台所のラジオ (ハルキ文庫)

著者 : 吉田篤弘
  • 角川春樹事務所 (2017年8月9日発売)
3.63
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  • 14レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758441148

台所のラジオ (ハルキ文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 連作短編集。登場人物はほぼ被っていないけれど共通点はタイトル通りみんなラジオを聞いているところ。吉田篤弘には『小さな男*静かな声』という作品がありますが、あの「静かな声」の静香さんの番組かなと思いながら読みました。

    あと共通点は、食べ物が必ず出てくるところ。紙カツ、きつねうどん、生姜焼き定食、ヨイッパリベーカリーのパン、子羊のロースト、ビフテキ、ミルクコーヒー etc...。一番食べたかったのはアリスの生姜焼き定食。美味しそう。

    変な職業の登場人物が多いのも吉田篤弘らしい。お気に入りは「夜間押ボタン式信号機」。「毛玉姫」の女友達と「さくらと海苔巻き」の死んだ彼氏は、主人公は腹を立てていないからスルーしそうになるけど結構ひどい人だった気がする。

    ※収録作品
    紙カツと黒ソース/目薬と棒パン/さくらと海苔巻き/油揚げと架空旅行/明日、世界が終わるとしたら/マリオ・コーヒー年代記/毛玉姫/夜間押ボタン式信号機/<十時軒>のアリス/いつか、宙返りするまで/シュロの休息/最終回の彼女

  • 十二人の主人公たちは、皆、誰もがラジオを聴いている。いつの間にか消えてしまったものと、変わらずそこにあるものとをつなぐ、美味しい記憶。
    途中で断念…したのだけれど、この世界観を味わえないのは、なんだか悔しい。また手に取りたくなるときまで。
    装幀 クラフト・エヴィング商會

  • この本に収められた短編小説は、それぞれ市井の人々の日常をとらえているのですが、海苔巻きだけがメニューの小さなお店、故郷の誰も知らない街にあるビフテキ屋、美味しいミルクコーヒーを提供するスタンドそして古びた冷蔵庫など、今やなくなろう、捨てられようとしている存在やモノを効果的に使って物語を組み立てています。

    小川洋子さんの書評に、それぞれが宝物のようでいとおしみながら大事に読む、といった趣旨のことが書いてあったと思いますが、まさにその言葉がしっくりくる作品だと思います。

    生きていると、最初は目的や希望があるように見えても、しだいにそれは日常の繰り返しになり、ぼんやりと、そしてたんたんとしたものになることが実感されますが、そうした気分を表現しながら、そんななかにあっても人とのつながりを通じて前に進んでいく姿を一歩引いて後ろから描いているように思われました。

  • 不思議な世界観だったー
    前半は普通に受け入れられる話が多かったけど、後半は現実味のない感覚。
    でもこの空気感、好きなんですよね。

    『マリオ・コーヒー年代記』が好きです

  • 2017.10月。
    タイトルがいい。
    12の短編
    全てに食べものが出てくる。
    全てに同じラジオ番組が出てくる。
    短編どうしがゆるくつながってたりする。
    流れる空気がどことなく心地いい。
    静かな夜にゆっくり読みたい。
    吉田さんの文章って、天気が悪い日や体調が悪い日の夜が似合う。

  • あとがきで作者が発言していた、物語の「始まりのところ」が私も好きなんだろう。
    終わりを覚えていないから(面白くなかったという意味ではなく)何度だって読み返したくなるのだ。
    読んでいると灯油の匂いを嗅いだときのような懐かしいようなほっとするような切なさに包まれるのも良い。

  • 短編集。どの話が一番面白いか?を考えながら読んでいた。同じラジオ番組を聞いてる人でも境遇はまちまち。いろんな人たちが登場する小説を読み、たまたま駅のホームに立ってる人、同じ定食屋にいる人が、どんな人生を抱えてるのか?を自身の日常生活でふと考えるようになった。異なる視点を持たせてくれる変な小説でした。

  • 安定の吉田篤弘の世界。ほんの少し不思議な世界と、そこにある日常の食事とラジオと。

    普段ラジオは全く聞かない人間だけど、こういうのは好き。

  • つむじ風食堂の夜と同じ空気だった。ほっとする日常のような感じ。旅に出て、電車で読むのにいいと思う。

  • 12の物語をまとめた連作短編集です。
    なにか大きな出来事が語られているわけではありません。ありふれた、どこにでもありそうな、ささやかな日常のひとこコマを切り取って描いているのですが、かといって、どこでもよく見かける光景かというとそうでもなく、どこかちょっとズレた感じがあります。でも、それがほんのちょっとしたズレなので、読んでいて引っ掛かりをおぼえるとか、違和感があるとかいうのでもなく、どちらかというと、良い意味でボンヤリした印象のお話です。各章の締め括りも、なんだかふわっとした終わり方で、それがまたイイ感じでした。


    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

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