あい―永遠に在り (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 658
レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758438735

作品紹介・あらすじ

上総の貧しい農村に生まれたあいは、糸紡ぎの上手な愛らしい少女だった。十八歳になったあいは、運命の糸に導かれるようにして、ひとりの男と結ばれる。男の名は、関寛斎。苦労の末に医師となった寛斎は、戊辰戦争で多くの命を救い、栄達を約束される。しかし、彼は立身出世には目もくれず、患者の為に医療の堤となって生きたいと願う。あいはそんな夫を誰よりもよく理解し、寄り添い、支え抜く。やがて二人は一大決心のもと北海道開拓の道へと踏み出すが…。幕末から明治へと激動の時代を生きた夫婦の生涯を通じて、愛すること、生きることの意味を問う感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 幕末から明治期にかけての医師として実在した関寛斎とその妻・あい。
    医師としての生涯を貫いた夫に寄り添い、支え尽くした妻・あいを主人公に
    苦楽を共にした夫婦の生涯を描きながら、家族を愛することや、人として
    生きていくことの意味を問うたこの物語。その道のゆく先々には苦労も波乱も
    待ち構えていて、悲しみの涙だってあったのに、なぜかしらずっと穏やかな
    気持ちでいながら最後まで安心して読むことができたのは、"あい"の明るく
    前向きな人柄が人生の暗い部分をかき消してくれていたのか、それとも
    高田郁さんの安定した筆致に始終穏やかさが保たれていたからなのか....
    多分きっとその両方の波長がうまくかみ合っていたからなのだろうと思います。

    "あいの取柄は苦労が骨の髄まで浸みていないことだね。
    闇の中に居てもそれと気付かない。
    いつも明るい面だけを見ているのは、時折羨ましくなる。
    ふた親から充分に情を受けて育った強みだよ"

    物語の随所で語られる義母であり伯母でもある"年子"の言葉が身に沁みます。
    "あい"は両親ばかりでなく義理の母にも恵まれていました。
    今の時代、言葉としてはあまり聞かなくなってしまっている(....と思うのは
    私だけかもしれませんが...笑)「内助の功」という、夫を陰で支える
    清らかな愛の深さが感じられました。明るい方だけを見て前へ前へ。

  • 経営学や進化の本が続いたので軽めの本をと思い、楽しみにしていた高田郁の本。予想以上に1ページ目からどんどん引き込まれる、なんという素晴らしい小説。今年最高の1冊。幕末から明治に実在した医師である関寛斎とその妻あいの物語。素朴、正直、思いやり、夫婦や親子の愛情、生きる意味、報恩など、心底読んでよかったと思えるし、ぜひ子供にも読ませたい。絶対読んだ方が良い。高田郁の作品は「銀二貫」もとてもよかったので、まとめ買いする。

  • 大好きな髙田郁さんの本。
    医師である関寛斎は73歳にして北海道開拓を志す。
    その妻、あいは夫である寛斎を支え続ける。
    実在の人物をモデルにしたこの小説。
    髙田郁はやっぱりすごい人だと思う。
    でも、夫に尽くして尽くして尽くすあいに比べ、寛斎はなんて自分勝手な人なのか…と思ってしまう私。
    ひねくれている…(汗)

  • 関寛斎という一途な医師に添い遂げ妻のあい一生
    名誉や財に一切拘らず、患者を第一に考えた夫を支えた。
    あいの愛はただ従うだけではない、強い愛を感じる。
    夫婦愛も素晴らしい。関寛斎の偉業は実話だが、あいについては読者の想像と感動を僅かな資料から掘り下げた作者は素晴らしい。

  • 実在した関寛斎という、医者であり、晩年には農夫として北海道の開拓者として移住した人の妻、あいを中心に描いた、高田郁さんにしては珍しい一冊。
    あいは貧しい農家に生まれ、後に姑となる人に厳しくも愛情をかけてもらい機織りを教わり、家計の足しにもなり、心の平常にも大いに役立ち、機織りはこの作品の中で大きな意味を持つ。
    江戸から明治へと激動の時代もあいは静かに強く、家族を支え生き抜く。
    高田郁さんらしい、決して派手さはないが芯の強い女性の話で心に沁みるシーンも沢山あったけど、実在の人物だからか、他の作品に比べると少し面白みにかけるかなー
    という事で辛口の星3つですが、他の作品が素晴らしすぎるという事の裏返しでもあるんですよね。

  • 善き物語でした。ただ、献身的というか美化しすぎなんじゃ?少し興醒め...ま、それでも涙ながらに読みましたけどね

  • 関寛斎という登場人物をふーんと読んでいたけれど、最後にこの人が実際の人と知ってびっくり。その有名人の奥様に焦点が当てられた作品で、高田さんのいつものやわらかいタッチで物語が進められていきます。この作者が手掛けたら、どんな女性も美しく優しく清らかない描かれるんじゃないだろうかと思ってしまうくらいに作品全体が慈愛に満ちていて、サスペンスものとかを読んだ後の箸休めにちょうどいい。
    伝記もので幕府政権から明治までの波乱を描いた作品を多く読んできたけれど、これほどすんなり時代と共に物語を読み進められたものは数少なく、そして最後の後味の切ない物語も少ない。
    また今度誰かの作品で北海道の開墾物語を読んでみたいと思う。

  • 『あい 永遠に在り』の「あい」は実在の人物である。幕末から明治にかけて医療で活躍した「関寛斎」夫人がその人である。寛斎は千葉で苦学の末医学を身に付け、銚子で開業。縁あって徳島に赴任、一代を築く。札幌農学校に就学した息子の求めに応じ北海道へ赴き、開拓に身をささげた人物である。

    その夫人「あい」は寛斎の史実がかなり明らかになっていることに比して、ほとんど資料は残っていない。関寛斎の記録に残る妻の史実を髙田郁が創作したものだ。

    髙田郁作品に共通する、困難に直面しても明るく乗り越えていく女性、そして家族を愛し夫を支えていく夫人像がここでもいかんなく発揮されている。しかし、本作品は史実が少ないとはいえ実在の人物をモデルにしており、それはそれで難しい点も多いように感じる。多少なんというかのびのび感が薄れているような。

    確かに、関寛斎やその妻あいについて、歴史上ではそれほどクローズアップされてはいないものの、着実に史実に残っている人物でもある。そこをよくとりあげたなと思う一方、その生涯を振り返ると極めて髙田郁好みだなという気もしてくる。

  • 幼少期から晩年の女性描く小説。出産、子育て、老いなど映画を見てるかのように思い描ける高田郁さんの表現力。読み進めるうちにそれが自分の生活と重なり、辛く苦しくなってしまった。

    小説としては読み応えはあります。

  • 関寛斎の奥様が主人公。頑固な旦那様をひたすら信じて支えた普通の女性の物語。新しい出会いと別れ、物事の良い面を見つけてひたむきに生きる。齢72歳にして最後の移住を決断した旦那様にもついていくが・・・

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