キャベツ炒めに捧ぐ (ハルキ文庫 い 19-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 643
感想 : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758438414

感想・レビュー・書評

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  • お総菜屋さんで働く還暦を過ぎた、独身女性の郁子、江子、麻津子の三人の女性。
    郁子は死別、江子は離婚、麻津子は未婚と状況は違いますが毎日、共に働きながら、美味しい料理を作り、若いお米屋さんの進くんを追いかけたり、元夫や恋人もいて、淋しくてメソメソしたりは決してしていない三人。
    三人共料理がとても上手いことも人生楽しめる秘訣かとも思いました。

    季節ごとのお惣菜がとても美味しそうです。
    材料を一目見て、メニューがいくつも思い浮かぶところなど「さすがお総菜屋さん!」と思いました。
    ある一日のメニュー「茸の混ぜご飯・茄子の揚げ煮・茸入り肉じゃが・秋鮭の南蛮漬け・蒸し鶏と小松菜の梅ソース・豚モモとじゃがいもの唐揚げパセリソース・白菜とリンゴとチーズと胡桃のサラダ・さつまいもとソーセージのカレーサラダ・定番のひじき煮とコロッケと浅漬け各種十一種類」。すごい!美味しそう!今の季節にぴったりです。

    食が充実していると、老後(今の還暦はまだまだ若いと思いますが)一人になっても気持ちが暗くならないし、あとはこんな愉快な、友だちとか同僚など仲間がいるといいのかもしれないと思いました。
    その点、男性より料理する習慣のある人が多い女性の方が元気かもしれないと思いました。
    でも、最近は料理のできる男性も多いですよね。
    食が充実していると心も体も健康が保ちやすいのだろうなと思いました。

    私も最近、本ばかり読んでいて料理の手を抜いているので、もう少し料理しようと思いました。
    ちなみに、今日はとっても簡単に、豚バラと白菜のミルフィーユ鍋に常備菜しか作っていません。

    • やまさん
      まことさん
      こんばんは。
      字の大きさは、「蘭方医・宇津木新吾シリーズ」は、字の大きさは、中です。
      字の大きさ中は、読んでいて楽です。...
      まことさん
      こんばんは。
      字の大きさは、「蘭方医・宇津木新吾シリーズ」は、字の大きさは、中です。
      字の大きさ中は、読んでいて楽です。
      宜しくお願い致します。
      やま
      追伸
      プロフィール欄に、字の大きさと書名を書いていますので見て頂けたら有難いです。
      2019/11/10
    • まことさん
      やまさん♪
      字の大きさのこと、わかりました。
      プロフィール欄も拝見しました。
      やまさんのレビューの方にも字の大きさのこと、夕べ書いてお...
      やまさん♪
      字の大きさのこと、わかりました。
      プロフィール欄も拝見しました。
      やまさんのレビューの方にも字の大きさのこと、夕べ書いておきましたのでご覧くださいね!
      2019/11/11
  • いやぁ~、上手いなぁ~!
    思わずゴクリと唾を飲み込んでしまう
    冒頭のお米が炊ける描写の威力に
    一気に引き込まれた。
    (コレが官能的なのですよ笑)

    本作は東京のとある商店街にある
    『ここ家』という惣菜屋で働く
    60歳の女性3人の
    切なくもあたたかい日々を
    季節の料理とともに描いた連作短編集です。

    お喋りで豪快な性格の
    『ここ家』のオーナー、江子(こうこ)。

    真っ黒な短髪に地味な服装、
    少し気難しい性格の麻津子(まつこ)。

    三人の中では一番年上だが
    内省的で内に秘める性格の郁子(いくこ)。


    転んでもタダでは起きないしたたかさと
    少女のような瑞々しさ、
    歳をとる怖さなど豪快に笑い飛ばしてしまうほどの
    芯の強さとタフなハート。

    なんと人間的魅力に溢れた三人なのか。

    それぞれがそれぞれの傷や
    大人の事情を抱えながらも
    季節の食べ物に力を貰い逞しく生きる彼女たちを見ていると、
    年を重ねていくことも
    そう悪くはないのかもと
    素直に思えてくる。
    (様々な料理を絡ませながら女性三人の生き様や辿ってきた道のりを浮かび上がらせる構成と人間の描き方は
    本当にお見事!)

    それにしても米屋の若いイケメン店員、進をめぐる
    三人三様の争いにはホンマ笑ってしまった。


    そして彼女たちの作る料理の
    チョイスがまた
    心に沁みる。

    シメジと椎茸とエリンギに牛コマが入った
    バター風味の茸の混ぜごはん。

    烏賊とさつまいもと葱の炒め煮。

    鶏と豚の合挽きを白菜で巻いて中華風クリームスープで煮込んだロール白菜。

    江子の届かぬ想いが詰まった
    京風おでんのひろうす(がんもどき)と
    揚げたてのあさりフライ。

    亡き母に思いを馳せる
    麻津子のオリジナル料理の桃素麺と
    麻津子が幼なじみにふられる原因となった
    茹でたてのとうもろこし。

    息子が死んだのは夫のせいだという思いから逃れられない郁子が作る
    ほろ苦いふきのとう味噌。


    何を好んで食べるか、
    何を好んで作ってきたかは
    毎日の積み重ねが如実に現れるし、
    その人の経験や人生観が左右する。

    簡単に言えば
    料理にはその人の人となりや、
    哲学や思想や人間力までもが
    形として現れるものなんですよね。

    主人公が若い女性ではなく
    辛い過去を背負って60歳まで生きてきた
    彼女たちだからこその手の込んだ料理の数々には
    彼女たちが選びとってきた人生が浮かび上がるし、
    生き様がオーバーラップしてくるのです。


    人生はままならない。
    だからこそ人は料理で未来に立ち向かう。

    料理を作るという行為は
    明日も生きていこうという生きる意志であり、
    まだ見ぬ未来への祈りでもあるのかな。

    人は自らが生きるため
    愛するが人のために
    料理を作る。

    料理を作る行為は無意識のうちに五感を刺激するけど、
    この小説もまた
    匂いが、食感が、作る時の音が、
    出来上がりの様が、
    読むだけで目の前に浮かび上がり、
    その味わいさえもが
    文章の隙間から疑似体験できてしまう
    お腹が空くと同時に
    希望をくれる良作です。

  • 各駅停車しか停まらない小さな町の、ささやかな商店街にある「ここ家」は、オーナーの江子、無愛想な麻津子、そして最近“従業員募集”の張り紙を見て応募してきた郁子の、三人の独り身女性たちが切り盛りする店。
    江子は六十一歳。麻津子は六十歳。郁子は二人より年長だが、新入りのせいか年下のように扱われている。
    三人それぞれに大人の事情があるのだが、共通するのは料理が好きで食べることが好きなこと。
    「ここ家」に四季折々のお惣菜が並ぶように、三人の日々にもそれぞれに変化が…


    『静子の日常』を読みたいと思いながらなかなか巡り合わせが悪く、『リストランテ アモーレ』に続いて2冊目の井上荒野さん。
    タウン誌に“肝っ玉おっかさんたち”などと紹介されるアラ還の女性たちにだって、心の中には熱く燃え盛ったりくすぶったりするものが、ちゃあんとあるのだ。
    米屋の若い配達員・春日くんの登場で、三人それぞれにわかに華やいでしまったりするのも、可笑しみがある。
    ただ、郁子以外の二人の先輩方の心情には、もうひとつピンとこなくて、何かもやもや。

    けれど、お惣菜はとても美味しそう。
    文庫の解説が平松洋子さんなのが、何だか得した気分。

    最近どうも、美味しい料理やお菓子が絡む本ばかり読んでいるような気がする。読書のあと、作中に登場したアレやコレやを食べたくなるのは困りものだ。

  • 美味しそうなお惣菜がたくさん出てきた。60過ぎの3人のお話だったが、もっと若い人の物語に錯覚するくらい、若々しかった。悲しい過去を抱えながらも楽しく笑顔で働く、なんだかんだ仲のいい3人が微笑ましく思えた。素敵なお話だった。

  • 惣菜屋「ここ屋」のコーコ、マツコ、イクコのオーバー60の波乱なる穏やかな日常。

    御惣菜屋さんの方がメインキャストなので、おいしそうな季節のおかずの名前が次々出てきて「うーん、飯食べたい」ってなるお話です。
    女60もこえりゃアレコレ抱えているもので、三人三様の人生模様。米屋の新米バイト進をアイドルに、三人の毎日が綴られる。
    じんわり染みたり、キャッキャしたり、ドキドキしたりして、年齢を重ねるのも悪くないと思わせてくれます。
    毎日を大切にできないときに読むといいかもしれません。

  • 60代女性・一人暮らし・惣菜屋(弁当屋?)で働く3人組のおはなし。
    「3匹のおっさん」の女バージョンみたいなものかな?と思ったのだけれど、全然違いました。
    女性だからかな?「食」「色」「情(友情も含めて)」がメインになります。

    惣菜屋オーナー・江子の笑い声と、元夫とのかかわりがカンに障るというか、ちょっとイラっときてしまったのだけれど、こういう人もいるのかな・・・と、自分のキャパの狭さを見せつけられた気がしました。

    読み終わって 「ああ面白かった」と思えたので、総じて良い読書時間でした。

  • 出てくる料理が美味しそうで、空腹時には読んではいけませんな。しかし、出てくる女性三人がみんな、痛々しいほど重々しいものを抱えてて、胸が詰まった。横からもぎ取られるように、日常を失っていく。現実に、悲しみに、心が追いつくまで、みんなとっても時間がかかってる。私は…恋愛や家庭では、幸運なことに、そういう痛みは持ってないけど、別の痛みがあって、それに11年経ってもまだ心は追いついてない。苦しくて、投げやりたくなって、でも容赦無く朝は来る。料理をひたすらこなしながら、包丁を握る手に、無心になることで、彼女たちはなんとか生き延びてきた。そして、少しずつ時間と日々の営みが心の痛みを追いやってくれる。最後は少しの救いと笑いとともに。年をとってからまた読み返したい佳作。

  • あさりフライ→ビール→レモン→ソース!
    いいなぁ。

    おいしいものをおいしいと感じて、
    みんなが安全になっていくのがすきです。

  • 美味しい料理の描写があると聞いて読んでみた。

    出てくる料理はどれも旬な食材を使った家庭的なお惣菜なので、すぐに真似して作ってみたい!と思うけれど実際に作るとなると手が込んでて大変そうだなぁと思う。
    ひろうすとか、あさりのフライとか、食べたことがないけど美味しそうなものが気になった。

    そして、舞台となるお惣菜やさんで働く3人の60歳前後の女性たちの生き様もこの小説の醍醐味の1つ。正直なところ、自分にはまだまだ想像できない感情が多くて戸惑いもあったが、いろんな意味で参考になった。

  • 10年強前、自分が40歳になったとき、
    『初老とは40歳の異称 』であると辞書で知り、
    すごくショックだったことを覚えてる。(苦笑)
    さすがに現代の40歳が初老だなんてことはなく、
    イメージ的にはアラ還世代が初老なのではないだろうか?
    この物語はまさに、そんなアラ還女性3人が主人公。
    お総菜屋さんで働く3人の人間模様の連作短編集。
    11編の美味しそうなタイトルをひっくるめて表題となっている。
    50代の今の年齢で読んだからこそ、
    あんな還暦なら楽しいかも、と思えてきた。
    この作者の小説は、静かにドロドロしてる不倫ものとか、
    曖昧な日常的恋愛なんかが多いと思っていたが、
    こういうのも書くんだー?!という驚きがあった。

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著者プロフィール

1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞しデビュー。2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞を受賞。08年『切羽へ』で第139回直木賞を受賞。11年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞を受賞。16年『赤へ』(祥伝社刊)で第29回柴田錬三郎賞を受賞。18年『その話は今日はやめておきましょう』で第35回織田作之助賞を受賞。

「2020年 『ママナラナイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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