あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.96
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本棚登録 : 1602
レビュー : 216
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758439817

作品紹介・あらすじ

物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子として生を受けた幸。父から「商は詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる。慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。果たして、商いは詐なのか。あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か-大ベストセラー「みをつくし料理帖」の著者が贈る、商道を見据える新シリーズ、ついに開幕!

感想・レビュー・書評

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  • 高田郁さんの作品はハズレがない

    学者の父に、
    「誰かの汗の滲んだものを右から左へ動かすだけで金銀を得るようなそんな腐った生き方をするのが商人だ。商とは、即ち詐(いつわり)なのだ」
    と教えられた幸が、齢9つで大坂の呉服商五鈴屋に女衆として奉公することになる
    番頭治兵衛は
    「商人は、正直と信用とを道具に、穏やかな川の流れを作って、お客さんに品物を届ける。問屋も小売も、それを生業に生きるさかい、誰の汗も無駄にせんように心を砕く。それがほんまもんの商人だす」
    と幸に語る

    果たして、『商』は、詐なのか!
    知恵は生きる力。知恵を授かりたいと願う幸が、五鈴屋で何を見、どんな活躍を見せるのか、これからが楽しみだ

    しっかりとした時代考証に裏打ちされた描写で、読者の知的好奇心を満足させてくれる
    この作品でも、商家の三度の食事内容やら婚礼の模様、商人の仲間(今でいう組合)などとても興味深かった

    また、背景の描写が彩り豊かで、魅了された
    「朱と黄とが混じり合ったような夕陽の輝き、あれが金色。川面の煌びやかな色、あれが銀色。どちらも天から与えられた美しい色なんだ」

    空は漆黒から濃紺へと色味を移し、東天の端が薄く紅を差し始めた刻、熟した梅のふくよかな甘い香りが、予期せぬ臨終の悲しみを慰めるように漂っていた

    想像力を働かせて、じっくり味わいたい文章も素敵だった

  • 2020年8月29日、読み始め。

    この作品の始まりは、1731年(享保16年)。
    1732年(享保17年)は、享保の大飢饉があり、その辺のことが、49頁に書かれている。享保の大飢饉は、冷夏と稲の害虫「ウンカ」の大発生が原因。


    ●人物メモ

    ・幸(さち)---武庫郡津門村(むこぐんつとむら)生まれ。第1巻では、7歳の少女として登場。

    ・文次郎---綿買い商人。幸よりも30歳位年上。

  • 「みをつくし料理帖」で人気の作者の新シリーズ。
    待ってました! (感想を書くのは遅れたので~もう3作目も出ています)

    村で寺子屋を開いていた父は学者肌で厳しく、商売など疎んじていました。
    娘の幸は優しい母や優秀な兄を頼りに、素直に育っていました。
    ところが、父と兄が相次いで亡くなり、9歳の幸は、大坂天満の呉服屋「五十鈴屋」へ、女衆として奉公に出ることになります。

    五十鈴屋の「お家さん」は当代の祖母で、3人の孫息子を育て上げたしっかり者。
    ところが、この三兄弟、後継ぎの徳兵衛が女遊びにうつつを抜かし、商売の才がある次男は兄に苛ついて喧嘩ばかり。
    三男は優しいのだが、家業には興味がない‥

    商売に興味をいだき始めた幸だが、女衆は店のことにはかかわらないのが当然の決まりだった。
    五十鈴屋の要石と言われる番頭の治兵衛は、そんな幸を見出し、ひそかに育てようとする‥

    女主人公の一途さや真面目さは同じ。
    所々に変化をつけようという意図も見られますね。
    当時の不況ぶり、身分の扱いや面倒な約束事も、人間臭い描写の中に語られていきます。
    展開は早めで、幸はどんどん大きくなりそうです。
    楽しみ!

  • ”みをつくし料理帖”シリーズが終了し、その後のみをつくし料理帖としての特別巻を心待ちにしていたら…
    新たなシリーズが始まりました!

    摂津国・武庫郡津門村出身の幸。
    子供のころから学びたいという気持ちが人一倍強かったが〈女子〉を理由にその機会に恵まれなかった。
    幸9歳の時、学者だった父と兄を相次いで亡くす。
    幸は津門村に母と妹・結を残し、ひとり大阪、天満の五鈴屋へ女衆として奉公に行くこととなる。
    番頭の治兵衛は幸の天賦の才に気付く。
    父から〈商は許(いつわり)〉と教えられていた幸は、五鈴屋で番頭の治兵衛から商のいろはを教わることに。

    やっぱり髙田さんの時代小説はいい!
    幸の成長をハラハラしつつ、応援していくのも楽しい、そんなふうに感じながら読み進めていたのですが…
    最終章・事の顛末があまりにも以外で…
    そして、幸の運命を思うと…

    次巻の刊行が待たれます!

    • 杜のうさこさん
      またまた、こんばんは~♪

      楽しみに待ってた新シリーズですよね!
      azu-azumyさん、隠してるし~
      どうしようか迷ったけれど、気...
      またまた、こんばんは~♪

      楽しみに待ってた新シリーズですよね!
      azu-azumyさん、隠してるし~
      どうしようか迷ったけれど、気になって覗いちゃった!

      この本、積読なの。
      いつ読もうか考えるだけで、楽しかったりしてね~。うふふ。
      自分をじらしてます(笑)

      だって『みをつくし料理帖』終わってしまったとき、ぽか~んとしちゃったものね。
      azu-azumyさんのレビューで、読みたさ倍増~♪


      そして、そして、パンケーキ♪
      見事にだまされちゃったわ~(#^^#)
      2016/03/19
    • azu-azumyさん
      杜のうさこさん、こんにちは~♪
      コメントありがとうございまーす(^^♪

      ほんと、ほんと!
      待ちに待ってましたよね~

      ネタバレ...
      杜のうさこさん、こんにちは~♪
      コメントありがとうございまーす(^^♪

      ほんと、ほんと!
      待ちに待ってましたよね~

      ネタバレでごめんね~
      でも、でも、私のネタバレぐらいではびくともしないです。
      当然ですね~(笑)
      やっぱり髙田さんの本は良いね~♪

      私も手にしてから半月ぐらい待って読んだんですよ~
      これはもうじっくり読みたい本だもんね!
      杜のうさこさんも、じっくり寝かせて熟したころに読んでくださいませ~(笑)

      わっ!
      パンケーキ、だまされてくれました?
      なんか、うれしい~(^_-)-☆
      2016/03/21
  • 「みをつくし料理帖」の二番煎じ・エピゴーネンかと、今まで手にしないでいた。
    ところが、いざ読み始めてみると、舞台設定、人物造型、物語の展開、どれをとっても「みをつくし…」とは全く趣を異にした作品、それに「みをつくし…」に勝るとも劣らない傑作に、大いに恥じることになった。
    父と敬愛する兄に続けて世を去られ、母と妹とも別れ、大阪の商家に下働きに出た主人公の幸が、今後どういう運命をたどるのか。
    「知恵は、生きる力になる」との兄の言葉を胸に、健気に力強く生きる幸、彼女の人生から目が離せなくなってしまった。

  • 満を持して読みました。
    ずっと積読山のてっぺんに置いて、いつ読もうかなっ♪と楽しみにしていて。

    『みをつくし料理帖』の時もそうだったんですが、
    読んでいると姿勢を正したくなるというか、
    まじめに懸命に生きようと思わせてくれるんですよね。

    「学びたい」それが許されない、この時代の女性の哀れ。
    自分がどれほど恵まれた時代に生まれたのか、
    与えられているものの大きさに、いまさらながら気づかされます。
    智蔵、そして菊栄までも…、幸の心のよりどころだったのに…。

    これからどんな”いばらの道”が、幸の行く手に待ち受けているんでしょう。
    父の教えである「商いは詐」それは真なのか…。
    この先にきっとその答えはあるはず。

    そして治兵衛さん、なにやら思いついたご様子で…。
    それが現実にならないことを願いながら、
    次回を楽しみに待ちたいと思います。

  • 大飢饉や家族との別離を経て
    齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる
    慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、
    番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。
    「BOOK」データベースより

    ほんでな、ほんで、この呉服屋の3人息子が絵に描いたようなアホなんですわ。
    ということで
    とうとうこのシリーズに手を出してしまった。
    たくさんの読友さんがレビューをあげていて
    面白いことはわかっていた。

    そして読んで幸の故郷はなんとご近所ということがわかる。

    巻頭の地図みたらさ、
    甲山も廣田神社も西宮神社もあるしさぁ、
    俄然身近!

    そうなんだぁ、
    ここから天満まで行ったんかぁ、
    それは遠いなぁ。まだ子どもやのに。

    と、私、宮っ子、幸を応援する所存です。

  • おもしろーい!女衆として呉服屋に行くことになった幸。その呉服屋の主人3人息子が、お互いに息が噛み合っておらず呉服屋は資金繰りに右往左往することに…。幸が商いとは何かを学んでいく主なストーリーと、江戸時代の文化・風習が垣間見えるサブストーリー。思わず続刊を買いました。

  • 新シリーズの第1巻。まだ物語が開幕したばかりなのだが、『みをつくし料理帖』のように、様々な困難に立ち向かう女性の成長を描いた物語のようだ。

    主人公は齢9つで大阪の呉服商に奉公へ出された、幸。幸の奉公先の呉服商に訪れた危機、持ち前の才能を生かし、商売の知識を貪欲に吸収していくのだが…

    高田郁の小説は女性がなかなか活躍出来ない時代を舞台に様々な困難に健気に立ち向かい、幾多の苦難を乗り越えて成長を遂げる女性を描いた小説が多い。パターンは解っていても、いずれの小説も舞台設定が異なり、ストーリーも面白く、読みやすいので、夢中になってしまう。

    • 林檎飴甘さん
      ことぶきジローさんのレビューで私も読んでみたくなりました。
      まだ1巻だけど面白い!良い物語との出会いになりました。
      ことぶきジローさんのレビューで私も読んでみたくなりました。
      まだ1巻だけど面白い!良い物語との出会いになりました。
      2017/04/17
    • ことぶきジローさん
      高田郁さんの作品はほぼ読んでいます。幾多の苦難を知恵と勇気で乗り越える女性の姿を描いた時代小説が多いのですが、『ふるさと銀河線』という現代小...
      高田郁さんの作品はほぼ読んでいます。幾多の苦難を知恵と勇気で乗り越える女性の姿を描いた時代小説が多いのですが、『ふるさと銀河線』という現代小説もあります。こちらも面白いですよ。
      2017/04/17
  • 女に学はいらない。
    それほど遠くはない昔に、そんな時代があったことはもちろん知っている。
    主人公である幸は、学者として「凌雲堂」を主宰していた父親によって幼い頃から学ぶ楽しさを知る。
    だが、母親は女に学はいらないと言う。
    良き理解者だった兄の死、そして続く父の死。
    幸は否応なく、母や妹が生きるために大坂の商家へと働きにいくことになる。
    「五鈴屋」をずっと見守ってきた冨久。
    ずっと番頭として「五鈴屋」を補佐してきた治兵衛。
    夫婦としての情愛を育てようともしない夫に対しても柔らかな対応をする菊栄。
    みんな自分が置かれた境遇の中で、必死に生きている。
    比べて徳兵衛、惣次、智蔵の三兄弟はどうなのだろう。
    なすべきこともせずに、遊び惚けてばかりいる徳兵衛。
    「五鈴屋」に尽くしてはいるけれど、自分ばかりが損をしていると被害者意識の強い惣次。
    そして、けっして悪い人ではないけれど、結局は自分の生きる道を優先する智蔵。
    次男と三男にはある程度仕方がないと思えるところもある。
    でも、徳兵衛に関してはどこをとっても良いところなどひとつもないような気がする。
    かつて幸の兄・雅由が言った言葉が深すぎる。
    知恵は生きる力になる。
    物語の舞台となった時代でも、現代でも、なるほどと納得できるものではないだろうか。

    物語の終わり方がとても気になる。
    幸には絶対に幸せになってほしい。
    なのに、いくら「五鈴屋」のためとは言っても治兵衛が考えていることが怖い。
    この嫌な予想がどうか当たりませんように・・・と願いながら次巻を読みたいと思う。

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著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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