳の主、柳吾がかっこええのよね
    なんていうの料理人としても一流なんだけど人しても一流なんよ一柳だけに(いらんいらん)

    さぁ次は最終巻だ!

  • いゃ〜、こいつはいけねぇ。
    この巻の話は一つ一つが良すぎて、毎回目から汗が出てきちまうよぅ。
    お芳さんの嫁入りも、新たに迎えた政吉夫婦も全ての登場人物がいい味出してる!
    一気に柳吾のファンになっちまった。

    巻末の小松原さまのその後も良かった。

    次はいよいよ最終巻!

    どのような結末が待っているのかとても楽しみです!超オススメ!

  • ここで読むのをやめようか...。
    だって後ラスト1巻を残すのみになってしまった..。この世界が終わるのもったいなさすぎる。

    やっと江戸の、澪の未来への空が少しずつ明るくなってきた。この巻で見えた澪の商才。きっとラストは「雲外蒼天」になるだろう。でもその中でもまだ一抹の寂しさ、苦しみあり。...もうどこまで!もう幸せにしてあげて!トントンと!
    「こいつはとんでもなくいけねぇよ、お澪坊!」

    • hibuさん
      あー、わかります!
      一抹の寂しさがありますもんねー。
      ラストをしっかり噛み締めて味わってくださいねー♪
      あー、わかります!
      一抹の寂しさがありますもんねー。
      ラストをしっかり噛み締めて味わってくださいねー♪
      2023/12/21
    • へぶたんさん
      わ〜hibuさん♪コメントありがとうございます。

      そうなんですよ、幸せになっていくのになぜか後ろに寂しさがあるっていう...(ToT)
      で...
      わ〜hibuさん♪コメントありがとうございます。

      そうなんですよ、幸せになっていくのになぜか後ろに寂しさがあるっていう...(ToT)
      でもこの儚い感じ、ラストまでモグモグカミカミ味わい尽くしますよー!!
      2023/12/21
  • 料理人としてのお澪坊の行き着く先は?

    ようやく見つけたね〜お澪坊!
    源斉先生がまたまた行き先を示してくれた(/ _ ; )

    なんて素晴らしい人なんだ!源斉先生!

    さぁどんなラストになるのか?
    いよいよ次巻で終わっちゃうよぅ…。゚(゚´Д`゚)゚。




    • 土瓶さん
      みんみんさん、こんにちは~^^
      終わって欲しくないシリーズに出会えるなんて幸せですね。
      時代物で人情物で料理物なのかな?
      今度、手を出...
      みんみんさん、こんにちは~^^
      終わって欲しくないシリーズに出会えるなんて幸せですね。
      時代物で人情物で料理物なのかな?
      今度、手を出してみようかな~。
      2023/01/07
    • みんみんさん
      土瓶さんお久しぶりです〜♪
      メロンとわたしの大好きな王道だす‼︎

      主人公のまわりは良い人!
      めちゃくちゃ助けてもらいながら夢を叶える最高ス...
      土瓶さんお久しぶりです〜♪
      メロンとわたしの大好きな王道だす‼︎

      主人公のまわりは良い人!
      めちゃくちゃ助けてもらいながら夢を叶える最高スッキリ市井小説\(//∇//)\
      2023/01/07
  • 又次を喪った悲しみから少しずつ前に進み出すつる家の面々。芳は一柳に嫁ぎ、澪は野江を身請けする手立てとして鼈甲珠を吉原で売り出そうと決意する。

    料理人としての驕りを自覚できず、番付を気にしていた頃からは考えられないほど、しっかりと芯のある強い女性に成長した澪。世間知らずで危なっかしいけれど、彼女ならきっと大丈夫。

    百合根まんじゅう、食べたい。

    次が最終巻ということで寂しくもありますが、大団円を祈って。。。ゆっくり読もうと思います。

  • 江戸の世、火事は重罪だった。失火とは、今で言えば過失による出火ということになろうが、それでもお家取り潰しのような厳しい裁きを受けたようである。日本橋の大店である澪の友人、美緒の家も出火で財産をほぼ没収されたうえ、所払いを命じられている。現代の人権尊重が標準的な考え方となった世の中では考えられない仕打ちだが、火事に対して江戸の世で問われる罪は本当に厳しかったといえよう。本作の最後で、澪はつる家の料理人を退くにあたり、近くの空き家を借りた。その家もまた、かつて出火してしまい、夜逃げした料理店を営んでいた家だった。このときの火事がもとで火の使用が厳しく制限されて、結果、割籠(わりご)なる弁当をつる家が売り出した話も、今は懐かしい。

    これまでつる家に集い、身を寄せ合って料理店を盛り立ててきた人も、少しずつ新たな道を模索し始める。澪もまた、つる家を出ることを決めた。それに先立って、澪の母親代わりでもあるご寮さんこと芳も、新たな人生へと足を踏み出した。澪は、自身が生み出した「鼈甲珠」なる卵の黄身を用いた料理を引っ提げて、それを足掛かりに料理人としての次のステージを開拓し始めた。今や江戸でも著名な女料理人となった澪には有名店からのオファーもあるが、「ある目的」に向かって邁進する澪は容易に首肯しない。その結果がどうなるのか? 次なる最終巻『天の梯』の最大の読みどころだと思っている。

    思えば、『みをつくし料理帖』において、物語が転機を迎えるきっかけは多くの場合火事が関わっていたような気がする。火事はいろいろな人たち、そして多くの物たちの運命を変化させる。辛い経験を経て、人々の思いは新たな交錯を生み、それが次なる物語へと昇華していったように思えるのだ。吉原の最上級廓であさひ太夫がいる「翁屋」、そこには吉原の炎上から生まれた摂津屋との邂逅があった。摂津屋は、その後の澪が辿る運命をおそらくは冷徹な目で見ている。別のところでは、「ある目的」を澪に授けた戯作者、清右衛門もまた。そして、名医源斉は澪のよき理解者であり、時にはアドバイザーとして、静かに澪を見続ける。澪がすばらしいと思うのは、これらの人々の言葉にまずは耳を傾け、しかしそれらの言葉に全面的に流されることなく、自ら言葉を咀嚼して自分なりの行く末を決めるところである。この澪が持つ特性が、思えばこの物語の最大の牽引力となっていた。

    さらには、本作における「越後屋」的ポジションともいえる登龍楼もまた、念願の吉原に新店を出店し、相変わらず荒稼ぎをしている。登龍楼と翁屋の静かなる対立が最終的にどう展開するのかも気になるところだ。

    全十巻のうち、本作ですでに九巻を読み終えた。澪をめぐる物語も、いよいよクライマックスとなる。高田郁という名うての時代小説家はどんな大団円を用意しているのだろう。宴の支度は整った。宴に必要な料理の下拵えもおそらくは終わっているだろう。料理でいえば、あとは仕上げるだけ。澪という女料理人を、どんな料理に仕立て上げるのか? あっという間に最終巻に辿り着いてしまったが、わくわくするような期待感は高まるばかりである。

  • みをつくし料理帖9作目。
    次で完結とのこと。
    丁寧に、色々な事がいい方向へ向かっていく様子に、あちこちで泣きそうになります。

    名料理屋「一柳」の店主・柳吾に求婚されたご寮さんこと、芳。
    母娘同様に寄り添って生きてきた澪にとっても、嬉しい話だが、時には寂しさも感じます。
    「つる家」の面々も、婚礼を心待ちに。
    芳は一人息子の佐兵衛の許しを得てからと考えていた。

    店の手伝いには、一柳からお臼という大柄な気のいい女性が助っ人に。
    いずれは澪が店を出ることを考えて、料理人も探してもらう。
    皆いい人ばかりで、ほっこり、じんわり。

    柳吾は、澪の才能を生かしたいと、一柳の板場に入るように誘う。
    驚愕する澪。芳と別れなくて済むのは嬉しい、芳の亡き夫でかっての主人のような名料理人を目指すならば、それは願ってもないこと。だが‥

    吉原であさひ太夫となっている幼馴染の野江。
    澪の力で身請けするのが目標なのですが、さすがにこれだけは大問題として残っています。
    澪は吉原で鼈甲珠を売り出すことを計画します。
    実行に移してみると‥

    料理人としてどの道を行くか。
    迷う澪に、ずっと見守ってくれていた源斉先生の温かな言葉が‥
    少しずつ存在感を増している先生ですが‥?

    神帰り月―――味わい焼き蒲鉾
    美雪晴れ―――立春大吉もち
    華燭―――宝尽くし
    ひと筋の道―――昔ながら

    主なお料理は4品。
    蒲鉾が高価なものだったことや関西関東の違いなど、面白かったです。
    こういうお料理を出してくれるお店が近くにあったらなぁ!

  • みをつくし料理帖シリーズも第9弾となり、いよいよ次は最終巻とのこと。
    巻末の既刊本紹介のページを読めば、それぞれの本には『追憶』『覚悟』『転機』『悲涙』『決意』といった言葉が添えられている。澪の過ごしてきた日々には想像を絶するような辛いことも多く、よくぞここまで乗り越えてきたと思わずにいられない。
    ただ耐えるばかりではない。厳しく哀しい現実の中でも、心を和ませてくれる小さな喜びを見出して、困難を乗り越えて人生の糧とする。
    凛として潔く、しなやかで逞しい。

    そんな澪を支え共に喜びや哀しみを分かち合ってきた周りの人々との暮らしを読むことができるのも、あとわずか。
    きっと何か嬉しい結末が待っていると信じているけれど、
    早く先が読みたいと思うけれど、
    寂しくなるなあ・・・。

    さて、本書ではご寮さんが老舗の料亭・一柳の主人に嫁ぐことを決意し、「つる家」の面々と寿ぎの日を迎えるまでいつもと変わらない毎日を丁寧に過ごしていく。
    思い出されることはあれこれあるけれど、ご寮さんの幸せを精一杯願って、笑顔で送り出そうとするさまが愛おしくてならない。

    いよいよ終盤ということで、澪の進もうとする料理人としての道も見通しが立ち、ご寮さんの息子の再起も匂わされ、あさひ太夫の身請けに奔走する澪にも一筋の光が・・・。
    それぞれの話に中心となる人物はいるが、周りの登場人物に起こる変化もきちんと書かれていて、奥行きのある人情味豊かな話を堪能できた。

    坂村堂の食事シーンは、いつ読んでもおいしそうに味わう姿が目に浮かぶ。季節の食材を豊かな風味の出汁や出会いのものと一緒に調理し、相手の喜ぶ顔を想像しながら提供する。
    確かに、澪の料理は一貫しておいしく値打ちな旬のものを、食べる人の身になって料理する。今までは職人のように、そのことだけを考えて仕事をしていたように見えたが、ゆるぎない芯がはっきりしてよい意味でのしたたかさも身につけたようだ。
    その彼女を遠くから見守り、意図せず考えを整理し明らかにしてくれる源斉先生。
    この人もずいぶん、存在感が増してきました。

    レビューを書きながら、ここまでのストーリーを思い出していてふいに思う。
    私たちの毎日は昨日と同じ様でありながら、異なる今日を生きている。
    そういう日々を重ねて、1年、2年と過ぎていき振り返ってみれば、
    追憶やら覚悟、悲涙や決意があり、
    あああれが転機だったと思うこともある。
    澪ほど過酷な人生ではないにせよ、我々にも何かしら、記憶に深く刻まれることが起こっている。
    今まで本の中の皆がゆっくりと立ち上がり前を向いて歩いていく姿に励まされてきました。
    新刊が出るのを待ちながら、友人たちと感想を話して楽しんできましたし、
    本の楽しみ方もずい分広がりました。
    私にとって、これからも大切にしたいシリーズなのです。

  • みをつくし料理帖 第9弾。『食は、人の天なり』

  • シリーズ9作目

    澪は料理人として目指す道が見えてきた!
    嘉兵衛や柳吾、それに芳の想いとは決別することになるが、そうまでしても貫きたいひと筋の道。
    次の最終作が楽しみ

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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