夏の戻り船 くらまし屋稼業 (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 106
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442183

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第3弾。
    今回くらますのは元幕府の採薬使・阿部将翁。
    訳あって幕府に軟禁されている余命僅かな将翁は、最後にどうしても行きたい場所がある、という。
    老齢で重い病を抱えていても、その旅が例え己の寿命を縮めるものであっても、死を迎える前にどうしても辿り着きたい場所とは。

    紆余曲折の末、72年ぶりに辿り着いた彼の場所で、若い頃に交わした約束を果たした将翁の穏やかな微笑みを忘れない。
    後悔ばかりの人生だったけれど、ようやく生きる意味を取り戻し、満足な最期を迎えたことだろう。

    今回は謎の多かった平九郎の過去も少し解き明かされ、今後の展開がますます面白くなったきた。
    勘が冴え渡る道中同心・瀬兵衛との絡みもこれから多くなるだろう。
    そして闇の「虚」メンバーの凄腕剣士・惣一郎との対決もカッコ良かった。

    お楽しみの『ぼろ鳶』リンクも、今回は幼い頃の武蔵が登場して嬉しい。
    お春と仲良くなれるかな?
    これで『くらまし』と『ぼろ鳶』の時系列も分かった。
    ということは若い頃の源吾もいつか登場するかな?
    シリーズを追うのがますます楽しみになってきた。

  • 〈くらまし屋稼業〉シリーズ第三作。

    シリーズとしての設定や今後の展開がだいぶん見えてきた。
    まず主人公で「くらまし屋」のリーダー平九郎。
    これまで何となく匂わされてきたが、やはり妻と娘が行方知れずになっていて「くらまし屋」となったのは二人を探す情報を得るためでもあったらしい。
    元・人吉藩の下士だったという平九郎が何故江戸にいるのかはこれから描かれていくことだろう。

    それから謎の組織「虚(うつろ)」。第一作にも登場したが、人をさらってはどこかへ移しているらしい。平九郎の妻子の行方不明にも関わっているのか。
    この「虚」のメンバー榊惣一郎と初谷男吏コンビがどうにも不気味で、平九郎の剣の腕を以てしても互角に闘うのがやっとという感じ。今後も激突することになりそうだが、そのときはどんな死闘が繰り広げられるのか。
    「虚」のリーダーが誰なのか、何を目的に何をしようとしているのかも気になる。

    最後に道中同心の篠崎瀬兵衛。
    第一作では人の好い、御しやすい役人のように見えたが、実は切れ者だった。赤也渾身の変装術も見破られてしまっている。
    これから明智小五郎と怪人二重面相のような、ルパン三世と銭形警部のような、因縁のライバル関係が続くのか。


    さて今回の依頼人は齢八十八の元採薬使・阿部将翁。
    余命僅かの彼には、若き日に恋人と交わした約束を果たさねば死ねないという強い思いがあった。
    しかし彼はその知識故に様々な組織から狙われている。
    シリーズが進むに連れてどんどんミッションの難しさがパワーアップ。
    薬園奉行に道中奉行、御庭番に「虚」…阿部将翁を狙う者たちを掻い潜り、無事にくらませることは出来るのか。

    長い長い年月の中で時代に翻弄され続けた将翁が、いつまでも忘れなかった想い、きっとそれがあったから心折れずに頑張って来られたのかも知れない。
    まるで映画「幸せの黄色いハンカチ」のような話。将翁の物語の結末がハッピーエンドなのか悲劇なのかは別として、平九郎ら「くらまし屋」の力を借りてでも残り僅かの命を懸けても叶えたいという気持ちは分かる。
    平九郎もいつか妻子と再会出来れば良いが、それはいつどんな形でやってくるのか、楽しみと同時に心配でもある。

  • くらまし屋3作目。

    今度こそ、無理でしょと思ったけれど
    きっちりくらましたました。
    すごいなぁ、面白かった。

    行ったことはないが高尾山はよく
    耳にするので身近な舞台。

    その、山でどんなくらましをするのか
    敵は。どうもひとつではない。。。

    いくら平さんが強くても一人ではくらませない。
    不思議な力で結ばれている3人。
    この3人でなければくらまし屋は成り立たない。

    そんな感じもする3人の
    過去が気になる、気になる。
    誰から明らかにするのかしらん。

    将翁の人生波乱万丈がすごくて
    天国で幸せになってほしいと心から思ったよ。
    もう次作でてるんだぁ。早いぃ。

  •  修羅の集う山で平九郎の剣がうなりを上げる、「くらまし屋稼業」シリーズ第3弾。

     今回は一人の男を巡っていくつもの集団が入り乱れる中、くらませるという、これまで以上に過酷な展開で、前半はその駆け引きがポイントになっていました。

     そして、後半は一気に平九郎の剣が強敵に立ち向かう展開で、目が離せませんでした。

     最後はこの題名の意味も伝わり、思わず目頭が熱くなりました。

     とにかく、最初からこの物語の世界に夢中になっている自分がいました。

  • はるか昔の約束を果たすために旅立つ依頼人。叶える為に命をかける くらまし屋。約束は果たされるのか。

  •  2019-01-30

  • 今回も、良かった!
    くらまし方も最後も。
    歳を重ねつのる思いの切なさは
    自分も歳をとってくると沁みます。

  • 若い頃にやり残したことが80すぎて体が危なくなった最近ますますよく夢に見るように。。。
    本草学の大家である阿部はその地へ行きたかったが、幕府はその知識が外に出ることを嫌い、死んだことにして軟禁する。今回のくらまし屋は、敵がいくつもある。

    どんな風にくらますか?

  • 闘いのシーンに目を奪われた巻。息つく暇も無い。平さんの過去が少し語られ、そして将翁の思い、波乱万丈の人生に思わず涙腺が緩んだ。お春が元気なのが嬉しい。そして色々気になる事が。平さんの過去が少し語られた所で、赤也、七瀬の過去が俄然気になります、そして序章に敢えて登場してきた清吾郎。序章のみで本章には一切現れなかったのが余計気になります、さらに、最後ちらっと「ぼろ鳶」からの出演があったような。お春との絡みからすると、今後リンクも多々あるのだろうか、と思えてしまいます。どっちのシリーズも見逃せなくなってきた。

  • 北方謙三の約束の街みたいになるのか?

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著者プロフィール

今村 翔吾(いまむら しょうご)
1984年、京都府生まれの時代小説作家。ダンスインストラクター、作曲家、埋蔵文化財調査員を経て専業作家となる。
2016年、『蹴れ、彦五郎』で第十九回伊豆文学賞の小説・随筆・紀行文部門最優秀賞、2016年『狐の城』で第二十三回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞をそれぞれ受賞。2017年『火喰鳥』が単行本デビュー作となり、啓文堂書店時代小説文庫大賞を受賞、「羽州ぼろ鳶組」シリーズとして代表作となる。2018年「童神」で第十回角川春樹小説賞を受賞し、『童の神』と改題されて単行本発刊。同作が第8回本屋が選ぶ時代小説大賞候補となると同時に、第160回直木賞の候補に。

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