あきない世傳 金と銀(六) 本流篇 (時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
4.11
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本棚登録 : 819
レビュー : 126
  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442336

作品紹介・あらすじ

大坂天満の呉服商「五鈴屋」は、天災や大不況など度重なる危機を乗り越え、江戸進出に向けて慎重に準備を進めていた。その最中、六代目店主の智蔵が病に倒れてしまう。女房の幸は、智蔵との約束を果たすべく立ち上がった。「女名前禁止」の掟のもと、幸は如何にして五鈴屋の暖簾を守り抜くのか。果たして、商習慣もひとの気質もまるで違う江戸で「買うての幸い、売っての幸せ」を根付かせたい、との願いは叶えられるのか。新たな展開とともに商いの本流に迫る、大人気シリーズ待望の第六弾!

感想・レビュー・書評

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  • 人気シリーズの6作目。
    大坂天満の呉服商「五鈴屋」に奉公に出て、やがて若い主人に嫁いだ幸。
    3兄弟に次々に嫁ぐという数奇な運命をたどったが…

    商才に恵まれた幸は、理解ある夫の智蔵に支えられて、江戸進出を目指していました。
    大阪では「女名前禁止」という掟があり、女性が店の主となることはできなかったのです。
    智蔵は人当たりがよく、店の主人に必要な付き合いなどはうまくこなせていたのですが、商才は幸のほうがはるかにあると認めていました。

    智蔵が病に倒れ、さすがに呆然とする幸。
    だが智蔵と考えてきたことを無駄にはできない。
    大阪にいては、店を親族か番頭などの男性へ継がせるしかないのです。
    とはいえ、店で働く者たちはみな幸を頼りにしています。
    起死回生の手段はあるか…?

    足掛け3年だけの限定で、中継ぎの主となる道を切り開き、江戸に店を出すことにした幸。
    慎重に江戸の様子を調べ、喜んでもらう方法を考えて、満を持して開店する、その心意気がさわやかです。
    お侍が多い江戸の好みは、地味目だったんですね。
    でも、少しはおしゃれをしたい、特にわが子には綺麗なものを着せてやりたい、女心は同じ。

    女衆(家事をする女中のこと)の先輩だったお竹どんの才を見抜いて共に江戸に出て、店の仕事を担当してもらうことにします。
    近所の女性たちとの交流など、女同士のつながりができていくのが素敵ですね。
    楽しみなシリーズ☆

  • 最強の理解者であった智蔵の急逝
    幸には悲しみに暮れるまもなく、五鈴屋の跡目の難題がのしかかる
    とりあえず、3年の危険付きで女名前の中継ぎの許可を得る

    この3年の間に、女名前禁止の制約がない江戸進出を果たそうと奉公人一丸となって努め、ついに浅草町田原に太物(木綿)商いをしていた店舗を居抜きで手に入れる

    当時、歌舞伎やらで大人気だった「忠臣蔵」赤穂浪士の討ち入りの日、12月14日を開店日と決め、準備に奔走する幸

    「商いを覚悟たるものにし、暖簾を後世に伝えていくためには豪気と細心が肝要。時代が何を欲しているのか、何処へ向かおうとしているのか。高い位置から全体を見回し、世の中の動きを察知する。何が好まれるのか、そうした大きな流れを掴むことがとても大事だ。
    同時に地を這う蟻のように、身近なものをよく観察し、小さな機会も見逃さず、決して無駄にしない。優れた商人というのは、一見すれば相反するものを持ち合わせるものだ」
    という治兵衛の教えを噛み締め、自分の足で江戸の町を隅々まで
    見て回る

    その中で江戸と大坂の違いを感じていくその描写が何とも興味深く面白い
    今でもその違いは、漫才のネタになったりする
    言葉を笑いに包んで渡す大坂、強い言葉もそのまま伝え、あとはけろりと忘れてしまう乾いた風のような江戸

    古手商いの店が立ち並ぶ通りを歩いていく幸と一緒になって、江戸の町の賑わいを楽しんだ

    現代にも継がれている呉服の展示の方法や、無料で帯の結び方教室を開催するなど工夫の数々、圧倒されるばかりだ

    そして、満を持しての開店の日、私は泣かされた

    暖簾に吸い寄せられるように入ってきた乳飲み子を背負った生活にくたびれ疲れ切った若い母親
    「生まれて初めて、こんなに近くで絹織りを見ました。本当に綺麗で、華やかで・・・。いつか娘のためにあんな晴れ着を仕立ててやりたい。そんな夢は、夢だけは、見ていたいんです」
    幸は、居住まいを正して、畳に両手をつき言う
    「今日は私どもの開店の初日に何より嬉しいお言葉を頂戴しました。いずれ、きっとお迎えできる日を心待ちにして、私どもも精進させて頂きます」
    残る奉公人も、声を揃えて.一礼して言う
    「お待ち申しております」

    富久や治兵衛から教えられた商いの基本「買うての幸い、売っての幸せ」が形になった瞬間だった
    「売っての幸い、買うての幸せ」ではないのだ

    いつもは、ええっーどうなるの?とやきもきした気持ちで、巻を終えるのだが、この巻は、静かな感動で温かい幸せな気持ちで読み終えることができた


  • 第(六)巻 本流篇を読み終わった。 ついに艱難辛苦の末に江戸は浅草寺近くの居抜き店に五鈴屋 江戸店を開くまでの話。やんごと無い事情から七代目店主となった幸サチの知恵が随所に活きて、今風に言えばマーチャンダイジングとマーケティングに裏打ちされた戦略戦術を駆使した開店(笑) 今回もよく出来ていました♪

  • 前略
    幸さんとの一年ぶりの再会、とてもうれしかったです。
    前巻での衝撃的な出来事。一時はどうなるかと思いましたが、幸さんはその強い意志で乗り越えましたね。
    そして、いよいよ江戸店の立ち上げ。
    様々な工夫を凝らした準備の末に、無事開店の日を迎えることができたのは喜ばしい限りです。
    このまま順調に江戸の商売が進むとは思いません。今後、危機的大波乱が待ち受けているでしょうが、幸さんは類稀な商才で切り抜けていくことでしょう。
    半年後の再会を、楽しみにしております。

  • 「笑って、勝ちに行きます。江戸でどんなことが起ころうと、必ず、笑って勝ちに行きます」
    にっこり笑いながら治兵衛に宣言する幸は、満を持して江戸へ討ち入る。
    「買うての幸い、売っての幸せ」を掲げて皆で知恵を絞って。
    辛く悲しい逆境にもめげず、一歩ずつ前へと踏み出す幸と、それを支える「五鈴屋」の仲間達。

    今回は初っぱなから激しいパンチを食らい、どうなることやら心配したけれど、無事に抜け道も通り抜け、後は案外トントン拍子で討ち入りまでこぎ着けた。
    いや、ここで安心してはいけない。
    なんたってあの髙田先生のことだから、このまま順調にいく訳があるまい。
    恐らく次回はまたもや予想外の困難が待ち受けているはず…と少々疑心暗鬼に陥りながら半年後をお待ちしております。

  • 幸の商売に対する心構えが美しい。金儲けのためではない商う事の意義をしっかりと持っている。大坂の店が上手く行っているのに、江戸に店を出そうとするっその心意気に見とれてしまう。宣伝も店内の展示にも新しい方法を考えて、さてお店は繁盛するのだろうか

  • この本の全編を通して気付くのが、鳥の声。いくつもの種類の鳥の声が高田節で書かれているのが面白い。なかなか本物の鳥の声を聞くことは叶わぬまでも雰囲気が伝わる。
    さて、この6巻では商いだけではなくあらゆる物事に対して、大きく、そして小さく観る必要がある。みさごの説明が書かれており上手く表現したものだなぁと毎巻ごとに感心する。月日は巻を追うごとに早くなり、幸ももう三十路前。ようやく江戸への進出を果たしその開店当日の描写が良い。もう高田ワールド全開なのである。思わずウルッときてしまった。
    気がつけば、今月8巻が出ると言うことで、まだ7巻を読んでなかったけどもう終わりかと思っていた矢先の新刊のニュースにホッとすると同時に、またトラブルか?と期待する自分がいる。

  •  次々といろいろなことが起きて六巻目。前作のラストが気になっていたが、想像通りの展開。こういう形にしないとなかなか次への展開がやりにくいこともあるのかもしれないが、幸には厳しい。
     本作は、江戸店の準備をメインに描かれている。そこで見せる様々な工夫が秀逸。ごたごた話よりも、こういうビジネス本道の話が中心である方が、読んでいて楽しい。七巻目が楽しみ。

  • 今回も最高だった!もう間違いなく高田郁さんの最高傑作!まぁ今後もっともっと面白い本が出る可能性大だけど。
    ついに店主として江戸に支店を出す幸。
    才能を見出されて女子衆から小頭という役職を拝命し、水を得た魚のようなお竹どんもステキ。
    登場人物一人一人が魅力的で、幸の商売人としての類稀なセンス、アイデア、そして一心に努力する姿勢に魅了されてばかり。
    早く七巻が読みたいけどね、しばらくのおやすみ。
    あー待ち遠しい!

  • 一番愛おしく最初から互いに惹かれあっていた6代目智蔵が突然の喀血で死に、はからずしも再び未亡人となった。女性が主人となれない大阪の商人のしきたりに、中継ぎとして三年だけ主人となった幸は二人の兼ねてからの目標であった江戸の出店を実現する。。。

    哀しみを抱えながらも強く皆を引っ張る幸の奮闘を、彼女を支える奉公人の成長も交え、6話としている.ますます面白くなるこのシリーズ.あきないをテーマとしてはいるが、江戸時代の女性にスポットを当てて、しなやかで強くたくましく愛情深い生き様は魅了させられずにはいられない。

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著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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