あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇 (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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レビュー : 134
  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758440684

作品紹介・あらすじ

大坂天満の呉服商「五鈴屋」の女衆だった幸は、その聡明さを買われ、店主・四代目徳兵衛の後添いに迎えられるものの、夫を不慮の事故で失い、十七歳で寡婦となる。四代目の弟の惣次は「幸を娶ることを条件に、五代目を継ぐ」と宣言。果たして幸は如何なる決断を下し、どのように商いとかかわっていくのか。また、商い戦国時代とも評される困難な時代にあって、五鈴屋はどのような手立てで商いを広げていくのか。奔流に呑み込まれたかのような幸、そして五鈴屋の運命は?大好評シリーズ、待望の第三弾!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第三弾。
    ますます面白くなってきました。
    きものが好きなので、西陣、桐生、丹後ちりめんの由来も興味深く、
    仕入れる反物を生糸から見直そうとするあたり、わくわくしました。

    「力を貸してほしい。商いの道で知恵を絞ってほしい。」
    惣次に望まれ、四代目の後添いから五代目に嫁ぐ決意をした幸。
    二度めの祝言の席で嫌味を言われながらも、
    「笑って、勝ちに行く」と毅然と振る舞う幸の姿にほっとしていたのに…

    あぁ、どうしてこうなっちゃうんだろう…
    二人三脚で五十鈴屋を盛り立てていくのかと思いきや、
    そう簡単に、幸せにはしてくれないんですね。
    たしかに商いの才能には長けていても、
    情に薄い人のような気がしていました。
    聡明すぎる女房への嫉妬にかられる惣次の気持ちも、
    わからなくはないけれど、手を出したらいけない。

    治兵衛は「影に隠れる振りをして、旦那さんを掌でうまく転がしなはれ。」と助言してくれたけれど、幸にそれができるのか心配。
    幸の心のよりどころである治兵衛には、少しでも長く元気でいてほしい。

    本書に登場する治兵衛の好物・江州名物鮒鮨。
    昔頂いた時、その強烈な匂いに負けて食べられなかったんですが、
    再チャレンジしてみたいです。

  • 四代目徳兵衛の後を継ぎ、五代目徳兵衛となったのが弟の惣次。
    幸の商売の才能を認めていた惣次は幸を嫁にすることを条件とした。

    奉公人には厳しすぎるが、商いには真面目で、何よりも幸を思う惣次の嫁になった幸。
    これから二人で困難を乗り越え、五鈴屋を盛り立てていくのかと思ってたら…

    え”====!!!!
    こんな展開になるの?!
    幸はどうなるのよぉ!!

    あ~、もう続きが読みたい!!!

  • 人気の高田郁「あきない世傅 金と銀」シリーズ3作目。
    2作目のあっと驚く結末から‥?

    幸は、大阪天満の呉服商「五十鈴屋」に奉公に出ていた真面目な娘。
    店主の祖母である「お家(え)さん」と、番頭の治兵衛に、働きぶりと素質を認められ、四代目店当主の後添いに。
    ところが、商売に身が入らない四代目は、まだ幼さの残る幸を認めることもないうちに、あっけなく‥

    次男の惣次があとを継ぐことになりますが、その条件として、幸を嫁に迎えたいと宣言します。
    兄が全然気づかなかった幸の一見地味だがりりしい美しさも、その知恵も、惣次は気づいていたのです。
    「力を貸して欲しい」と言われた幸は、「お心に添います」と。

    前よりは、よほどまともな関係に。
    ではこれでおさまって上手くいくのかというと、良いこともありましたが、良くないことも‥?
    惣次は仕事熱心だけれど、元々かなりきつい性格でもあり、不景気で厳しい時代だから必死でもあり。

    呉服商ということで、当時の絹織物の産地や商売の有り様が具体的に描かれていて、興味深い。
    幸の熱意と工夫がどう生かされるのか?
    またまた、あっと驚く急展開で以下次号!(笑)
    4作目をこれから楽しみに読みます☆

  • すっかり、「あきない世傳」幸の世界に取り込まれて、早くも三巻目に。
    こういったシリーズものは、その魅力にはまると、連続ドラマのように次が気になり、ついつい続けて手が出てしまう(笑)
    四代目徳兵衛の死去の後、五代目を継いだ惣次と夫婦になった幸。その二人の仲もまあまあ良く、商売も順調・・・
    しかし、波乱もなくこの物語が進むはずがない。あの、商売の利しか考えない惣次と幸がこのまま添い遂げるはずがない。そんな疑念を抱きながら読み進むと、やはり・・・!
    読者の期待?通りに波乱万丈の展開が待っていた。
    著者のストーリーテラーとしての本領発揮と、喝采を掲げながら続けて第四弾を。

  • 幸を大切に思い、大事にしていたはずの惣次。
    その思いもすべて消し飛んでしまうほど、男のプライドとは高いものなのだろうか。
    後添いになることを決め、惣次の言葉に頷き、ようやく本物の五鈴屋のご寮さんとなった幸。
    二人三脚でこれからは五鈴屋を大きくしていく・・・そんなふうに思っていたらまさかの展開が待ち受けていた。
    確かに幸が生きていた時代はいまとは違う。
    世の中は男社会で、あくまで男中心に物事が動いていた時代だ。
    言い方は悪いけれどまるで主人と使用人のように、ただひたすら夫に従い、夫に守られ、夫の意のままに生きていく。
    それが女の幸せだったのかもしれないけれど・・・。
    どれほど愛しいという気持ちがあったとしても、惣次にとっては男の誇りのほうが重かったのだろうか。
    仕方がないと思う反面、なんて狭量なんだろうと思ってしまった。
    もっとも、幸も惣次のことを夫としてどれほど愛しく思っていたかはわからない。
    夫に対する愛情は描かれていないからだ。
    共に五鈴屋を大きくしていこうと誓った同志としての情はもちろんあったあろうが。
    男にとっては才のありすぎる女は面倒なのだろうか。
    女からすれば嫉妬深い男ほど面倒臭いものはない。
    惣次は商いの基本ともいうべき大切なことも見失ってしまっている。
    幸は惣次にそれを思い出させることが出来るのか。
    幸の才を上手く商いに取りいれるだけの度量を惣次が持てるのか。

    商いの部分がとても面白い。
    だが商売だけではなく、夫婦の在り方や使用人たちとの関係。
    取引先との関係、受けた恩・・・。
    読んでいるといろいろなことを考えさせられる。
    これからの五鈴屋と惣次と幸夫婦の行く末も気になってしまう終わり方だった。

  • 高田郁『あきない世傳 金と銀 3 奔流篇』ハルキ文庫。

    シリーズ第3弾。NHKの朝の連続テレビ小説を観るがの如き展開が続く。五鈴屋四代目徳兵衛の不慮の事故死により17歳にして寡婦となった幸は四代目の弟である惣次と夫婦になり、惣次は五代目を継ぐが…

    一難去って、また一難。幸の波瀾に満ちた人生が描かれる。商いの世界で戦国武将になると決意した幸は次第に商いで才覚を見せるが、一方の惣次の金の亡者の如き変貌に幸の行く末が案じられる。五鈴屋の運命や如何に。

  • 高田作品を読み慣れた者には
    変わらぬ安定の筋運び。
    しかし先行きの予兆こそ薄々と感じても
    その兆しの果てに待つ展開にはやはり
    いつもあっと驚かされ
    はらはらさせられもする。

    本当に慣れ親しんだ作品群なのに
    どうにも離れられない。

    江州波村との一件もそうだ。
    さもあらんとうなずかされたが
    そこからの急展開には心底驚いている。

    次に幸を待つのはどんな難儀か。
    みをつくしを読んでいた頃と同様に
    心配でたまらない。

    でも高田作品から離れられない
    私たちにはわかっている。

    高田作品の主人公たちは
    並々ならぬ苦労はしても
    その先に待つものが抜け出せぬ
    不幸などではありはしないことを。

    知恵と真心を持つ者は 必ず
    報われるということを。

  • 四代目が 亡くなり、次男惣次に求められ五代目のご寮さんとなった幸。五代目は五鈴屋を大きくするため改革に着手し始める。幸の案が次々と当たりはじめ今後の展開が楽しみになってきたところで、大問題勃発!さぁどうなるんだ。すぐに貫流篇に進みますっ!

  • 大坂天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公する幸はその聡明さを買われ、店主徳兵衛の後添いとなるが不慮の事故で夫を失う。
    四代目の弟の惣次は「幸を娶ることを条件に、五代目を継ぐ」と宣言。
    果たして幸はどのような運命を選び取っていくのか。

    前作から怒涛の展開で物語は進み、これからどうなるんだろう、と気をもみながら読みました。

    幸の美貌と商才に惚れこむ惣次は、幸の結婚相手としても商売のパートナーとしてもこの上ない相手だと思いましたが、途中から暗雲たちこめる展開に。
    自分を上回る妻の才能に嫉妬する夫・惣次の姿には既視感あふれるものを感じました。
    こういう器の小さい男は現代にもいっぱいいますよね~。
    会社で仕事のできる女性に嫉妬して、女性の足を引っ張る男性を見たことがあります。
    現代にも通じる男女のパワーバランスに、大いに頷きました。

    ただ、毎回ジェットコースター展開にはわくわくさせられるのですが、主人公の幸の商才と美貌が毎回称賛され強調される展開には少し飽きてきました。

    前作『みをつくし料理帖』の澪は逆境にもめげず毎回努力している様子が語られたので、都合の良い展開でもあまり疑問を持たなかったのですが、『あきない世傳』の幸は境遇に流されるばかりでまだ本人の努力が見えないので出来すぎな展開にもやもやしちゃいます。

    でもこれから幸の本領が発揮されると思うので!また次巻を楽しみにしてます。

  • 3巻もとても面白かったです。でも、前巻でいい人かも…と思い始めた惣次も結局だめでした。幸の聡さに嫉妬して、後ろにいればいい、みたいに言っていたところに違和感を感じていましたがやはり。幸はご寮さんとして支えようとしていたのにな…。五鈴屋の兄弟、ろくな人がいないけど、智ぼんさんはどうかな…。でも、ラストの江州の方々との展開に、続きがとても楽しみになりました。幸は商いの世界で戦国武将にきっとなれる気がします。

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プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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