あきない世傳 金と銀(九) 淵泉篇 (ハルキ文庫 た)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 355
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758443616

感想・レビュー・書評

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  • 読むのが辛い一巻だった。これまでも色々な難事に立ち向かってきたけれど、何より信頼する身内に裏切られることほど心えぐられることはないだろう。
    九巻でも途中までは「いやでも、まさか」の思いは拭えなかった。でもまさかじゃなかった。

    以前から結の言動に対する違和感はあった。作者は、こうなることを予め決めた上で、これまで小さな黒い不信の種を蒔いていたのだろうか。
    結の思慮の浅さ、甘さ、ずるさ、弱さがここにきて一気に噴出してしまった。

    「姉さんには人の心がない」
    …そう言って幸を詰ったのは一体誰だったか。
    結が裏切ったのは幸だけではない。五鈴屋で苦楽を共にしてきた奉公人に対しても。よくぞここまで心を捨て切ることができたものだ。
    しかし、結の手酷い裏切りにもかかわらず、幸はまだ結を見捨てることはしないのだ。

    "大坂商人として、幸が誰よりも敬い、慕う富久ではあった。だが、四代目に対する姿勢に、首を傾げていたのも事実だ"

    …いやこれ、私が幸に対して思っていることまんま。。結に対する姿勢には首を傾げてしまう。いや、そんな簡単には振り切れないか…。

    幼い時に兄と父が亡くなり、奉公先では次々と嫁ぐも、四代目の放蕩と死、五代目の失踪、六代目の死により夫と三度も別れ、死産により子を失い、そして今回のたった一人の妹・結の裏切り…。幸は商才に恵まれていても、身内絡みの不運や不幸が続いて、辛い出来事が途切れない。
    さらには今巻では、最大の窮地が訪れる。些細な商いをきっかけとした仲間外れ。五鈴屋は江戸で呉服の商いができなくなる。

    それでも支えてくれる人たちがいる。久しぶりの大坂の場面では懐かしく、暗く沈んでいた心も少し軽くなった。それに五代目だったときは強権的で恐れられていた惣二の変貌。角とれて鷹揚になり、ピンチには助言も与えてくれる。
    なんとか窮地はしのいでも、結の問題は何も解決していない。もやもやは残るが、このままは続かないだろう。結が、自らの過ちを正面から受け止める日がくるのだろうか。
    そして五鈴屋は、木綿の新たな型染めで新境地を開くことができるだろうか。次巻が待ち遠しい。

  • 高田郁『あきない世傳 金と銀(九) 淵泉篇』ハルキ文庫。

    シリーズ第9弾。今回も書き下ろし。

    一種の立身出世物語なのだが、ここまで不幸が降りかかるとなると、やり過ぎのようにも感じる。『みをつくし料理帖』が幸せと成功をメインにした陽の物語なら、こちらは不幸をメインにした陰の物語だろう。

    次々と五鈴屋の幸に降りかかる苦難。それを乗り越えた先に見えた新たな光……

    幸の妹の結が十二支紋様の伊勢型紙を持ち出し、出奔。結が幸を裏切るというまさかまさかの展開。さらには五鈴屋存亡の危機に関わる事態が……

    本体価格620円
    ★★★

  •   哀颯的景象 就在盛満中
      發生的機緘 即在零落内
                   『菜根譚』

    修得先生から贈られた掛軸の文言には続きがあった
    「衰える兆しは最も盛んな時に生まれ、新たな盛運の芽生えは何もかも失った時、既に在る」

    まさにこの通りの展開の第九巻
    読んでいて暗く、重苦しく、胸がもやもやすっきり晴れることはなかった

    よくもまあこんなに次々と、幸や五十鈴屋にふりかかる試練と困難
    まして、可愛がっていた実の妹に、裏切られ、足元をすくわれるとは、信じ難く、これは何かの間違いだ、今に結は、戻ってくるに違いないと信じていたが、見事にその期待も裏切られた

    美しく聡く何もかも完璧な姉への嫉妬とは、それほど大きなものだったのかと衝撃を受ける

    さらに呉服組合からも外され太物商いしかできないことに、失意のどん底に突き落とされた幸

    今からどのように這い上がっていくのか

    唯一救いだったのは、今迄幸が結び、繋いできた数々の人の縁が切れずに、折につけて幸を支え、励まし、いろんなヒントをくれること
    特に、嬉しかったのは5年ぶりの帰阪で再会した菊栄との姉妹のような語らい
    男社会の中で、何とか女が生きていく活路を見出そうとする姿に強く共感した

    吉次の楽屋着からヒントを得た木綿のくつろぎ着、今の浴衣の原型であろうが、それが形になり人々の心を捉えていくのは、次巻になりそうだ

  • 他の方もレビューに書いてますが、今回の巻は本当に読むのがしんどかった…。まさかの結の裏切り。幸も今回ばかりはかなり憔悴してる描写があり、読んでる側としても暗くて暗くて早く明るい兆しが出てこないかとついつい読むスピードも速くなってしまった。

    でも亡くなった兄の学友だったという素敵な縁のある学者とも知り合いになり、掛け軸の残りの節を聞いた幸たちが気を取り直して立ち直るシーンがとても印象的でした。

    菜根譚、昔から気になって何度か読もうとして読んでないままなので、これを機にパラパラと読んでみようかな。

    結には結の言い分があるだろうけど、個人的には狸共々痛い目見てほしい…と思うが、あきない世傳自体は勧善懲悪的なストーリーではない(と思っている)ので、それもまた違うのかな。

    ただ、どこかで反省してほしい描写は欲しいなと思ったり…現実ならありえなくても物語だから、後々、結には反省してほしいなぁ(願望)

    幸の次巻の快進撃に期待します!!


  • 発売が待ち遠しくて
    だって、あの結があ!

    相変わらず文庫一冊にもう山も谷も
    ぎゅうぎゅう詰め
    飽きさせませんねえ
    高田郁さん

    大阪からまた江戸へ

    今までの脇役も活躍しそうで楽しみです

    あーおもしろかった

    でもまた次の発売が待ち遠しいのです

    ≪ 血縁の 情と怜悧の 山と谷 ≫

  • 衰颯的景象 就在盛満中
    發生的機緘 即在零落内

    衰えの兆しは 最も盛んな中に在り
    新たな芽生えは 落ちぶれた内に在る

    戒めと希望。人生すべて塞翁が馬。ということか

  • シリーズ第9弾
    大切にゆっくり読んだのにもう読み終わってしまった
    それ程のめりこめた
    と言うかあまりにも酷い結果になってしまったので早く報われて欲しいとの想いから気が急いてしまったのだと思う
    面白かった事に変わりはないのに 心が黒いものに侵されたままいつまでも晴れなかった
    やっと商いに光が挿してもそれは変わらぬまま
    身内の心のすれ違いは辛い

  • もう結ちゃんったら・・・
    血を分けた姉妹であっても、いや、あるからこそ、気持ちのねじれが起きるのかもしれないが、幸の試練、今回も半端ないです。

    藍染の木綿の目途が立ったところで今回は終わっているので、まだまだこの先も五鈴屋さんの面々にお会いできそうなのは何より。
    幸の知恵と頑張りには、本当に力をもらっているので、このシリーズがもっともっと(できれば早く)続いてほしいと願っています。

    個人的にはお梅さんと梅松さんの今後が気になる。

  • 結に関していえば、音羽屋の言うことは正しいと思う。

  • あぁ、結、、、
    そうならないでほしいという展開に、、、
    最悪の状況に心が深く沈む。
    そのうえ、五鈴屋を襲う災難。
    活路を探す幸に心からのエールを送りながら読んでいた。
    大阪に戻ったことで、その一端が見えてくる。
    がんばれ、幸。
    がんばれ、五鈴屋。
    惣次が、けっこういいとこもっていくね。
    菊栄も、今後、江戸で活躍してくれそうで楽しみ。

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