- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758440523
作品紹介・あらすじ
二子玉川にある大人の止まり木「バー・リバーサイド」。炭酸の音とジンとライムの爽やかな香りが五感を刺激するジン・トニック、水の都で生まれた桃のカクテルベリーニ。月の光がウイスキーになったムーンシャイン、真夜中のペペロンチーノ。チェダーチーズにギネスを混ぜ込んだポーターチーズ…など。マスターの川原とバーテンダーの琉平は、おいしいお酒&フードとあたたかな心づかいでお客を迎える。「花の酒、星の酒」「自由の川」など五篇収録。
感想・レビュー・書評
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最近ふらっと入ったバーで知らないカクテルを一杯頼むことがたまの贅沢です。
そんな中、バーをテーマにした本作を女優の上白石萌音さんがお薦めしてきたので手に取りました。
本作は、二子玉川にあるバーを舞台にオムニバス形式でさまざまなお客さんごとにお話が分けられています。
お客さんの悩みや人生の行き詰まりやちょっとした話題にマスターがカクテルを提供します。
私が好きなのは、編集者のお客さんのお話。
嫌な上司やお局さんの愚痴を言う中、居合わせた常連の春ちゃんが人生について辛口にアドバイスしています。
こんな行きつけのバーが家の近くにあったら、人生が深まるなぁと思う一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
舞台は二子玉川にあるバー リバーサイド。
常連さん達が代わる代わる登場しマスターとバーテンダーが作る美味しいお酒を飲みながらの話は尽きることが無いようだ。
小難しい話もなくするする読めちゃう系。バー経験は少ないが思いのほかバーテンダーさんもマスターもよくしゃべる。笑
カフェでも良いんじゃないかと思うぐらい。折角のバーなのでもっとお酒を作るところを読ませて欲しかったなぁ。
とは言えたまには手のかかったお酒を飲みたくなった。
ペペロンチーノも美味しそう。 -
優しいマスターと沖縄出身の若いバーテンダーが迎えてくれる「バー・リバーサイド」。
常連さんの寂しさや悩み等も美味しいお酒で癒してくれる。
こんなバーが近くにあったらなぁーと思わずにはいられない!
そして、美味しいお酒が飲みたくなる!
2017.12.5 -
大阪に生まれ、京都の大学に通い、サントリーの宣伝部に勤務していたという著者。それがなぜに二子玉川の、しかも沖縄出身のバーテンダーがいるバーの小説を書くのだと思ったら、日本全国を巡る酒や食材のノンフィクションも多数お書きになっている様子。
多摩川沿いの一軒家のバーはきっと素敵。ふらりと訪れて、店主や常連客の薀蓄に耳を傾け、気持ちよく、しかしかなり酔っぱらう。翌朝起きたら昨晩の話をあまり思い出せない、本作もそんな印象。飲みながら読んだら今日は中身をほとんど忘れています(^^;。所要(=滞在)時間は約2時間かと。 -
二子玉にある小さなバー。2人のバーテンダーと、おきゃくさん。この不思議な空間と、人と人、客とバーテンダーが織りなすドラマを、優しい文体で綴っていく。特に、バーテンダーをやっている人ならわかる、そのバーに立つ緊張感や、オフの時の抜けた感じ。ジンとかウィスキーとか、同じ量を注いで、軽くステアする。
「軽くステアする」なんともこの言葉が心に引っかかる。エピソードは、編集の仕事をしている人が、悩み、人生と向き合っている様を、バーでの小話として披露していく。バーテンダーとの会話から、ゆっくりと、お酒のように熟成し、そして消えていく。バーとはそういう場所だ。うまく、ストーリーに乗せていると思う。目玉のおやじのように、隣で冷静に見る視点が大切だとか。なんだか、身近で、面白いエビソードが多く挿入されている。うどん屋さんは、実在しているお店をモチーフに。
ショートを紡ぐ形で、登場人物が最後の章で出会う。そしてペペロンチーノを作る。なんとも村上春樹的。
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美味しいお酒をゆっくり味わいたくなるようなお話。
登場人物のキャラクターがあまりぴんと浮かび上がってこなかったり、エピソードが説明的であったりする一方、お酒の描写はとても美しくて、さすがサントリー宣伝部なだけあるなぁ、と。 -
バーという空間集まる人たちが織りなす、小洒落た人間模様や複雑な過去が、いろんな酒やカクテルを通して語られる小粋な話……と、途中までは思ってたのですが、最終章を読んで印象がかなり変わりました。
変な推察ですが……このバーはあの世とこの世の間にある、って話だったり?
最終章を読んでそう思いました。多摩川の多摩を「魂」と呼んだり、森さんと井上さんが「妻が待っている」と言って席を立つシーンは今から彼岸に渡る暗喩なのかなー、なんて。
「あの世とこの世を結び合わせている」という言い回しや、店への階段数が13だったり(反面、バーカウンターの席数が7というのも狙っている感じが…)など、いろんなエピソードに生と死に関わるワードが多すぎ。そもそも多摩川と野川の中州にあるバーという設定が、彼岸と此岸の狭間とも受け取れる訳で…
そんな風に考えると、急にスピリチュアルなお話のように思えてきて、そして実際に最終章はそんな雲を掴むようなお話だったりしたので、そんな風に思ってしまいました。この妄想が正しいのかどうかが分からなくて、とてもモヤモヤした読後感。もう飲まずにはいられませんwww -
地元の二子玉川のバーを舞台にした、短編小説集
お酒を飲んでいたときは、こういう地元のバーの常連に
なるというようなことにあこがれがありましたが。
今のように断酒をしていると、特にそういう感覚はなくなりました。
いまでもお酒飲めたらいいなあと思うときが少しありますが。
二子玉川の町、多摩川はとてもいい場所です。
それぞれの季節、時間、どれも絵になる気持ちのいい場所
がいっぱいあります。 -
お酒と人間の織りなす物語。バーでお酒が飲みたくなります笑
なんの接点もなさそうな人たちが、二子玉川のバーに集い、お酒を起点としてつながりが生まれていきます。各人もそれぞれの人生を生きていく中で、それぞれお酒と向き合って、別の人の人生にも耳を傾けて・・・
心温まる物語でした。人間社会はみにくいところもあるけれど、愛で結ばれた美しいものもあるのだなと思わせてくれる、素敵な小説です。