働かないの: れんげ荘物語 (ハルキ文庫 む 2-5)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758439374

感想・レビュー・書評

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  • れんげ荘シリーズ第二弾。
    前回、貯金を崩しながら月10万円で暮らすのは可能だろうけど、ボランティアさえしないのはどうかと思うよ。と、要らないお節介を書いた。毒親の母親から独立するデトックス期間が必要なのかな、と思っていたら、豈図らんや、本書はれんげ荘に住んで3年後48歳から始まる。それまで、一度たりとも働かなかったしボランティアもしなかったと言う。彼女の決意は一時期のものではなかった。少し早い隠居生活のようなものらしい。隠居でも精力的に地域活動をする人はいるが、彼女の場合は本格的な隠居生活である。

    ボロアパートは大家の好意で網戸はつくわ、古いクーラーはつくわ、私の心配していたこの頃から本格的になっていた「酷暑」を避ける環境を作っていた。私なんかは、これで3万の家賃は安いだろうと思う。たとえカビやナメクジ攻撃が緩んでなかったとしてもである。そろそろ私も痩せ我慢しないでクーラーつけるべきだろうか。

    時は2011年3月から始まる。そう大震災である。れんげ荘が倒壊するのではないか?という心配は、作中人物全員が思ったようだが、奇跡的にヒビひとつ入らなかった。キョウコさんの見立てでは、建物のいろんな隙間が、緩衝に役立ったのでは?ということだった。

    キョウコさんは遂にお金をかけない趣味を見つける。刺繍である。糸や道具は貰い物。彼女は1人じゃない。少ないけど、いい友達・親戚が10人弱いる。10人?充分じゃないか。もうこれ以上、彼女の生活を盗み見する必要ないんじゃないか。そう思うのだけど、続刊がまだまだあると知ると、なんか知りたくなる。でも、彼女に迷惑かけるわけじゃなし、いいのか。

    人生のちょっと早めの隠遁生活。
    キョウコさんはふと「いつまでもれんげ荘に住めるわけじゃない」と気がついてしまう。
    れんげ荘生活はそれなりの愉しみと、人生の「不安」も抱えている。でも考えたら人間誰でもそうだ。その辺りを確かめたくて、次回もやはり読むのかな。

    • Macomi55さん
      kuma0504さん
      そっか、バリバリのキャリアウーマンは人生の方向が変わってもそれはそれで、まっしぐらですね。
      私も全然似てないないですが...
      kuma0504さん
      そっか、バリバリのキャリアウーマンは人生の方向が変わってもそれはそれで、まっしぐらですね。
      私も全然似てないないですが、人から見れば「大丈夫?」って一面もある生活者してるので、ちょっと気になります。
      2022/12/12
    • kuma0504さん
      そうか、Macomi55さんも人から見たら「大丈夫?」という生活しているのか!よくわかんないけど、生活愉しみましょうね。

      基本、何も起こら...
      そうか、Macomi55さんも人から見たら「大丈夫?」という生活しているのか!よくわかんないけど、生活愉しみましょうね。

      基本、何も起こらない作品なのですが、コレは小説なので、いろんな仕掛けが詰まっています。
      本来貯金を頼りに人知れず隠遁生活に入れば、意地の悪い作者ならば、陰惨な犯罪に巻き込まれる展開になってもおかしくはないのですが、彼女の周りには奇跡的にいい人が集まっています。お金的なことは、かなりリアルですが、あんな的確なアドバイスをくれる友だちや、適度な付き合いをしてくれる人生経験豊かなお隣さんや適度な刺激をくれるお隣、善良な不動産屋、妹のことをきちんと見守ってくれるお兄さん家族の存在は、一部分はあるかもしれませんが、全部揃うのは奇跡的です。唯一の心配は、酷暑の時代、どうするのかということだったのですが、クーラーも入りました。

      ‥‥でも、ここまで安定しないけど、私ならば網戸さえあれば、クーラーなしでも、少しのアルバイトと趣味やボランティアで楽しくやっていける自信はあります。レビュー見ると「羨ましい」「私はできない」というのがほとんどですが、男ならできる。女性はいろいろ問題があるかも?(←ジェンダー差別か?)

      というわけで、なんか癖になりそうな作品です。
      2022/12/12
    • Macomi55さん
      kuma0504さん
      本当は周りにみんな結構いい人集まってるのかもしれないですね。自分の生活をデトックスしたらそこに気付いたのかもしれないで...
      kuma0504さん
      本当は周りにみんな結構いい人集まってるのかもしれないですね。自分の生活をデトックスしたらそこに気付いたのかもしれないですね。読んでないのにいっぱしのこと言ってすみません。私も自分でデトックスしたわけじゃないですが、そういう、サーっと目の覚めるような体験したことあります。もう、あれから元通り曇っちゃいましたけどね。
      ちなみに私は、絶対冷暖房は不可欠です。
      2022/12/12
  • れんげ荘の続編。
    働かないで生きていくと決めた主人公のこれからが気になっていてやっと読めた。
    同じ年代だから気持ちが痛いほど分かる気になる。
    理想とする生活を手に入れたのに何かに焦ってみたり、過去の出来事を忘れられなかったり。
    新しい事を始めても中々上手く身体と気持ちがついてこなかったりと働いていなくても日々葛藤している。
    自分自身の気持ちに向き合うようになれた生活を手に入れても悩みが無くなるわけではない。
    続編も楽しみです。

  • れんげ荘物語シリーズ第2弾。

    ゆるゆると過ごして3年たったキョウコさん。
    れんげ荘も網戸やクーラーが入り、少し文化的に。
    新しい隣人チユキさんも仲間入り。

    さりげなく見守ってくれる周りの人達や、一歩足を踏み出すことを後押ししてくれる友達がいて、頑張りすぎずに自分の生活を楽しめたら最高だと思う。

    3作目でも、キョウコさんのれんげそう荘での日々が楽しみ。

  • れんげ荘物語二冊目ー。

    新たな住人チユキさん登場と、刺繍スタートの巻、かなぁ。

    特に一冊目から激変したことはないけれど。
    キョウコ兄家とキョウコ母の上手くいかなさ、煩わしさを電話口から聞いていると、時間の経過を感じるという、なんか不思議な感じ。

    でも、家庭を持つわけでも、仕事をするわけでもない暮らしは、時間経過に無頓着なのかもしれない。

    キョウコさんはそのことを「世の中の基本的ななりたちからおりた」なんて言う。
    どこかでそのことを、羨ましく思う自分がいる。

    誰かと比較をして一喜一憂しているような生活が、ちょっとずつちょっとずつ、自分を染めていっているような気がするのだ。
    キョウコさんのように、もっと別の、きれいなものをそのまま見つめていられたら良いなと思う。

  • 群さんの作品のなかでは群さんの良い面が出ていてしっくりくる一作

    頑張らなくていいのだ、と強くない人へは優しく、
    強い人へは、全く別の生き方を気付かせる作品

    自分が納得していれば、その生き方で良いのだよと背中を後押ししてくれ、
    また、ポリシーを持っているように生きている人でも、迷いはあるのだよ、皆同じ、と教えてくれます

    ただ、作者の根底に母親との確執は渦巻いているのだなとも思いました

  • 大げさですが、働くことに意味を見いだせていない人に是非読んで頂きたい作品です!

    あくまでも人生の一部に仕事があるのだから、人生を仕事なしで他人に迷惑をかけずどうにかできるのであれば、仕事なんてしなくていいんですよね!笑
    将来「働かない」ために、今、意味を見いだせていなくても、とりあえず「働こう」と思います笑

  • 前作は2度読んで、1度目は星三つ。2度目は星四つ。するする読めて・・・いいなぁ、こんな生活も。

  • 刺繍を始めたり止まったりしているところで皆からのアドバイスが良い。
    千里の道も一歩から、一つずつやっていく。
    仕事にも楽器練習にも言える事だ。

  • 2021年33冊目。再読①
    いろいろ悩みはあるけれど…読書に散歩に刺繍に住民、クマガイさんとのおしゃべり。あー、なんて最高な日々なんだ!!!「本がいくらでも読める環境」この言葉大好きだわ。

  • 連続して読了。
    主人公の心の叫びである「働かないの」がお題に。
    新しい人物も出てきて、ますますホッコリできました。

  • 20200903-0906 れんげ荘シリーズ第2弾。タイトルが今の私にピッタリ。家族持ちで疾患持ちの私には無理だろうけど、心穏やかに過ごせますよう。皆んなが願っているよね。

  • 引き続き貯金を切り崩して生活を続ける主人公のアパートに若くて背の高いおおよそこんなところに住みたいなんて思わなそうな女の子が引っ越してきて、さらに周りが賑やかになっていきます。
    わたしも素直に感動したりとか出来ないたちなので、彼女の自然な行動は好ましく思います。
    虫がダメなので私は住めないですが、それでもはたから見る分にはいいな、スローライフ。

  • 『れんげ荘』の続編。前作がちょっと中途半端な終わり方だったので、続きが読めて嬉しい。れんげ荘からサイトウ君が旅立ち、入れ替わりにチユキさんが入居。刺繍という趣味もできて、すっかり無職の生活が板についたキョウコのゆるーい生活に癒されました。

  • まだ葛藤しとんのかい!そこがやはり現実的でよい。働きたくないが働いてる方がまだましかと思った。うらやましいけどな。

  • 「れんげ荘」の続編。三年がたち、キョウコは48歳になっています。れんげ荘にずっと住んでいますが母親とは没交渉で、大地震があっても何の連絡もありません。同居するキョウコの兄家族がキョウコの名前を出すとあからさまに嫌がって、自分の子供はキョウコの兄だけと言わんばかり。価値観が違いすぎると言ってしまえばそれまでですが、読んでいくほど、母親に同情的になりました。娘(キョウコ)には味方でいてほしかったのでしょう。それなのに否定され、これまでの人生が何だったのかわからなくなっているのかもしれません。混乱から、孫にも口出しをして疎まれる。そうした事情に無関係を決め込むキョウコですが、次の巻があるなら、予想外の展開が待ち受けているような気もします。あとから振り返れば、自分の家族について(れんげ荘の家族についても)考えるきっかけがこの巻にあった、ということになるのかもしれません。このシリーズがどう進んでいくのか楽しみです。

  • 『働かないの』

    自分を含め働いている人にとって
    強烈なインパクトの題名に
    思わず買ってしまった一冊

    意志を持って働かない

    実行するためには
    沢山のものを削ぎ落とし
    捨てていくことになるけれど

    何にもない生活が
    羨ましいくらい眩しく豊かに見えてくる

    れんげ荘に住むことを
    心から楽しんでいるチユキさんを新しく迎え
    心が温かく解れていくのを感じるキョウコ


    換えがたい毎日
    譲れない自分にリボンをかけて

    今がとても幸せと~☆

  • キョーコは48歳になっちゃったか
    働かないことでもつ、不安や弊害が
    リアルで、生々しかったけど
    人それぞれ、生きていていいんだよなって思えた

  • 図書館にて借りて。
    れんげ荘シリーズ第1巻を所有しており、なぜかこの本は何度も読んでしまう。
    約10数年前、第1巻を購入したきっかけは恐らく帯に書かれてあった「月10万円で楽しく暮らそう!」というキャッチフレーズが目に留まり、興味をそそられたのだと思う。こんな生活出来たらいいなー、なんて、自分とは無縁の別世界の物語として読んでいたけど、面白いもので、いまの自分は主人公と同じような歳で会社を辞め、同じような生活を送っていた!
    自分は結婚しているし、毎月の予算を厳格に決めてあるわけではない、といったディテールの違いはもちろんあるのだけど、(いまのところは)もう働かない、というつもりである。(大手企業に属して営業をしてたけど、疲れ果てた…という理由も主人公のキョウコさんと同じだった笑)

    ふとこの第1巻を思い出し読み返したところ、シリーズになっていることを知り、図書館で第2作目の本書を読んだところ、なんだか既読感が…。
    どうやら過去にも図書館で読んでいたらしい。笑今回はブクログに登録して、読んだことを忘れないようにしよう。
    第3、4作目も図書館で予約したけど、これも読んだのかな…記憶にないなー。でももし読んでいたとしてもまた楽しめると思う。そして自分と重ねたりして愉しむのだろうな。

  • あいかわらず、マユちゃんのアドバイスが的確でした。
    何をするにも、最初の1歩が必要。
    私も、何かに挑戦したくなりました。

  • 主人公に共感し羨ましく思いつつも、どこか現実こんなにうまく生活できないな、と思った。でもこれを読んでもっとチカラを抜いて生活してもいいのかな、とも思う

著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。「無印物語」で人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』など著書多数。

「2023年 『老いとお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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