菓子屋横丁月光荘 浮草の灯 (ハルキ文庫)

  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 141
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442671

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ2巻目。古い家が発する声を聞くことができる大学院生、遠野守人と周辺の人々との関わり。川越を舞台にして「活版印刷三日月堂シリーズ」とのリンクが沢山ある。
    古書店浮雲のその後が描かれていてファンとしては嬉しく、すこし物悲しい。小川未明の『赤いろうそくと人魚』は私も絵本で読んだ。酒井駒子版。そして怖かった。強い怒りと哀しみが潮のかおりになって漂ってきそうな。『月夜と眼鏡』は未読なのでぜひ読んでみたい。水上さんの跡を継ぐか就職するかで悩む安西さんに、遠野くんが紹介した和蝋燭。洋蝋燭との違いなんて、全くしらなかった。炎は暗め、蝋が溶け残らない、芯が固い。櫨蝋とかかれると『肥後の石工』を思い出す。蝋燭は灯りだけでなく、ゆっくり流れる時間をくれるのかもしれないと思った。続く2章は紙のお話。和紙はきちんと手入れをすれば千年も持ち、濡れても墨は流れない。生活に紙を活かすためのお店作りの一環として行ったワークショップの紋切り型、いわゆる切り紙は私も懐かしくて顔が綻ぶ。ルーツが中国のヤオトンにあるという。どんな場所なのだろう。
    全体的に家族との軋轢やすれ違いが描かれていたが、少しずつわだかまりがほどけていくのが心地よい。それぞれが大切にしているものを軸にして、遠巻きながら繋がっていく。ほしおさんは必ず手仕事や伝統工業や、歴史などを紹介してくれる。そして工夫を重ねて、これからも続く形を描いてくれる。途絶えさせるにはあまりに惜しいものたちが、どうか未来へ続いていきますようにという願いを感じる。

  •  このシリーズを読んでると、川越に行きたくなりますね。

     穏やかで、読んでいて気持ちがいいです。

     

  • 「菓子屋横丁月光荘」の2冊目。
    どこかで読んだような話と思えば、三日月堂の最終巻に出てきた古書店・浮草の話じゃないか。
    店番の安西さんは、同じ巻の第2話の就活に悩む女子大生だよね。
    ネットで見ると、作者は同じ時期にこれらの話を書いたようで、あちらの話をこちらから見ればという趣向。

    何という話でもなかった最初の巻だったが、この巻になって、三日月堂に近しいテイストを感じて、なかなか良くなってきた。

    昔と違って、歳を取って、最近、仕事で気持ちの通わない人とやり取りするのが億劫になっているのだけど、『人とかかわるのに痛みはつきもの。心を閉じてしまえばどんどん鈍感になれる。まわりになにも働きかけないでいれば、傷つかない。だけど、それじゃダメなんだ』なんて、ちょっと耳が痛いやね。

    また、この作者には父子の関係の話が良く出てくるのだけれど、『子どもを育てるためにお金と労力をかけるのは、子どもが大事だからだと思うんです。命がけで育てるからこそ自分の価値観を押し付けたりもする。祖父が生きてるうちにそのことをわかってたら、もう少し話せたのかも、って思いました』とはなかなか思いつかないし。
    私は父に対してこう思えなかったけど、息子は私に対してどう思っているかなぁ。

  • 前巻ではただの不思議のようなイメージだった家の声が、現実味を持ってきた感じがした。紙は良いですね。きらきら、花、雪。感触があるって素晴らしい。人の輪が広がって、こんな素敵な街だったら仲間に入れてもらいたいなと思う。

  • ほしおさんの本は心にじんわりくるので好
    きです。
    そしてシリーズ2作目で活版印刷三日月堂とリンクしました。
    それも大好きな雲の日記帳。
    川越行ったら菓子屋横丁でみんなに会えそうな気がする。

  • 2019.08.20読了 41

  • 【収録作品】第一話 浮草の灯/第二話 切り紙/第三話 二軒家
     『活版印刷三日月堂』と同じ世界観。血縁は薄くても地縁は作れる。

  • 2019/7/22(月曜日)

  • 家の「声」を聴くことができるものしずかな青年の物語。もう少し学生生活の話もあってもいいかも。

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著者プロフィール

ほしお さなえ
1964年東京都生まれ。作家・詩人。父に翻訳家・評論家の小鷹信光、夫に作家・思想家の東浩紀。
東京学芸大学卒業後、理工系出版社、大学研究補佐員をへて、作家活動へ。
95年「影をめくるとき」が第38回群像新人文学賞優秀作受賞して詩人としてデビュー。2002年には長編小説『ヘビイチゴ・サナトリウム』が、第12回鮎川哲也賞最終候補作となる。16年に刊行された『活版印刷三日月堂 星たちの栞』が話題を呼び、第5回静岡書店大賞(映像化したい文庫部門)を受賞するなど人気シリーズとなる。

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