紙の月 (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 4157
レビュー : 583
  • Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758438452

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の梨花を含め、すべての登場人物がお金に心を囚われてしまった物語。「お金で物を手に入れれば幸せになれるのではないか」と誰しも思うが、それを究極まで突き詰めていった主人公の末路は一際悲しいものであった。筆者得意の女性心理描写はさすがだった。
    宮沢りえが主役を演じた本書の映画も原田知世が主役を演じたドラマも見ていないが、脳内では主人公の梨花を仲間由紀恵、大学生の光太を竹内涼真でイメージして読んだ。

  • あるきっかけで1億円の横領犯となった主婦の物語で、余白なく書き込まれた登場人物達の息苦しい心情描写に圧倒されながらもジェットコースターに乗った時の様な恐怖心と好奇心で一気に読んでしまった。女性陣に全く共感はできなかったが、梨花や亜紀がお金でしか繋がれない自分に気付く終盤には息を呑んだ。表面的な部分で繋がろうとすればするほど自分の首も相手の首も絞め、やり直せたとしても再度同じ自分に辿り着いてしまう人の愚かさに胸が痛む。木綿子の唐突な結末や山田夫妻の蛇足感が気にはなったが、読了時に思わず溜息を吐いてしまった。

  • ものすごいサスペンスを予想してしまったが、八日目の蝉ほどの衝撃はなかった。もともと主人公の倫理観がおかしいため、誰でも陥るような犯罪ではないと思った。若い男に振り回され明確な意思なしに貢いでしまうパートおばさんの哀れな話。

  • 映画ありきで読んだけど、女性なら陥る可能性が誰でもある気がする。だからこそ、怖い。これって男性はわかるかな?

  • 壊れていく女性を見るのは辛い。主人公の梨花は、経済的には何不自由なく少女時代を過ごしたいわゆるお嬢様育ち。短大を出てカード会社に勤め結婚し銀行のパートに出て若い男と不倫し顧客の金を騙し取り海外に逃亡する。どこで間違ったのか、すべてが間違っていたのか。些細な過ちの繰り返しが取り返しのつかないことに発展していく。誰もが梨花の弱さの一部を持っているからこそ、読んでいて辛くなる。そっちへ行っちゃだめなんだと、声をかけたくなる。誤った方を楽天的に好んで選んでしまう梨花の思考が腹立たしい。

  • 横領とか悪いことをしてしまうような話を読んでると、もうやめてーって自分の中でモヤモヤ、ハラハラするようになったのは感じ方が変わったのか、それとも筆者の書き方が、見事なのかな。

  • とにかく一番の感想は、しんどかったの一言につきる
    読書中、こんなに心がヒリつくのは珍しい。
    心がヒリついてザワついて、呼吸が苦しく我慢できなくなって本から目を離し、でも続きが気になって活字に目線を戻し、また心がヒリついて…の繰り返しでヘトヘトになる。

    実はこの小説、暴力描写もなく、凄いエロチックな場面もなく、死人どころかけが人すら出てこない小説なのに、怖いし痛いしサディスティックでマゾヒスティックでもある。角田光代はなんて小説を書くんやろ。

    (ネタバレあり)
    主人公梨花の経済感覚の麻痺の何が怖いて、日常誰にでもありそうな落とし穴にすっぽり嵌まってしまうところである。
    ドラッグやギャンブルに入れ込んだわけではなく、男に貢ぐ部分はあるが、ホストとかタチの悪いヒモとかではなく、ちょっと貧乏な映画好き大学生相手なんだから、普通安いもんだろうと思うんだが、そんな予想を覆す金遣いに圧倒される。

    買い物でストレス発散ってタイプの人に是非読んでもらいたい…いや、読まない方がいいか。俺は買い物恐怖症にかかってしまい、しばらくデパートに足を運びたくなくなってしもた。

    欲望があるから人生楽しいんだけど、暴走させると不幸にしかならない。知足って大事やなぁと。
    なんかの偶然に高級なワイン付きで極上のコース料理を食ったとしても、ストロングゼロにカップ麺が俺の帰る場所だと、しっかり心に持っておきたいなぁと。

  • 梨花がどんどんエスカレートしていく様子はハラハラして面白かったけど、結末は想像させる終わり方だったので、描いてくれても面白かったかなぁと思った。梨花以外の登場人物も、結局はみんなお金に振り回されているという点で共通していたところが、最後に分かって納得。

  • やはり角田さんの本はおもしろい。これも良かった。

    主人公がだんだんと横領にはまっていくところがスリリングだったが、ただなぜそんなにはまっていくのか、貢いでいる男はそんなに魅力的なのか、といったところはいまいちリアリティーがなかったが、まあそれでもおもしろかった。

  • 悪い人間が計画を立てて犯罪を行うのではなく、この小説のように普通の人が、だんだんと深みにはまっていくのは、読んでいてつらくなってしまうので読むスピードが遅くなってしまう。3.5

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著者プロフィール

角田光代(かくた みつよ)
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
1990年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。受賞歴として、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞を皮切りに、2005年『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、同年『かなたの子』で第40回泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で第2回河合隼雄物語賞をそれぞれ受賞している。
現在、小説現代長編新人賞、すばる文学賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞、松本清張賞の選考委員を務める。
代表作に『キッドナップ・ツアー』、『対岸の彼女』、『八日目の蝉』、『紙の月』がある。メディア化作も数多い。西原理恵子の自宅で生まれた猫、「トト」との日記ブログ、「トトほほ日記」が人気。

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