殺人都市川崎 (ハルキ文庫 う 10-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.12
  • (4)
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  • (6)
  • (4)
本棚登録 : 236
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758443371

作品紹介・あらすじ

治安が悪く、地獄のような街で地べたを這いずって暮らしていると考えていた俺は間違っていた。
出会ったら命がないと言われている、伝説の殺人鬼・奈良邦彦。本当の地獄は、あいつとの出会いから始まった。
彼女を、そして両親を殺された俺は、それからも執拗に奈良に狙われ続け……。
四一歳の若さで急逝した作家による、最期の挑発&最後の小説。

感想・レビュー・書評

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  • 浦賀和宏『殺人都市川崎』ハルキ文庫 。

    41歳という若さで急逝した浦賀和宏の最後の小説。果たして『殺人都市川崎』という奇妙なタイトルの小説は最後にどんな世界を見せてくれるのか。

    実在する川崎市を日常的に暴力や盗難、殺人が蔓延する治安の悪い架空の街として描き、作中には驚くほど過激な描写が多く見られる。意外に単純なストーリーと思われたが、終盤に思いも寄らぬ疾風怒濤驚愕の展開が待ち受け、読み手は『殺人都市川崎』という奇妙なタイトルの真意を知ることになる。

    後藤一家を惨殺し、その後行方不明になっていた伝説の殺人鬼・奈良邦彦が魔都・川崎市に戻って来た。川崎市に暮らし続ける主人公の赤星は彼女と両親を奈良邦彦に惨殺された挙げ句に執拗に命を狙われることになる。殺人鬼・奈良邦彦が現れる度に血の雨が降り、多くの人びとが犠牲になる。

    容赦のない殺人鬼に追い掛け回されるスリルと目前で多くの人びとがあっさりと斬殺される恐怖……

    浦賀和宏は『記憶の果て』以来、ずっと読み続けて来た作家で、安藤直樹シリーズ、桑原銀次郎シリーズなど後味の悪い奇妙な独特の雰囲気を持つ作品に魅了された。もう二度と浦賀和宏の新作を読めないとなると非常に残念で堪らない。

    本体価格640円
    ★★★★★

  • 神奈川県川崎市を舞台に繰り広げられるサスペンスホラー小説、浦賀和宏氏の遺作です。
    川崎は仕事の関係で縁があり、凄まじい書名ですが手に取りました。
    川崎市川崎区が他区と比べて極めて治安の悪い底辺の地域として描かれ、実際の川崎区民は読んでどう感じるのだろうかと少々不安になる内容です。
    川崎市幸区の一家殺人事件の容疑者でありブギーマン伝説のような殺人鬼“奈良邦彦”が、川崎区に再び現れるところから物語が始まります。
    激し過ぎる描写が多いために現実味が薄いのですが、それは読み進めると感じてくる違和感に通じるものでした。
    著者による壮大なカラクリが用意されているのです。
    地名が多く出てくるので住民か否かで感じ方が異なると思いますが、後者である私でも楽しめる作品でした。

  • うわっ!すごいラストで衝撃大!
    いや、タイトルもインパクト大!

    治安が悪い川崎で暮らす赤星はある日、目の前で彼女を殺される。最後に彼女から聞いたのは、伝説となった川崎の殺人鬼・奈良邦彦の話。実は学校の先生がその殺人鬼から逃れた一人だという。その後、赤星は奈良につきまとわれ何度も殺されそうに…。果たして奈良の正体は?そしてその理由とは?

    いや~人がバタバタ殺されていく様子にちょっと笑った。なんだろう、このジェイソンぽい感じ。

    で、ラストが…ええ!?

    なかなかな衝撃を受けた1冊

  • 浦賀さんが急逝していたという事実に驚き。
    「彼女は存在しない」で彼の本を知った。
    失礼ながら稚拙な書き方だなと思っていたが、平易な言葉で書く人だと分かった。そして、最後に衝撃を受けたことを今でも覚えている。
    今回のラストも浦賀さんらしくぶっ飛んだ感じで、やはり読み返しは必須だった。川崎に妙に詳しいと思ったら出身地だったのね。川崎を知ってる人は目の前に鮮やかに光景が浮かぶ。シリーズ化するつもりだったと知り、やはりまだ読みたかったと思う。41歳ださという若さで…残念で仕方ない。

  • 【内容紹介(裏表紙より)】
    治安が悪く、地獄のような街で地べたを這いずって暮らしていると考えていた俺は間違っていた。出会ったら命がないと言われている、伝説の殺人鬼・奈良邦彦。本当の地獄は、あいつとの出会いから始まった。彼女を、そして両親を殺された俺は、それからも執拗に奈良に狙われ続け……。四一歳の若さで急逝した作家による、最期の挑発&最後の小説。

    【感想】
    浦賀和宏は本当に物語への引きが上手い。
    伝説の殺人鬼の設定や、スリリングな展開にワクワクしながら夢中で読みきった。
    疾走感あふれる展開からの、この結末には賛否両論ありそうだが、まあいかにも浦賀和宏らしいと思える幕引きだった。
    終わってから考えると、至るところにトリックが潜んでおり、再読しながら探すのも楽しいだろう。

  • 初っ端から武蔵小杉への憎悪や羨ましさが表現されてて笑った。チネチッタやウェアハウスも出てくるから行ったことある人は楽しめる。

    終盤は想定外。賛否分かれそう。自分はこれも好き。

  • 川崎での一家惨殺事件に絡むお話でした
    川崎にいる男子と武蔵小杉へ越した女子の視点でのストーリー展開
    終盤、ん?あれ?
    ってなるところから徐々に真相があきらかになる流れ
    まぁでもなんか設定が・・・って部分もあるような気がしてますがおそらくは回収はできてるんだろうなとは思います
    でも納得いかない部分もありました
    これのシリーズ化の構想もあったみたいですが実現できずとても残念です。それ以前にこの著者の新作がもう読めないと思うとそれが残念です

  • 川崎区をひたすら悪しざまにいうところに爽快感を感じつつも,だんだん怖くなってきたわ川崎市民。
    「愛」はたぶん,「恵」なのね。

    (追記)
    ああ,時間軸がずれているの?。赤星がいう「先生」と,愛がいう「先生」。

  • "叙述トリック"でも"どんでん返し"でも表現しきれないぶっ飛び感。ご当地小説としてもエンタメ度相当高くて笑える。川崎市民は読みましょう。
    あまりにも早い死。御冥福をお祈りします。

  • 途中まで面白く読めましたけれども、ラストがなぁ…まあ、浦賀作品はいつもラストが微妙なんですよね! 腑に落ちた、という感じにはならなくていつもお茶を濁されている感じがして…まあ、中途までは面白く読めたし、イイかな…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    これが遺作となるわけですか…すごいタイトルだなぁ、と店頭で見かけた時には思いましたね。川崎は僕の住んでいるところから比較的近いんですけれども、そういえばあまり訪れることなく今日までやってきましたね。この本を読んで川崎と言う街に興味が沸いてきました! けれども、この小説にもあるように、実際悪いイメージ通りというわけでもなく、訪れてみれば普通の街なんでしょうけれど…どうにも日本には前評判やら、先入観、イメージが先行するような、そんな雰囲気がありますね! ちゃんと実物を見て判断しないと…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、浦賀さんの作品で好きだと思ったのは初期の安藤直樹シリーズと松浦純菜シリーズくらいですかね…松浦~はまだ文庫化されていないってか、もう文庫化の予定はないのか!?って感じですけれども、久々に著者の本を読んでみたら、不思議と過去に読んだシリーズとか再読したくなってきましたねぇ…さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。1998年、『記憶の果て』で第5回メフィスト賞を受賞しデビュー。『時の鳥籠』『頭蓋骨の中の楽園』など、著書多数。2020年、急逝。

「2020年 『こわれもの 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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