- Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758438452
感想・レビュー・書評
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ちょっとしたことで一歩を踏み外し、そこからだんだん深みにはまっていき取り返しのきかないところまできてしまう、そんなことが誰にでもある、そういうことか
私には感想を書くのに難しかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホラー小説よりもうんとホラーだった。
「不自由とかゆたかっていうのは、どうしたってお金でしかはかれないもんなのか。これがあるからこの子たちは幸せだって言えるものを、お金じゃなくて、品物じゃなくて、おれたちが与えることは無理なのか。」 p330 -
梨花のしたことは犯罪で、絶対してはいけないことなのだけど、そこに至るまでの感情は、誰もが感じたことのある感情に近いからこそ、胸が苦しかった。特に現代日本では、梨花のような孤独や虚無感を何となく抱えている女性は多いと思う。家庭内別居やセックスレスは、大きな家族問題。誰もが梨花のような孤独や虚無を感じる可能性がある。
そして仕事をするということは、人の尊厳を根本的に支える。例えば社会的との繋がりを得れること、居場所があること、自分で罪悪感なくお金を使えること。それらがどれほど人の自尊心に繋がることか。専業主婦が多かった時代の女性の苦しみとはこういうことかと、読んでてとても理解できたし、その苦しみがひたすらに空虚で心が痛い。だから、多額のお金を横領した梨花を全面的に批判できない。
結婚もお金も、それ自体に価値があるのではない。本当に大切なことは?見栄を張るということは?世間体とは?を問いかけている作品。 -
終始胸が詰まる思い。角田光代さん2冊目。読んでいる間、梨花になってしまう。一線を越え、加速するスリル。人間の弱さや儚さを感じます。梨花と繋がる人々も同じ。相変わらず恐ろしいが、見事です。大好き度❤️❤️❤️❤️
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角田さんの小説に出てくる主人公皆好き
脆いけど逞しい -
お金はきっと どれだけあっても満足できないものなのかもしれないですね
あれば あれだけつかってしまう それが自分のお金じゃないとなると余計なのかも
お金によって 特別になれるってのは 勘違いで それに 気づけないのは悲しいね -
はまっていく姿に驚き。とても面白く久しぶりの一気読み。
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映画も観たい!りえさん!!
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何時横領が露見してしまうのか、終始ハラハラだった。何回も読むの辞めたいと思った!(いい意味で。)梨花の横領に対しての罪悪感や危機感などと言った感情の欠如が余計そうさせていたと思う。それに対して、不意に訪れる焦燥がこっちまで伝わってくる程えぐい。あとタイ行ってみたくなった。総じて最高。
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夫が稼いだ「お金」
彼が必要としてくれた私の「お金」
収入がある方が偉いのか。夫婦は平等ではないのか。平等と扱ってもらうことが心苦しいのか。
今の自分に重なります。
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強欲というよりもあるから使うという感覚の浪費がリアルで自分の金銭感覚を見直すきっかけになった。
知らず強欲になっていく姿ってはたからみると醜いものだなと改めて感じた。 -
主人公に共感しそうになり我に帰る
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普通の人が、犯罪に走る気持ちが手に取るようにわかった。 一見大人しく、容姿も良い普通の主婦の梨花。梨花はパートの銀行で働きだしてから、若い男性に入れあげて、横領をしてしまう。どう考えても横領をした梨花がいけないに決まっているのだが、その心理描写や周囲の人間の描写が巧みなので、共感してしまう。こうやって一線を超えるのだな...というドキドキが伝染する。転落人生モノが好きなので、非常に興味深く、面白く読んだ。
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夫との不和から若い男との不倫、横領・・・転落していく日常の中で、巨額の金をつぎ込んでも心は癒されない渇望感が妙にリアルに感じられた。幸せと金はむしろ正反対の関係なのかも。