ふんわり穴子天―居酒屋ぜんや (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 127
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758440608

感想・レビュー・書評

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  • とにかく食べ物が美味しそう!
    美味しそうだなー、と妄想して堪能しているうちに、思わずはっとするような、気づきがあったりします。
    当たり前のことを、当たり前でなく疑問を呈していくような感じというか。
    ああ、そうだよなー、としみじみさせてくれます。
    ハラハラドキドキがあまりないので物足りないと思う人も居るかもしれないけれど、ゆったりした気分で読めるので、通勤時に読むにはとても良いと私は思っています。
    何とも、好きなシリーズになってきました。
    また次が楽しみです。

  • 亡き夫・善助と営んでいた居酒屋「ぜんや」を一人で切り盛りする美人女将・お妙。
    その妙にひそかに思いを寄せる、武家の次男坊・林只次郎。
    林家の飯のタネ、鶯のルリオ。

    そしてもちろん、美味しいごはん。
    居酒屋なのは分かっているが、どうも、「つまみ」というより、「おいしいごはん」と言いたくなるような、家庭的な雰囲気なのである。
    妙は後家さんだが、湿ったところや隠微なイメージはどこにもない。
    清潔で、ふんわり温かい…洗いたての白い手のひらのようなのである。

    しかし、そこに不審な事件の影もちらつく。
    読み終わってすぐに続きが読みたくなった。
    すいません、次、いつ出ますか?

    『花の宴』
    花見に集まる男たち。
    只次郎の兄嫁と、その父の、ちょっと温まるエピソード。
    鯛茶漬け、桜餅。

    『鮎売り』
    騒動に巻き込まれ、転んで売り物のアユを落として傷めてしまった少女。
    定価で売り切って帰らないと、兄嫁から叱られるというが、無論魚河岸の者たちは相手にしない。
    鮎粥、花梨糖。

    『立葵』
    只次郎の長兄の娘…つまり姪のお栄はたいそう賢い。
    学問をしたくてたまらないようでもある。
    女に知恵が付くのを嫌う父や長兄には内緒で、只次郎は栄に勉強を教える決心をする。
    武士の世の中も変わりつつあるのだ。
    鴨丸ごと一羽使い切り料理。
    捌くお妙さんがたくましい!

    『翡翠蛸』
    升川屋の妻・志乃の騒動再び。
    しかし、まことに気持ちのいい(女性にとって)幕切れ。
    上方では、土用は鰻ではなく蛸で決まり。
    善助の姉・お勝から優しい言葉。

    『送り火』
    精進落としの穴子天。
    只次郎の兄嫁・お葉の父、柳井。
    まことにいい男であり、北町奉行所の吟味方与力としても有能だ。
    この先も頼りにしたいものである。
    …というのも不穏な影が…

  • 自分が慣れたのもあり登場人物達が動いていて1巻よりおもしろく読めた。
    でも2巻になっても謎を引っ張るのでもう少し小出しに解明してくれるとありがたい。
    相変わらずお妙さん以外の女性を必要以上に貶めるのはいただけないけれど、1巻よりは貶め描写が減ってきたので更に減ってくれることを願う。

  • くーーー! まさか、「居酒屋ぜんや」の二作目が出たとは!!
    図書館の新刊リストに並んでいたときは、小躍りしてポチったよ! ほしたら想像以上に早く手元に来たよ!
    なんだよもう、みんなもっとこのシリーズを読みなよ~!!

    前述のとおり、舞台はともかく場所は「みおつくし」と、ニアな昌平橋とかあのへん。
    (「あのへん」って)

    ちゅうか、あのへんって、食べ物屋さん含むお店が多かったのかな。
    当時の都会みたいな具合に賑わってたんかな。
    お侍さんから与力から大工やら鮎売りやら、いろんな人が入れ替わり立ち代わり登場して、あれやこれやいうてるのは楽しい。
    「みおつくし」よりも悲壮感が少ないのは、主役の只次郎が次男坊とはいえお侍さんで、暮らし向きが多少はいいからかな。

    ・・・。いや、お侍さんの暮らし向きも大概しんどそうやけど・・・。(;^ω^)


    こういう本を読むと、(当たり前かもしれへんけど)当時の人って、「今を精一杯生きる」っていうのが一番大事なんやなあと思う。
    それなりの蓄えもしたいけれど、とりあえず今日、仕事ができてご飯が食べられて布団で寝られるならよかったよかった、みたいな、印象がある。

    そう思うと、現代ってなんかもう世知辛いよねえ・・・。もちろん私も「今を精一杯生きている」つもりではあるけど、頭のすみにこびりついて離れないのは老後の問題やもの・・・。
    それこそ30年ぐらい先に、今ほど動けなくなったときにどう暮らしていくか計画を立てていかねば・・・、とか、そんなん・・・。

    たぶん、この時代の人は「働けなくなる=死」なのかもしれへんな・・・。
    それもすごい話やけど、たとえば自分の身の回りのことでも、自分でできなくなったらもう寿命ちゅうか・・・。
    だからこそ、健やかにすごせるように摂生したり、祈ったりするのかもな・・・。

    当時より便利な世の中になって、つい、楽をしたいと思うからあかんのか。
    いやいや、便利になるっていいことやしな、楽をしたいという気持ちもありやけどさ・・・。

    (あっ、ちょっと今くたびれてるから、感想もついネガティブな方向に・・・。いかん、いかん)


    閑話休題、只次郎さんは、小説の中の人として見てると
    「人のいい、可愛らしいボンやな」
    って思うけど、実際におったらイラッとするのかもしれん(笑。失礼)。

    お勝さんぐらい突き抜けていたら、「からかいたくなる」で、すませられるかもしれへんけど、まだまだ私はその域には達していないかも。
    あとは、お栄ちゃんみたいに、叔父さんやったりしても付き合いやすくて良さそう。

    でも、そんな只次郎さんも、お妙さんに「男性として意識されていない」と、いう事実が発覚して、それはそれで、可愛そうちゅうか何ちゅうか・・・。(;^ω^)

    ああ、そうなのね。ここのラブ要素はなかったのね。笑


    お妙さんといいお勝さんといい、お葉といいお栄ちゃんですら、著者の書く女性はみんないきいきとしてるな!
    灘のお嬢さんのお志乃ちゃんも、今回でグッと肝が据わりそうやんね。いいですなあ。
    肝が据わっていてきれいっていうのが、女性として最高かも・・・。
    こんなふうに女性がしなやかにグイグイ押しまくる本が読みたいな(そういう気分)。厚かましいのはパスね(笑)!

    古い記憶を呼び起こすのは、匂いなのか・・・。
    視覚かと思ってた。匂いか~。思い出の味・・・。

    ううーん、私は食べるのが好きなはずなのに、そういう意味では印象が薄いんだよなあ。思い出の味・・・。


    ■■■■

    ■野燗炉


    ■蓼酢

    《「たでず」とも》タデの葉をすりつぶし、酢とだしをまぜたもの。アユの塩焼きなどに添える。


    ■香箱 こうばこ

    香(香木、薫香料)を収納する蓋付きの箱。茶道具や香道の道具であるほか、宗教儀式において香を用いるために宗教用具としても用いられる。


    (2017.06.08)

  • 登場人物が魅力的。

    これからどうなるのか楽しみです。

  • ちょっとハマってきた。
    今回も料理は美味しそうだし、お妙さんの謎解きも、さりげなくて嫌味がない。只次郎が奥手なのが心配だけど…
    佐々木様の不穏な動きも気になる。あと鶯をモノの様に扱い、泣かなくなったら終わり!みたいな所が本当に腹立たしい。只次郎もいたたまれない気持ちだろう。早く何を企んでいるのか、解決して欲しいものだ。


    23

  • 人情モノという点で言えば,本作が一番のような気がする。
    今作もハズレなし。とても面白かった。さっそく次巻を読まねば。
    あらすじ(背表紙より)
    寛政三年弥生。預かった鴬を美声に育てて生計を立てる、小禄旗本の次男坊・林只次郎は、その鴬たちの師匠役となる鴬・ルリオの後継のことで頭を悩ませていた。そんなある日、只次郎は、満開の桜の下で得意客である大店の主人たちと、一方的に憧れている居酒屋「ぜんや」の別嬪女将・お妙が作った花見弁当を囲み、至福のときを堪能する。しかし、あちこちからお妙に忍びよる男の影が心配で…。桜色の鯛茶漬け、鴨と葱の椀物、精進料理と、彩り豊かな料理が数々登場する傑作人情小説第二巻。

  • 居酒屋ぜんやシリーズ第2段。
    お妙にお熱な只次郎、そしてそこにやって来る常連客やお勝さん、それにおえん夫婦。この人たちが生み出す雰囲気が本当にいいなぁ。
    新しく登場した柳井さんも、今後重要な人物として関わって来そう!ただのチャラ男でなく、醸し出す男前な空気がたまらない。
    色々と謎を残した今回のお話。次にどう繋がって行くのか、読むのが楽しみ。

  • 時代背景を変えたらここまで心象に残るかは分からないが、この時代背景だからこそできあがった小説

  • 時代小説の女性作者の本をよく読んでいるのだが、この坂井希久子氏の本は、初めてである。

    江戸時代の職業も沢山 小説に出て来るのだが、この本は、鶯の声を聞かせることを生業としている旗本の次男坊 林只次郎が、主役である。
    そして、彼は、居酒屋「ぜんや」の美人女将 お妙に、秘かな想いを抱いている。
    お妙は、美人で、料理が上手く、女性的であり、誰しもが、ちょっかいを出すので、只次郎は気が気でない所が又話が面白い。

    5話から構成されているのだが、最初の「花の宴」に桜鯛の黒ゴマ和えが、出て来るのだが、、、その変化に興味深々になってしまうほどである。

    それでいて、羽織裏にお金をかける江戸っ子気質に、只次郎の義理の姉 お葉には、亡き母の小袖を羽織裏に仕立て直して来てくれている父に、今までにない父の優しさを感じる一コマも、人情味あふれている。

    「鮎売り」
    こけて、鮎を傷物にしてしまった小娘の困っている様子を見て見ぬふりが出来ずに、お妙は、全部購入してやるのだが、、、「情けは人の為ならず」、、、その気っ風の良さに、店は、繁盛してしまう。
    傷物の鮎は、賄い用として鮎粥に。
    料理だけでなく、口やかましいお勝が、風邪をひいた時に欲しい物は、、、、

    「立葵」
    梅雨入りで、只次郎の母も、季節柄、寝込んでいるのを、お妙に鴨料理を作ってもらう。
    本の話ではないが、昔の農家の人は、家に鶏を飼育しており、お客が来た時にもてなす意味で、鶏をしめて献立におせたと、聞いていたから、お妙が、さっさと鴨を調理するのも、可能なのだろう。

    「翡翠蛸」
    何と綺麗な料理の名。
    昔の武士は、キュウリの輪切りが、葵の御紋に似ているために、食さない。
    キュウリをおろして調理するのをこの本で知って、今度試してみようと思った。
    お志乃の嫉妬と、つわり。
    女は強い。眉を剃りお歯黒に。

    「送り火」
    精進落としに、鰻なのだろうが、ここでは、少し安価な穴子料理。
    焙烙で芋がらをいぶして、霊を送り出す送り火の中でお妙の見たのは、、、、亭主だったのか、、、、、

    ふんわり穴子天を題名にしたのは、これだったのか?と、、、、思った。最後の鶯 ルリオの言い分の所は、なんだか楽しく読んでしまった。

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プロフィール

さかい・きくこ:1977年和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科卒業。会社員を経て、2008年、「虫のいどころ」で第88回オール読物新人賞を受賞。受賞時に現役SM嬢であることが話題になった。09年『コイカツ』でデビュー。2015年刊行の『ヒーローインタビュー』が「おすすめ文庫王国2016」エンタメ部門1位に選ばれた。他著に『羊くんと踊れば』『泣いたらアカンで通天閣』『ほかほか蕗ご飯』などある。

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