パラレルワールド (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 88
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442886

感想・レビュー・書評

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  • 解説に、パラレルワールドの定義について書かれてあって、まさかシュレーディンガーの猫に繋がるとは思っていなかった。
    生きているか、死んでいるか、箱を開けるまでは未確定の事象。
    それは、生きている世界Aと、死んでいる世界Bの共存とでも言うのだろうか。箱を開けた瞬間に、世界は決まる。

    さあ、どちらに?

    この作品では、そんな生きている世界Aと、死んでいる世界Bの両方を観測し得る存在が登場する。
    作者が「東日本大震災を対象とした英語によるチャリティアンソロジーのために執筆した」と書いているように、豪雨と地震によってダムが耐えきれず壊する所から始まり、人々は深く傷つく。

    観測者の可能性という点では、この話はよく作られているのだけど、未曾有の大災害の中で、世界軸さえ狂ってしまった現実として読むならば、もっと違ったスポットの当て方もあったのかなとも感じた。

  • このような話の場合、設定の縛りがきつい程、主人公は苦労する。縛りの中で、思いがけない発想や起点で乗り越える時にカタルシスが有るのだけど、この話にの場合は縛りがややご都合主義に思える所が興ざめだった。

  • 『ウルトラ〜』に続き、ヤスミン作品七作目。最後の一章はどういう意味なんだっ!?全く分からないんだが…(><; (→個々のあとがきを読み、納得。)怪人(?)の最後は凄まじいですね…あんなのはホント嫌だ。舞台設定はメチャクチャ好みだったのに、読み終えた今その気持ちに応えたくれる作品ではなかった…。でも、決してつまらなかった訳ではない。星三つ半。

  • アイディアがいい。
    終盤、6歳児覚醒…!?って一瞬引いたけど、その後ちゃんと設定をいかした展開になったので安心しました。
    東日本大震災のチャリティアンソロジーへの寄稿が元になってるらしいけど、失ってきた大切なものが傍らにあると信じてみたくなる、いい話だった…

  •  夫婦と5歳の子どもの家族。大雨に大地震が重なってダムが決壊し大災害が起こる。
     ひとつの世界では妻が死に、それとそっくりなもうひとつのパラレルワールドでは夫が死ぬ。ところが息子はその二つの世界を同時に体験している。息子はどっちとも会話できるが、夫婦は双方をまるで息子だけに見える幽霊のように体験する。
     という設定のショートショートを東日本大震災の、英語のチャリティ・アンソロジーに書いたそうなのだが、それを長編化したもの。
     しかし小林泰三がそんな悲しくも愛おしい作品で終わるわけがない。

     この息子と同様に二つの世界を同時に生きることになったもうひとりの男、それはとても悪い奴なのだが、それが登場する。彼はその境遇を利用して悪辣な金儲けをしているのだ。この境遇からいったいどのような悪事ができるのか、設定にプラスアルファはあるのだが、まずはちっとも思い浮かばなかった。
     そしてそういう悪人が登場するならば、当然、上記の家族が目を付けられて、危機に陥るというストーリーはみえるのだが、悪人を撃退する方法はちっとも思い浮かばなかった。
     やられました。でもどうだろう。「私の代表作となりうる作品である」と著者はいうが、『AΩ』『天獄と地国』『殺人鬼にまつわる備忘録』(『記憶破談者』解題)なんかのほうがすごい作品だと思う。

  • ある災害をきっかけに並行セカイの住人となった男の子。彼にはその災害でなくなった父親とら暮らす世界と母親と暮らす世界の両方が存在した。
    ある日、同じ能力を持ち、その力を悪事に使う男が少年の能力に気がつくと、亡き者にしようと画策する。
    この複雑な世界で暮らす少年の運命は?
    果たしてこのパラレルワールドはどうなるのか。
    互いに異なる世界に存在する両親は、息子の危機にどう立ち向かうのか。

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2020年 『未来からの脱出』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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