九十九書店の地下には秘密のバーがある (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 342
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442121

感想・レビュー・書評

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  • タスクがタスクでタスクを頼まれるお話。

    学校では成績優秀だった長原佑(ながはら たすく)は、勉強と違って正解が存在しない"仕事"というモノに付いて行けず、入社二年で会社を辞める。
    実家に戻って、ふと出かけた書店で、店主に声を掛けられて…

    1ST TASK『告白』 2ND TASK『飼育』
    3RD TASK『破局』 4TH TASK『再生』

    …と、だんだんと盛り上がりを見せる展開はいい感じ。
    ただ、書店とバーの二足のわらじは、やっぱりどちらも物足りないものに思える。
    たとえば、一人前に書店を回せるようになった、というくだりがあるけれど、書店員として成長するエピソードは書かれていないわけで…

    締めくくりが、今流行りの"働き方改革"でまとめられてしまったように感じられるのも、ちょっと残念な部分でしょうか。
    そういうつもりで書いたのではないのかもしれないけれど、タイミング良すぎた。

    そして…また不倫話か…

    登場する3人のお母さん達の、子供に対する気遣いと距離感は立派だと思いました。


    双子探偵のお話がまた読みたいなあ…

  • さくさく読めました。

    そんなに深い物語でもなく
    登場人物とその人生背景も
    わかりやすかったからでしょうか。

    書店とバー。それぞれに私が愛する空間です。
    人の生き方を変えるなにかが、そこにはあります。

    十八子さんとの出会いが佑を変えますが
    それは十八子さんに変えられたからではありません。
    人には人を変える力などありません。

    人が変わるのは、変わらなくてはならない時に
    必然として出会う人を触媒として、自ら変わるのだと。
    これは私自身の強い経験則です。

    そうして書店やバーには、言うまでもなく出会いがある。

    その強い契機をはらむ場としての強さを
    もっと描きこんでほしかったです。

    十八子さんの両親が長年経営してきた九十九書店だから
    人と人、本と人を出会わせる特別な時間と空間が
    あるはずなのです。そのひとつひとつを感じたかった。

    オーセンティックなバーも、同じ。
    その空間と時間に浸れたらもっと物語に共感できたかも。

    タレーランやビブリアに、私が惹かれたのは
    そんな舞台の重みを作者がわかっていらして
    細密に描いてくれたからなのかもしれません。
    原田マハさんの描く美術館にも同じものを感じます。


  • +++
    訳あって入社二年で会社を辞め、自信をなくしていた長原佑(たすく)。ある日訪れた書店で、謎めいた女性店主から“仕事を探しているなら、今夜この店にもう一度来て”と告げられる。再訪した佑が案内されたのは、書店の地下を改装した秘密のバー。そこで店主のトワコさんから言い渡された、思いがけない“仕事”とは―。夜ごと悩みを抱えた人が訪れる、小さな書店とバーの日々。
    +++

    昼間は書店、夜はバー、という極端な設定からまず興味が湧く。書店&バーのオーナーは九十九十八子と書いて「つくもとわこ」と読む。佑は、昼間は書店でアルバイトをし、夜は、バーのママとなったトワコさんからの指令を受けて、さまざまな仕事をこなすことで、飲み代をタダにしてもらうことになっている。常連さんたちの協力も得て、バーに持ち込まれる厄介事を解決するような仕事なのだが、なんの経験もない佑は、右往左往しながら奮闘する。その一生懸命な姿に、思わず応援したくなる。思ったように運ばないことも多々あるが、何となく納まるところに収まってしまうのが不思議なものである。登場人物の背景も少しずつ分かってきたところなので、シリーズ化されると嬉しい一冊である。

  •  最初はタイトル通りの場所を舞台とした、日常の謎系のミステリ短編連作なのかな、と思ったけど、ちょっと私の中のミステリじゃなかった。
     謎はあるのだけれど、司令官が作戦を練って、それを下っ端が実行し、解決するというような、問題解決稼業モノという感じ。そして解決家業モノとしては、解決の過程がブラックボックスの託宣のようなので、少し物足りない気がする。
     もちろん面白いのだけれども、私は謎が解かれる課程が好きなんだろうな。

  • 良い大学を出て、良い会社に入って、優等生のような道を歩んできたはずが、仕事ができなくて辞めてしまう。
    自分は無能なのではないか、どこへ行っても同じで、足手まといなのではないか。
    次の一歩を踏み出すのが怖くなって、悲観してしまう気持ちがすごく分かる。

    書店員のアルバイトと、とわこさんから課される一風変わった仕事を経験するうちに、少しずつ成長し、前向きになっていく主人公は、とても素敵だった。

  • 仕事をどうしても続けることができなかった佑(たすく)。書店でバイトを始めその地下にあるバーで出会った人たち。そこで佑に課される仕事(タスク)。人には簡単にできることでも自分にそうじゃないことがある。逆もある。努力したからといってできるようになるわけでもないしどうしようもできないこと。自信を無くした時に立ち止まれる場所。佑にはそれぎ書店であり地下のバーだ。休むことも必要だしそれを周りがとやかくいうことでもない。佑のお母さんが少し出てくるけれど佑にかける言葉が思いやりに満ちていてとてもいい。

  • 書店の地下に秘密のBARっていう仕掛けは面白いけど、物語的に書店がある必然を感じなかった。あとトワコさんが主人公に「仕事」をかす動機もいまいち弱い。ちょっと中途半端な感じは否めない作品だったかな。

  • 主人公である佑の頼りない感じは「珈琲店タレーラン~」に登場するアオヤマに通じるものがありますね。一つひとつのストーリーが小気味よく進みますし、登場人物の関係性、佑が十八子から依頼される”タスク”の内容もシンプルなものなので読みやすく、あっという間に読了。ラストの十八子と凪の別れのシーンはちょっと切ないですね…。

  • 九十九書店の店主は綺麗な女性で、彼女は夜になると書店の地下にあるあまり知られていないバーの店主になる。魅力的な設定だと思います。特に本好き、お酒好きの読者にはこういう場所があればいいなと思う設定。あまりお酒飲まない私も憧れました。内容は割と軽め。各ストーリーに有名な本の内容も少し出てきますが、個人的にはもっとそこを押して欲しかった。

  • ランティエ2017年4月号:告白、7月号:飼育、10月号:破局、2018年2、4月号:再生、の4つの連作短編を2018年11月ハルキ文庫から刊行。秘密のバーというほどのものではないと思うし、バーでのシチュエーションにも無理があるが、ちょっとした推理が楽しめる。

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著者プロフィール

岡崎 琢磨(おかざき たくま)
1986年生まれ、福岡県出身。京都大学法学部卒業。元々ミュージシャン志望であったが作家を志すようになり、大学卒業後に福岡県に戻って執筆を続け、第10回『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考に『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』が残った。手直しして刊行されたところ、大ベストセラーとなり第1回京都本大賞を受賞。のちに「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズ化された。
ほかにもミステリ作を多数刊行しており、新刊に『夏を取り戻す』『九十九書店の地下には秘密のバーがある』。

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