時効の果て 警視庁追跡捜査係 (ハルキ文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 509
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758443869

作品紹介・あらすじ

「何だ、これは?」追跡捜査係の頭脳・西川大和は思わず声を上げた──。
「おいおい……」定年まであと八年のベテラン刑事・岩倉剛はコンビニエンスストアの前で固まってしまった──。
二人を驚愕させた週刊誌の見出しは、三十一年前迷宮入りしたバラバラ殺人事件の新証言。
誰が、何の目的で。警察の面子を守るため、そして刑事になった契機の事件を追うため、似た者同士の知性派二人が動き出す。
捜査を阻む時の壁に挑む、書き下ろし長編警察小説。

感想・レビュー・書評

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  • ガンさんてどんなキャラだっけ?が前作から時間が経っていて思い出せなかったのが残念。彼含め異動した過去キャラを出すのもいいけど新キャラの発掘にも期待したい。

  • 「追跡捜査係」シリーズとして、刊行になったが、今作から3作連続で、「ラストライン」「被害者支援課」シリーズの合作が発売されるそうで、これはその第一弾で、「追跡捜査係」と「ラストライン」のコラボ。
    作品自体は「追跡捜査係」で出ているが、今回は沖田は出張に行っていることになっており、登場するのは西川のみ。
    ある日、週刊誌に掲載された31年前の未解決事件の記事。
    記事には公表していない、犯人のみ知る真実が書かれており、時効を迎えた事件とは言えども、放置する訳には行かず、捜査一課と広報で話し合った結果、「追跡捜査係」が「調査」することに。誰が、何の目的で、このような記事を週刊誌に売り込んだのか、調査を始める西川だったが、もう一人、この事件に興味を持つ刑事がいた…それが「ラストライン」の主人公で、南大田署に勤務する「ガンさん」こそ岩倉。本来の押しの強さで、勝手に捜査を始める岩倉と、若干引き気味の西川だったが、記事を売ったと思われる人物が拉致され、強引な追跡な結果、自己を起こし、運転手が亡くなってしまうことで、過去の人間関係が明らかになり、未解決だった31年前の事件も明らかになる。
    イラストまで作成して、やる気満々だけど、ラストラインを読んでない人には、人間関係がよく分からない。
    相変わらず、細かい食事のシーンはくどいし、この後もコラボが出るようだが、個人的には単体で出して欲しい。
    それでなくても、最近ネタ切れなのか、コラボ関係ないし、他の作品の登場人物が出て来るし、どうせコラボするならば、ラストラインではなく、「アナザーフェイス」でも「一之瀬」でもいくらでもあるのに、何故、よりによってラストラインなのか…残念でならない。

  • 作者は幾つもの“シリーズ”の作品を送り出している。本作は<警視庁追跡捜査係>のシリーズになっている。が、同時に<ラストライン>の中の作品という感さえする。
    <警視庁追跡捜査係>は本部の捜査一課に設けられていることになっている係の捜査員達が活躍するシリーズだ。捜査が進められた経過が在って、未解決になっている事案に関して調べるという役目を負った係で「粗探しをしている?」と捜査関係者の間では少し煙たがられている係だ。この係の主要な捜査員に西川刑事が在る。西川刑事は資料を徹底的に読み込んで、死角になってしまった事項を探し出し、それを探って推理を巡らせて事件解決を目指すというような捜査員だ…
    <ラストライン>は南太田署刑事課の、50代になっている岩倉刑事の活躍するシリーズだ。過去の事件に関する驚異的な記憶力で知られる“名物男”であるが、「この線で…」と捜査本部が走り出しそうな場面で「一寸待て!」という論を展開することでも知られる人物だ。本部で、捜査情報関係のAIを研究する事業に協力するように仕向けられていて、それを嫌って所轄署への異動を希望した。そして密かに交際する女性が住んでいる場所にも近い南太田署に在るという訳だ…
    本作は、西川刑事と岩倉刑事が共演、或いは競演している。西川刑事が主要視点人物になる部分、岩倉刑事が主要視点人物になる部分が概ね交互に在って事案が展開して行くのだ…
    物語は、オフィスに出勤した西川刑事が発売されたばかりの週刊誌に載った記事に驚き、思いを巡らせている場面から起こる。
    週刊誌に載った記事とは「31年前の“バラバラ殺人”」という一件のことだった。
    公園の池で、人体の一部が入ったゴミ袋が浮かんだ。騒ぎを受けて調べると、バラバラになった人体が幾つかの袋に容れられて池に遺棄されていたのだった。殺害した遺体を損壊した事件として捜査本部が設けられて捜査が進められた。が、遺体の身元を特定するに至らず、時効となってしまったのだった。
    時効になってしまった31年も前の事案に関しては、未解決事件を調べる追跡捜査係としても正式に捜査ということにはならない。が、事件当時に敢えて公表しなかった、ゴミ袋の色というような次元の「当事者以外に知り得ない事柄」を含む記事であることから、事案を“調査”ということになり、西川刑事が取組むこととなった。
    同じ頃、南太田署の岩倉刑事も同じ週刊誌を視て驚き、思いを巡らせていた。
    件の「31年前の“バラバラ殺人”」は学生時代に住んでいた地区で起っていた事件で、「こういう事件の捜査をする刑事に…」ということを思い立った契機となった事柄で思い入れが在ったのだ。
    岩倉刑事は件の記事を掲載した週刊誌の関係者に、過去の事件で出くわしていた、連絡を取れば会うことも出来るかもしれない人物が在ったことを思い出す。そして接触を図り、週刊誌に情報を持ち込んだという人物が南太田署の管轄地域に住んでいるということを知った。
    岩倉刑事も時効になってしまった31年も前の事案が捜査ということにならないとは思ったが、或いは報道を受けて事情をしる調査は行われる可能性が在ると考えた。その調査を担当するとすれば追跡調査係だ。
    そして岩倉刑事は西川刑事と連絡を取る。週刊誌への情報提供者が南太田署の管轄地域に在る。「自分が手伝えるように手を回せ…」と岩倉刑事は西川刑事に伝え、西川刑事は応諾した。
    こうして西川刑事と岩倉刑事は、「31年前の“バラバラ殺人”」に纏わる事柄の調査に乗り出した。
    正式に「追跡調査係が南太田署刑事課に協力を依頼した調査」という体裁になったことから、岩倉刑事は早速に件の情報提供者に関して調べ始め、そして住まいの辺りで行動を観察し始めた。程無く事態が動き、31年前の別な事件の関係者の姿が視え始める…
    両刑事が各々の持ち味で、似ているようで実は違う両者が事件に向き合い、共闘、張り合いと色々在って、31年も前に何が起こっていたのかを解き明かしていく物語である。酷く愉しんだ!

  • 【警視庁追跡捜査係シリーズ第10作目】
    週刊誌の記事は31年前迷宮入りしたバラバラ殺人事件の新証言。内容は犯人と思われる。
    時効が廃止する前に時効が成立してしまった事件で警察としては何もできない。だが警察としては、週刊誌に犯人を暴かれるというのは面白くない。
    結局、警察はまだ調査していました、という名目がほしく、追跡捜査係に依頼がくる。沖田は別事件を追っており、西川が担当することになる。
    時効は成立しているので、捜査ではなくあくまで調査だが。
    この31年前のバラバラ殺人事件がきっかけで刑事になり、所轄にいるベテラン刑事の岩倉は、追跡失踪課にいたこともあり、西川に自分の調査に加われるようにお願いする。岩倉は記憶力がずばぬけてよく、外回りが好きで、沖田のよう。今回は沖田の出番はなく、西川・岩倉コンビで調査・解決していく。
    途中でアナザーフェイスの大友がでてきて嬉しかったが、ガンさんは初見でよくわからなかったが、「ラストライン」の主人公でコラボだったようだ。先に知ってラストラインを読んでおきたかった。ただ、ガンさんはちょっと好きになれなかった。「ラストライン」読めば好きになれるだろうか。

    この週刊誌をきっかけに別の事件が起こり、31年前のバラバラ殺人事件の真相がわかっていく。犯人は時効が成立しているので警察としては追及できないが、社会的制裁はできたように思う。

  • 読みやすかった。事件の流れを細かく描写しているが、登場人物の描写は少なかった。

  • 沖田さんはお休み作
    代わりにガンさんと西川さん
    面白いけど沖田西川が好きな私には物足りない…

    時効が成立した未解決事件の情報が週刊誌に掲載された事で動き出し、また新たな死者が出た

    会社の金の横領から始まり、強盗、殺害
    これらを隠して生活してきたのに浅はかな考えで週刊誌に情報を流した
    結果時効が成立しているため逮捕はされないこそ、社会的制裁にあう
    バカな犯人だった

    参考人としての事情聴取しか出来ないため、状況証拠を辿りぽつぽつと出てくる手がかりに、これがどう繋がっていくのか
    補填される西川とガンさんの予想が加わって、もどかしさを感じつつ楽しめた

    追跡捜査係から異動した庄田三井も活躍
    沖田西川と関わると仕事人間になるのかもしれない
    2人らしい新婚旅行だったのではないかと思う

  • 全く関係のないようなことがどんどんと結びついていく様子がとても面白かった。登場人物の個性も様々で、朝のファミレスの様子や、街の様子、食べ物の表現がとても好きでした。

  • 時効事件の解決に向けて、複数のパーツが結びついていくことに気持ち良さを感じました。事件の解決に焦点か当たり過ぎて、登場人物の人隣の描写が少なかったのが個人的には残念!番外編だからやむなし?

  • 毎度のことながら、実に都合よく色々な情報が出るわ出るわ、という展開。色々なシリーズモノもやたら連携していて、一見さんには厳しいのでは。

  • 時効になった事件を現役警察官が追う異色な作品。端緒になった事件が事項になっているためなのか追跡捜査係シリーズ扱いだがラストラインシリーズに組み込んでもおかしくないくらいに岩倉が大活躍している。半分私刑も混じっているような事件の締め方だが逃げ続ける悪には現実社会でもあって良いと思う。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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