あい―永遠に在り (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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レビュー : 82
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758438735

作品紹介・あらすじ

上総の貧しい農村に生まれたあいは、糸紡ぎの上手な愛らしい少女だった。十八歳になったあいは、運命の糸に導かれるようにして、ひとりの男と結ばれる。男の名は、関寛斎。苦労の末に医師となった寛斎は、戊辰戦争で多くの命を救い、栄達を約束される。しかし、彼は立身出世には目もくれず、患者の為に医療の堤となって生きたいと願う。あいはそんな夫を誰よりもよく理解し、寄り添い、支え抜く。やがて二人は一大決心のもと北海道開拓の道へと踏み出すが…。幕末から明治へと激動の時代を生きた夫婦の生涯を通じて、愛すること、生きることの意味を問う感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 幕末から明治期にかけての医師として実在した関寛斎とその妻・あい。
    医師としての生涯を貫いた夫に寄り添い、支え尽くした妻・あいを主人公に
    苦楽を共にした夫婦の生涯を描きながら、家族を愛することや、人として
    生きていくことの意味を問うたこの物語。その道のゆく先々には苦労も波乱も
    待ち構えていて、悲しみの涙だってあったのに、なぜかしらずっと穏やかな
    気持ちでいながら最後まで安心して読むことができたのは、"あい"の明るく
    前向きな人柄が人生の暗い部分をかき消してくれていたのか、それとも
    高田郁さんの安定した筆致に始終穏やかさが保たれていたからなのか....
    多分きっとその両方の波長がうまくかみ合っていたからなのだろうと思います。

    "あいの取柄は苦労が骨の髄まで浸みていないことだね。
    闇の中に居てもそれと気付かない。
    いつも明るい面だけを見ているのは、時折羨ましくなる。
    ふた親から充分に情を受けて育った強みだよ"

    物語の随所で語られる義母であり伯母でもある"年子"の言葉が身に沁みます。
    "あい"は両親ばかりでなく義理の母にも恵まれていました。
    今の時代、言葉としてはあまり聞かなくなってしまっている(....と思うのは
    私だけかもしれませんが...笑)「内助の功」という、夫を陰で支える
    清らかな愛の深さが感じられました。明るい方だけを見て前へ前へ。

  • 幕末から明治の激動の時代を生きた実在の人物「関寛斎」(恥ずかしながら知りませんでした) 。その夫に寄り添い支え続けた妻あいの物語。上総国前之内村から銚子、徳島、北海道と激動の時代のなかさまざまな艱難辛苦を乗り越えながらも幸せに生きる姿に涙しました。

  • 経営学や進化の本が続いたので軽めの本をと思い、楽しみにしていた高田郁の本。予想以上に1ページ目からどんどん引き込まれる、なんという素晴らしい小説。今年最高の1冊。幕末から明治に実在した医師である関寛斎とその妻あいの物語。素朴、正直、思いやり、夫婦や親子の愛情、生きる意味、報恩など、心底読んでよかったと思えるし、ぜひ子供にも読ませたい。絶対読んだ方が良い。高田郁の作品は「銀二貫」もとてもよかったので、まとめ買いする。

  • 大好きな髙田郁さんの本。
    医師である関寛斎は73歳にして北海道開拓を志す。
    その妻、あいは夫である寛斎を支え続ける。
    実在の人物をモデルにしたこの小説。
    髙田郁はやっぱりすごい人だと思う。
    でも、夫に尽くして尽くして尽くすあいに比べ、寛斎はなんて自分勝手な人なのか…と思ってしまう私。
    ひねくれている…(汗)

  • 幼少期から晩年の女性描く小説。出産、子育て、老いなど映画を見てるかのように思い描ける高田郁さんの表現力。読み進めるうちにそれが自分の生活と重なり、辛く苦しくなってしまった。

    小説としては読み応えはあります。

  • 関寛斎の奥様が主人公。頑固な旦那様をひたすら信じて支えた普通の女性の物語。新しい出会いと別れ、物事の良い面を見つけてひたむきに生きる。齢72歳にして最後の移住を決断した旦那様にもついていくが・・・

  • 高田郁さんはやっぱり好きな作家さんなので、大満足の一冊だった。

    関寛斎さんをよく知らないという情けないスタートだったけど、どんどん引き込まれて最後は涙涙で読了。

    もともと丁寧に記録を残してこられた関寛斎さんだからこその小説だそうだが、高田さんの創作の部分にも真実味があって主人公のあいの気持ちがとても現実的だった。
    江戸時代は身分や男女、職業や出身地などによる差別、明治維新以降も夫婦ともに理不尽な差別的な扱いを受けた経験があるからか、アイヌに対する周りの差別的な行為に敏感に反応できる感性が素敵だと思う。
    夫婦ともにブレないし、お互いに足りないところを自然に補い合って一人ではできないことを二人でなしてこられている。

    自分にない強さに強くひかれた。

  • あとがきを読んで「え~!!!」となった。第4章を読みながら、(なんでそこまで)と思わずにはいられなかった。例え物語としても、やりすぎではないか、と。それなのに実在のモデルがいるとは!!!関寛斎という人物はなんと素晴らしい人物だったのだろう…。その志に胸が熱くなる。そして、読み終えた今「関寛斎を支えることができるのは、この世でただ一人。あい、お前だけなんだよ」時子の言葉が心に響いている。

  • 故郷・銚子にも縁のある関寛斎。しかし、高田さんは彼の妻・あいを主人公にとても良い物語を紡いでくれた。あいの生家があった東金市が稲作に不向きな土地柄だったことに驚かされた。寛斎がヤマサ醤油当主・濱口梧陵や明治政府の支援を受け入れられない不器用さ。あいが、そんな彼を命尽きるまで包み込んだ姿に感動した。

  • 関寛斎と、妻あいの物語である。関寛斎という人物は恥ずかしながらあまり知らず、物語を読み進めて行く内に、北海道開拓に尽くし、今の北海道の礎を築いた、偉大な人物だと感じさせる。あいのひたむきさ、夫のサポートをする姿に心打たれる。内助の功の大きさなどに関心する。子沢山家族であったが、物語の時代は、栄養面などで夭折するケースも少なくなく、それらから、あいと寛斎夫妻は命の大切さや生きるということ、生とは何かを思い、子供たちに愛情を注ぐ姿が美しい。あいの芯の強さも感じられ、感動ものであった。

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