菓子屋横丁月光荘 浮草の灯 (ハルキ文庫 ほ 5-2)

  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442671

感想・レビュー・書評

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  • 少々お節介で押しの強い「べんてんちゃん」のナビゲートもあって、川越のまちや人たちにも馴染み、仙人・遠野守人は、古民家で古地図の展示館の管理人をしながら、近代文学の大学院生を続けていました。
    (遠野くんでは物語を回すのは無理と言っていた他のブクログレビュアーさんの意見にも笑った。)

    「浮草の灯火」はあの、水上さんの『雲日記」!と古書店浮草の後日譚。知りたかった事ばかりで、ちょっと好奇心に駆られました。
    「切り紙」は笠原紙店繋がりのお話でした。2冊目で早くもここまでコラボしてくるとは、予想外の嬉しさで。切り紙の伝統が、また多くの人々をつないでいき、「二軒家」の物語にもつながっていきます。

    遠野くんの過去や、浮草を継ごうか迷う安西さんのこともわかって来て、それぞれが将来に不安を抱く様子も。
    家が語りかけることの不思議も少しずつ書かれているけれど、私にはまだ物語とどう密接に関係してくるのか、よくわからないままです。ただ、作者は語らせたかったのかもしれない。登場人物の一人として、ただそこにある、歴史を刻んだモノたちに。早く続編が読みたいです。

  • 家の声が聞こえる主人公と川越の街を描いたシリーズ2作目。
    今作では古書店の「浮草」のご主人が余命わずかな話から始まり、紙を作る家業を継がなかった守人の先輩の後悔の話から守人が管理人を勤める「月光荘」での切り絵の体験会をやってみようと言う企画を通して、家族の絆を改めて考えさせる内容。
    「浮草」も、「浮草」に出て来る「雲日記」も三日月堂から繋がるお話。はっきり「三日月堂」とは出してないけど、ファンには堪らない内容だろう。
    主人公の守人はいまいちテンションが低めで、いつも自分の中の何かと格闘している、そんなイメージであまり本文に貢献している感じがしないのだけれど、後輩の「べんてんちゃん」がナビゲーション的な役割を果たしており、「三日月堂」同様、読んでいて、川越の街が目に浮かぶような描写がさすが。
    コロナ禍でしばらく川越にも足を運んでないが、この作品を読んでいると、行った気になれるから、おうち時間を持て余している人におすすめ。

  • ほしおさなえの菓子屋横丁月光荘浮草の灯を読みました。
    今回は浮き草の灯、切り紙、二軒家の三部作です。
    家の声が聞こえる主人公遠野は、川越の月光荘に住み、慣れてきました。
    古書店浮草の主人が、病気で先がなくアルバイトの女の子に浮草を継いで欲しいと願います。
    切り紙は、古い紙店を閉めてしまった父親と上手く話せないサラリーマンの息子がおばあちゃんの切り紙を通して歩み寄る話です。
    二軒家は10年前に、片方が家事で焼け落ちた、双子のような建物の声が、小学生の間で幽霊騒ぎになっていてそこから三作目に続くようです。
    古い街の人の繋がりが温かい気持ちにさせてくれます。

  • シリーズ第二弾。

    家の声が聞こえる大学院生・遠野守人が、川越の古民家・〈月光荘〉の住み込み管理人となって数か月。
    グイグイ距離を詰めてくる川越っ子・べんてんちゃんのお陰もあり、知り合いも増えて街にも馴染んできている様子です。
    表題作の第一話「浮草の灯」は“活版印刷三日月堂シリーズ”に出てきた古書店〈浮草〉が舞台で、水上さんの「雲日記」も取り上げられていましたし、第二話「切り紙」では、“三日月堂シリーズ”の番外編に登場した和紙店〈笠原紙店〉の話だったりと、結構しっかりリンクしている感じです。
    〈月光荘〉で行われた、切り紙のワークショップも楽しそうで、こうして古き良きものを通して地域の繋がりが広がっていくのって素敵ですよね。
    ところで、前作では家の声が“聞こえる”だけだった守人ですが、本書では〈月光荘〉と“会話”ができるようになっていて、その様子が微笑ましく、何だか〈月光荘〉が可愛く思えてきました。
    次巻ではどんな交流や繋がりがあるのか、読むのが楽しみです。

  • 三日月堂ファンとしちゃあ話がつながったのは嬉しい。でも、これはもはやファンタジーだわ。家の声が聴こえるって、まあそういうのも許すかなって思ってたけど、家と会話までしちゃうとなるとちょっとなぁ。川越の古民家が若者たちの関与で魅力的に再生されるていくのは夢がある。行政頼みではなくて、地元の人たちとともにそういう街づくりがかなうのなら理想的だ。でもって話の本筋は、三日月堂が活版印刷の魅力を伝えてくれたように、月光荘は古い地図の魅力を伝えてちょーだい。

  • 『活版印刷三日月堂 雲の日記帳』を読んでそれほど日が経っていなかったので、「浮草の灯」が沁みた。
    昔、両親がどこかに旅行した際に購入した和ろうそくが実家で飾られていて、とても綺麗な柄だったのを思い出した。これを読んで、私も欲しくなった。
    「オイテカナイデ」という家の声が心痛い。だが、その後の展開に安堵。
    「家」がお正月に人になって集まるという不思議。
    ファンタジー色が強くなるも、違和感がなくなり、面白くなってきた。


  • ① この本を選んだ理由
    このシリーズを読み始めたので、その続きで。

    ②あらすじ 
    3部構成。
    浮草の灯、切り紙、二軒家。
    浮草の灯では、活版印刷三日月堂シリーズの水上さんが登場する。

    ③心に残ったこと
    建物との会話

    ④感想
    前作よりこちらの方がよかった。
    全体的に寂しい感じがした。
    この本を読むと、家に触れて声を聞こうとしてしまう…

    ⑤登場人物

    遠野守人
    松村果歩 べんてんちゃん
    木谷先生

    安西明里
    豊島つぐみ

    他…

  • おおっ
    人の輪もお話も繋がっていく…

  • 家の声が聞こえる、はまだいいとして、会話し出すとなると何か違う。

  • 菓子屋横丁 月光荘シリーズ2作目
    川越の古民家で地図資料館を任された 大学院生の遠野守人
    彼は(家の声が聞こえる)不思議な力を持っていた。
    2作目となる今作品 
    登場する家は・古書を扱う浮草・和紙を扱う紙屋・昔は2軒並んでいた古民家
    それぞれの家にはそれぞれの家族の歴史があり、そこで生業をする人々の記憶が刻まれている。そして 家にもそれぞれの想いがあった。

    明治から昭和にかけての家や店 街の繁栄や衰退 川越らしい情緒があいまって 
    読者も登場人物たちと一緒に 街を歩き、歴史を学び、それぞれの家の想いに触れていく。
    また
    主人公 遠野の周囲の人々がとても優しいので、心がざらつくことなく 読み進められる。

    日本人の(様々な自然万物のもの 現象にも神が宿る)という考え方
    いいですよね。

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著者プロフィール

1964年東京都生まれ。作家・詩人。95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年から刊行された「活版印刷三日月堂」シリーズが話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気となる。主な作品に「菓子屋横丁月光荘」シリーズ、『三ノ池植物園標本室(上・下)』など。

「2021年 『東京のぼる坂くだる坂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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