九十九書店の地下には秘密のバーがある (ハルキ文庫 お 20-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.07
  • (11)
  • (24)
  • (82)
  • (20)
  • (8)
本棚登録 : 650
感想 : 53
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442121

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日常の謎の本格推理小説ですね。
    主人らの長原佑は大学を出て就職した職場を仕事が馴染めず退職した。再就職の為に何か資格を取ろうと近所の九十九書店を訪れた。「何かお探しですか」と書店の店主九十九九十八子(ツクモトワコ)に声をかけられた事から物語は始まる。
    九十九書店の地下にある謎の秘密のバーで、なぜか悩みごとを解決して物語。
    連作短編の4話。岡崎さんの独特ののんびりした温かな文章を楽しみながら読了しました。成長物語でもあり、人物がしっかり書かれているので感慨深く読み進めました。
    完結しているので続篇は無いようですが、キャラクターが良いので惜しいかな。

  • タレーランの事件簿の作者ですね。

    コーヒーの蘊蓄のすごさに 驚き。

    今回は どんな 隠し玉を出してくれるか

    楽しみでした。

    面白かったんですが。

    なんか 物足りなさを 心に感じました。

    続編を 楽しみに待ちます。

    今回のキーポイントは 仕事ですかね。

  • 会社を辞めて自信を喪失していた佑は、九十九書店の不思議な店主、トワコさんの下でバイトを始める。
    トワコさんが夜に開くバーにやってくる困っている人たちを助けるために、トワコさんが佑に一見不思議な仕事を言い渡し、その人たちが本当に幸せだと感じることが何かに気づかせていく。
    4話からなるが、どれも気持ちがホンワカしてくるストーリー。こんなバーがあったら、常連になりたい。

  • 祐は仕事でミスを繰り返し上司に怒られる日々が続く。自信を無くして生きることも辛くなってしまい会社を辞めた。
    その後就職活動が上手くいかぬ中、祐はたまたま立ち寄った九十九書店で店主トワコに誘われ店で働くことになる。
    九十九書店は昼間は書店、夜はバーの顔を持っていて、バーに持ち込まれた相談事を解決するための風変わりな仕事も祐が任されることに。
    登場人物も好感が持てるし様々な本やお酒が登場するのも楽しい。
    何より物語が面白い‪d('∀'*)
    仕事のことで悩んでる人にぜひ読んで欲しい。背中を押してくれる一冊になると思う。

  • 何をやっても裏目に出て、ただ生きているだけで負債が溜まっていく。追い詰められた佑は入社2年で会社を辞めた。
    偶々行った地元の九十九書店で、彼の悩みを見抜いた店長のトワコさんに誘われて、書店でアルバイトをすることになり。
    九十九書店の地下にはバー・タスクがあり、そちらの店長でもあるトワコさんから、佑は奇妙な仕事を受けることになる。

    佑が淡い気持ちを抱く、幼なじみの晴美との関係。
    ペットが突然居なくなったと涙する美女のペットとは。
    近所の証券会社の不倫の二人を別れさせる仕事、上手くいくの?
    トワコさんの過去がやってきた。九十九書店はどうなるのか。
    挫折でどん底な佑がトワコさんからの仕事を受けて、だんだんと視界が広がっていく。
    どのお仕事もちょっと切なくて、でもこれからが明るい余韻。

    天はみずから助くる者を助く。

  • 九十九書店、内装の描写が好きです。小さな書店、憧れます。

    小説の内容は。
    2年で会社を辞めて、仕事に自信を失い実家に戻った25歳の佑。地元の書店に入ったことがきっかけとで、ちょっと訳ありな店長トワコさんに、書店の地下併設されたBARでちょっと変わったお仕事を頼まれます。訪れる人の悩みを解決しながら、それぞれの再生のストーリーでもあります。
    読み応えとしてはさらりとしています。
    佑さんのお母さん、素敵です。

    小さな街の本屋さん。いいなぁ〜。

  • タスクがタスクでタスクを頼まれるお話。

    学校では成績優秀だった長原佑(ながはら たすく)は、勉強と違って正解が存在しない"仕事"というモノに付いて行けず、入社二年で会社を辞める。
    実家に戻って、ふと出かけた書店で、店主に声を掛けられて…

    1ST TASK『告白』 2ND TASK『飼育』
    3RD TASK『破局』 4TH TASK『再生』

    …と、だんだんと盛り上がりを見せる展開はいい感じ。
    ただ、書店とバーの二足のわらじは、やっぱりどちらも物足りないものに思える。
    たとえば、一人前に書店を回せるようになった、というくだりがあるけれど、書店員として成長するエピソードは書かれていないわけで…

    締めくくりが、今流行りの"働き方改革"でまとめられてしまったように感じられるのも、ちょっと残念な部分でしょうか。
    そういうつもりで書いたのではないのかもしれないけれど、タイミング良すぎた。

    そして…また不倫話か…

    登場する3人のお母さん達の、子供に対する気遣いと距離感は立派だと思いました。


    双子探偵のお話がまた読みたいなあ…

  • さくさく読めました。

    そんなに深い物語でもなく
    登場人物とその人生背景も
    わかりやすかったからでしょうか。

    書店とバー。それぞれに私が愛する空間です。
    人の生き方を変えるなにかが、そこにはあります。

    十八子さんとの出会いが佑を変えますが
    それは十八子さんに変えられたからではありません。
    人には人を変える力などありません。

    人が変わるのは、変わらなくてはならない時に
    必然として出会う人を触媒として、自ら変わるのだと。
    これは私自身の強い経験則です。

    そうして書店やバーには、言うまでもなく出会いがある。

    その強い契機をはらむ場としての強さを
    もっと描きこんでほしかったです。

    十八子さんの両親が長年経営してきた九十九書店だから
    人と人、本と人を出会わせる特別な時間と空間が
    あるはずなのです。そのひとつひとつを感じたかった。

    オーセンティックなバーも、同じ。
    その空間と時間に浸れたらもっと物語に共感できたかも。

    タレーランやビブリアに、私が惹かれたのは
    そんな舞台の重みを作者がわかっていらして
    細密に描いてくれたからなのかもしれません。
    原田マハさんの描く美術館にも同じものを感じます。


  • +++
    訳あって入社二年で会社を辞め、自信をなくしていた長原佑(たすく)。ある日訪れた書店で、謎めいた女性店主から“仕事を探しているなら、今夜この店にもう一度来て”と告げられる。再訪した佑が案内されたのは、書店の地下を改装した秘密のバー。そこで店主のトワコさんから言い渡された、思いがけない“仕事”とは―。夜ごと悩みを抱えた人が訪れる、小さな書店とバーの日々。
    +++

    昼間は書店、夜はバー、という極端な設定からまず興味が湧く。書店&バーのオーナーは九十九十八子と書いて「つくもとわこ」と読む。佑は、昼間は書店でアルバイトをし、夜は、バーのママとなったトワコさんからの指令を受けて、さまざまな仕事をこなすことで、飲み代をタダにしてもらうことになっている。常連さんたちの協力も得て、バーに持ち込まれる厄介事を解決するような仕事なのだが、なんの経験もない佑は、右往左往しながら奮闘する。その一生懸命な姿に、思わず応援したくなる。思ったように運ばないことも多々あるが、何となく納まるところに収まってしまうのが不思議なものである。登場人物の背景も少しずつ分かってきたところなので、シリーズ化されると嬉しい一冊である。

  • 人は失敗しながら多くのことを考え成長して行く。
    周りの人から見れば大したことでなくても、本人にとっては耐えられない悩みになることもある。
    そんな時に受け止めてくれる場所や人がいる(できる)と、心の底から感謝したい気持ちになる。
    この本は、自分で立って歩くための「居場所」とは何かを教えてくれる物語。
    どんなにどんなに頑張っても、自分一人で立てずに動けなくなることはある。
    人や場所、本や経験が背中を押してくれるきっかけになることを物語を通して伝えてくれている。

全53件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1986年福岡生まれ。京都大学法学部卒。2012年、第10回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉に選出された『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』でデビュー。翌年同作で第1回京都本大賞受賞、累計250万部を超える人気シリーズに。この他の著書に『夏を取り戻す』、『貴方のために綴る18の物語』、『Butterfly World 最後の六日間』など多数。

「2022年 『下北沢インディーズ ライブハウスの名探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岡崎琢磨の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
村田 沙耶香
凪良 ゆう
西 加奈子
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×