働かないの: れんげ荘物語 (ハルキ文庫 む 2-5)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.59
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本棚登録 : 1347
感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758439374

作品紹介・あらすじ

こんな私に親切にしてくれてありがとう--四十八歳になったキョウコは、まだ「れんげ荘」に住んでいた。相変わらず貯金生活者で、月々十万円の生活費で暮らしている。普段は散歩に読書に刺繍、そして時々住人のクマガイさんらとおしゃべり--そんな中、「れんげ荘」にスタイル抜群の若い女性がリヤカーを引いてやってきた!悩みも色々あるけれど、おだやかに流れる時を愛おしみながら、ささやかな幸せを大切に生きる、ロングセラー「れんげ荘」待望の第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • R5.1.3 読了。

     レトロな雰囲気のれんげ荘で生活しているキョウコさん。年齢の設定が近いせいか、老後の悩みなど共感できることが多かったです。ゆっくりとした時間の中で、無職でいることに私なら耐えられそうにありません。ですが、もう少しれんげ荘でのキョウコさんの生活や心模様を見てみたい気もしています。

  • れんげ荘シリーズ第二弾。
    前回、貯金を崩しながら月10万円で暮らすのは可能だろうけど、ボランティアさえしないのはどうかと思うよ。と、要らないお節介を書いた。毒親の母親から独立するデトックス期間が必要なのかな、と思っていたら、豈図らんや、本書はれんげ荘に住んで3年後48歳から始まる。それまで、一度たりとも働かなかったしボランティアもしなかったと言う。彼女の決意は一時期のものではなかった。少し早い隠居生活のようなものらしい。隠居でも精力的に地域活動をする人はいるが、彼女の場合は本格的な隠居生活である。

    ボロアパートは大家の好意で網戸はつくわ、古いクーラーはつくわ、私の心配していたこの頃から本格的になっていた「酷暑」を避ける環境を作っていた。私なんかは、これで3万の家賃は安いだろうと思う。たとえカビやナメクジ攻撃が緩んでなかったとしてもである。そろそろ私も痩せ我慢しないでクーラーつけるべきだろうか。

    時は2011年3月から始まる。そう大震災である。れんげ荘が倒壊するのではないか?という心配は、作中人物全員が思ったようだが、奇跡的にヒビひとつ入らなかった。キョウコさんの見立てでは、建物のいろんな隙間が、緩衝に役立ったのでは?ということだった。

    キョウコさんは遂にお金をかけない趣味を見つける。刺繍である。糸や道具は貰い物。彼女は1人じゃない。少ないけど、いい友達・親戚が10人弱いる。10人?充分じゃないか。もうこれ以上、彼女の生活を盗み見する必要ないんじゃないか。そう思うのだけど、続刊がまだまだあると知ると、なんか知りたくなる。でも、彼女に迷惑かけるわけじゃなし、いいのか。

    人生のちょっと早めの隠遁生活。
    キョウコさんはふと「いつまでもれんげ荘に住めるわけじゃない」と気がついてしまう。
    れんげ荘生活はそれなりの愉しみと、人生の「不安」も抱えている。でも考えたら人間誰でもそうだ。その辺りを確かめたくて、次回もやはり読むのかな。

    • Macomi55さん
      kuma0504さん
      そっか、バリバリのキャリアウーマンは人生の方向が変わってもそれはそれで、まっしぐらですね。
      私も全然似てないないですが...
      kuma0504さん
      そっか、バリバリのキャリアウーマンは人生の方向が変わってもそれはそれで、まっしぐらですね。
      私も全然似てないないですが、人から見れば「大丈夫?」って一面もある生活者してるので、ちょっと気になります。
      2022/12/12
    • kuma0504さん
      そうか、Macomi55さんも人から見たら「大丈夫?」という生活しているのか!よくわかんないけど、生活愉しみましょうね。

      基本、何も起こら...
      そうか、Macomi55さんも人から見たら「大丈夫?」という生活しているのか!よくわかんないけど、生活愉しみましょうね。

      基本、何も起こらない作品なのですが、コレは小説なので、いろんな仕掛けが詰まっています。
      本来貯金を頼りに人知れず隠遁生活に入れば、意地の悪い作者ならば、陰惨な犯罪に巻き込まれる展開になってもおかしくはないのですが、彼女の周りには奇跡的にいい人が集まっています。お金的なことは、かなりリアルですが、あんな的確なアドバイスをくれる友だちや、適度な付き合いをしてくれる人生経験豊かなお隣さんや適度な刺激をくれるお隣、善良な不動産屋、妹のことをきちんと見守ってくれるお兄さん家族の存在は、一部分はあるかもしれませんが、全部揃うのは奇跡的です。唯一の心配は、酷暑の時代、どうするのかということだったのですが、クーラーも入りました。

      ‥‥でも、ここまで安定しないけど、私ならば網戸さえあれば、クーラーなしでも、少しのアルバイトと趣味やボランティアで楽しくやっていける自信はあります。レビュー見ると「羨ましい」「私はできない」というのがほとんどですが、男ならできる。女性はいろいろ問題があるかも?(←ジェンダー差別か?)

      というわけで、なんか癖になりそうな作品です。
      2022/12/12
    • Macomi55さん
      kuma0504さん
      本当は周りにみんな結構いい人集まってるのかもしれないですね。自分の生活をデトックスしたらそこに気付いたのかもしれないで...
      kuma0504さん
      本当は周りにみんな結構いい人集まってるのかもしれないですね。自分の生活をデトックスしたらそこに気付いたのかもしれないですね。読んでないのにいっぱしのこと言ってすみません。私も自分でデトックスしたわけじゃないですが、そういう、サーっと目の覚めるような体験したことあります。もう、あれから元通り曇っちゃいましたけどね。
      ちなみに私は、絶対冷暖房は不可欠です。
      2022/12/12
  • れんげ荘の続編。
    働かないで生きていくと決めた主人公のこれからが気になっていてやっと読めた。
    同じ年代だから気持ちが痛いほど分かる気になる。
    理想とする生活を手に入れたのに何かに焦ってみたり、過去の出来事を忘れられなかったり。
    新しい事を始めても中々上手く身体と気持ちがついてこなかったりと働いていなくても日々葛藤している。
    自分自身の気持ちに向き合うようになれた生活を手に入れても悩みが無くなるわけではない。
    続編も楽しみです。

  • れんげ荘物語シリーズ第2弾。

    ゆるゆると過ごして3年たったキョウコさん。
    れんげ荘も網戸やクーラーが入り、少し文化的に。
    新しい隣人チユキさんも仲間入り。

    さりげなく見守ってくれる周りの人達や、一歩足を踏み出すことを後押ししてくれる友達がいて、頑張りすぎずに自分の生活を楽しめたら最高だと思う。

    3作目でも、キョウコさんのれんげそう荘での日々が楽しみ。

  • 働かないキョウコさんの穏やかな毎日。

    「働かない」と決めた後の身の振り方って、なかなか直ぐには見つけられないだろうなあ。
    良い悪いも関係なく時間をかけて構築してきたものを一旦全部ゼロにした上で、再び色々なものを取捨選択し、好きなものだけで周りを埋め尽くしていく。ゆっくりと。それにこの本のように素敵な周りの人達もいれば最高だなあ。お金なくとも人いれば。そこから次のステージがスタートするのかしら...。ちょっと楽しそうではあるけど、自分の老後も心配に...。
    まあ次のシリーズ読むと、また変化があるかな。

    それと、文中出てきた「どこの場所にもそういう人がいた」の役の扱いになってるお母さんが、自分が母なだけに心が痛みましたよ...。母にも優しさを〜。

  • れんげ荘物語二冊目ー。

    新たな住人チユキさん登場と、刺繍スタートの巻、かなぁ。

    特に一冊目から激変したことはないけれど。
    キョウコ兄家とキョウコ母の上手くいかなさ、煩わしさを電話口から聞いていると、時間の経過を感じるという、なんか不思議な感じ。

    でも、家庭を持つわけでも、仕事をするわけでもない暮らしは、時間経過に無頓着なのかもしれない。

    キョウコさんはそのことを「世の中の基本的ななりたちからおりた」なんて言う。
    どこかでそのことを、羨ましく思う自分がいる。

    誰かと比較をして一喜一憂しているような生活が、ちょっとずつちょっとずつ、自分を染めていっているような気がするのだ。
    キョウコさんのように、もっと別の、きれいなものをそのまま見つめていられたら良いなと思う。

  • サイトウくんがいなくなり、チユキさんという若い女の子が入ってきた。彼女は背の高い美大出身のフリーター。キョウコは趣味として刺繍を始めた。前回と変わったのはその位か。後、二階が開放された事かな。
    月10万で暮らす生活はいつまで続けられるのか?キョウコは心配症の割には、病院や怪我の事は考えていないのか?
    小説だから成り立っていると理解しつつ、少し憧れる部分もある。

  • まだ働く年齢の人が働かないと周りがうるさい様。
    自分はもう十分働いたし、働かなくても大丈夫なのに。
    刺繍をやってみようと思い始めたのは良いのだけど、そう簡単にはいかない。
    もがきながらも、居心地の良い生活を求めるキョウコさんに、自分は出来ないと思いつつ、興味が湧く。

  • 夏には蚊の大群が押し寄せるあのアパートにも

    網戸が取り付けられ

    ようやくクーラーもついた。
    相変わらず大きな事が起こるわけでもない日々

    お隣には若いお嬢さんが引っ越してきて

    そのお嬢さんの相談に乗ったりするわけだけれど

    まぁ、真面目な人なんでキョウコさんは。

    自分たちが身内のように感じても
    チユキさん(若いお嬢さんのことね)にとっては

    迷惑かもしれない、とか思ったりするんですよ。
    なんかこういうところが
    キョウコさんってめんどくさい人なんだな

    と思いながら読んでいる。
    キョウコの事を心配してくれる
    友達や母親以外の兄家族、優しい人にも
    囲まれているわけで、時々気持ちが

    揺らいだり、自問自答しながらもきっと
    気楽な人生を楽しむ生き方を身に着けて
    行くんだろうなとこれからのキョウコも
    見守っていきたい気持ちだ。

    それにしてもお母さんとの溝は
    一向にうまる気配もないのだが
    このままなんだろうか・・・

    とりあえず
    「マヘル・シャラル・ハシュ・バズ」
    (覚えられんww)
    は検索してみた。

  • 長く寝かせてしまっていたシリーズを再開。
    シリーズ2冊め。

    仕事を辞めて毎日月10万円で悠々自適な生活を送るキョウコは48歳になっていた。
    読書と散歩が趣味で質素にシンプルな生活を送る日々だけど、生真面目な性格が抜けず、〜はしてはいけない、こうしなくちゃだめだ、など悩んでしまう。

    新しい住人が加わり、干渉しあわない距離感でのお付き合いや、刺繍と出会い、加齢や自分と向き合い少しずつ自分のペースを作り始めるキョウコさん。

    おだやかで優しい時間が流れる物語に、とても癒やされました。
    続きが気になる!

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著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。「無印物語」で人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』など著書多数。

「2023年 『老いとお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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