ライオンズ、1958。 (ハルキ文庫 ひ 8-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758441131

感想・レビュー・書評

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  •  昨日は、都内某所で作家の平岡陽明(ようめい)さんを取材。
     初長編にして初の単行本である『ライオンズ、1958。』(角川春樹事務所/1728円)の著者インタビュー。

     『ライオンズ、1958。』は、西鉄ライオンズが奇跡の日本シリーズ三連覇を成し遂げた時代の博多を舞台に、ヤクザと新聞記者(ライオンズ番記者)の奇妙な友情を描いた作品。「ブロマンス(ブラザー・ロマンス=男同士の親密な友情)」ものとも言えるし、“ハードボイルド人情ドラマ”という趣でもある。

     物語の設定としては、重松清が広島カープ初優勝の年を描いた『赤ヘル1975』に近い。が、作品の雰囲気としてはむしろ浅田次郎を思わせる。
     
     当時の国民的スター・大下弘が、ベーブ・ルースのごときヒーローとして描かれ、主人公2人をつなぐ架け橋となる。

     野球小説というわけではなく、プロ野球はストーリーの道具立ての一つなのだが、それでも、クライマックスの日本シリーズ(「神様、仏様、稲尾様」の見出しで知られる伝説的シリーズ)の描写などは素晴らしい。スポーツ小説屈指の名作『監督』(海老沢泰久)を彷彿とさせる。
     プロ野球がいちばん輝いていた時代の熱気が、ヴィヴィッドに捉えられた小説である。

     情景・風景描写はぎりぎりまで削ぎ落とされ、印象的なエピソードの連打でテンポよくストーリーが進んでいく。方言を巧みに使った会話も心地よい。
     小説のおいしさが、隅々まで濃密に詰まった傑作。

  • 電車の中で読んで、思わず涙を流すところあり。。
    博多んモンの心意気が描かれている一冊です!

著者プロフィール

平岡陽明
1977年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2013年『松田さんの181日』(文藝春秋)で第93回オール讀物新人賞を受賞し、デビュー。19年刊行の『ロス男』で第41回吉川英治文学新人賞候補。22年刊行の『素数とバレーボール』は、「本の雑誌」が選んだ「2022年度エンターテインメントベスト10」第3位。他の著書に『ライオンズ。1958。』『イシマル書房編集部』『道をたずねる』『ぼくもだよ。神楽坂の奇跡の木曜日』がある。

「2023年 『眠る邪馬台国 夢見る探偵 高宮アスカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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