点をつなぐ (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • レビュー :5
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758440820

感想・レビュー・書評

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  • 良かったんだけど・・・。重いというか・・・。
    娯楽として読むには苦しいかな。

  • 「みのり」はわたしだった。
    そして、誰かでもある。
    そんなことを思わせてくれる、ひとりの女性の人生の一部を切り取った小説だった。

    人生は選択の連続。
    何かを選んだということは、何かを選ばなかったということ。
    みのりはそれを「点つなぎ」になぞらえる。
    選んで、選んで、選び続けたその先にしか見えない形、明らかになるかもわからないそれをイメージして。
    選ばなかった先の景色は決して見られないし、どちらがよかったなんて絶対にわからない。
    それはすでに、違う世界だからだ。

    劇的なことが起こるわけじゃない。
    行方不明の妹は行方不明のままだし、取引相手ともチームのようだし雰囲気も良いこともいくつかあったが、恋愛には発展しない。
    年齢と結婚という面で漠然とした不安を抱きながらも、突然の出会いが舞い降りるわけじゃない。
    でもみのりは「わたしたちにはまだまだ一緒にやれることがありそうな気がした」と、にやりと笑う。
    そんなことろが、とても好きだ。
    とても丁寧に記された、みのりの人生の一部をゆっくりと見させてもらったと思った。

  • かわいい表紙カバーを一枚めくって現れる、荒波。大海原。
    こっちがみのりの、っていうか大勢の社会人の日々を表してると思う。
    気力体力を消耗して、周りの無理解と不寛容に傷付いて、必死でやってるのに確信をもてなくて。
    ああ。
    身に覚えのありすぎる光景。

    多くの人が普通にこなしてる(ように見える)ことのしんどさに気が遠くなったけど、この小説はそれだけでは終わらなくて。
    目の前にあるのにずっと気付かなかった、もしくは言語化できなかったことを言葉にしてくれている。

    「わたしは自分の人生を悪くないと思っている。ただ、満足感は、他の人たちの言動でいとも簡単に左右されてしまうほど、もろくてたやすく崩れてしまう」
    ここを読んだとき、思わず本を閉じて深呼吸した。
    周りがみんな立派に見えて、自分だけが惨めで恥ずかしい存在に感じることがあるけれど、いやいや自分の意志で、いいと思って今ここにたどり着いたんだ。
    悪くない。
    生きやすい場所を見つけた自分の嗅覚を、私は気に入っている。

    「両親の娘という存在のわたしに、代わりはいない」
    この言葉にもハッとした。
    親からしたら、娘は娘として機能していてほしいんだ。
    たしかに。逆に親には親として機能していてほしいって思ってるかも。
    なんか、自分本位対決って感じ。
    視点を変えないと、こんなに近くのことさえも見えてこない。

    ほかにも好きな場面をいうと、
    マーケティング担当の指摘で「大人の女性のためのスイーツ」の「女性の」を取ったっていうところ。
    ナイス!ありがとうマーケティング担当!
    レシピ考えてつくって経営して、って、全部一人でやることだけがすごいんじゃない。
    連携の強みを見せてくれて、嬉しくなった。

    分かり合えないことは孤独だけど、それだけ自分の選択で生きてきたって証なのかもしれない。
    まるごと全部、とくべつに好きな一冊になった。
    巻末対談は、明日の楽しみにとっておこう。

  • 「この中に、満足している人は、
    どれくらいいるのだろうか。
    仕事に。自分に。人生に。」

    リアルで知人の話を聞いてる
    みたいだった。

  • 加藤千恵さんは恋愛における小さな疼きみたいなのを書くのが上手だなと思ってたんだけど、恋愛じゃなくても小さな疼きがすごく上手だった。主人公と同世代の私からしたら、よくわかるからちょっと痛かった。安っぽくないラストもいい。最後の村田沙耶香さんとの対談も面白かった。

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