- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758444224
作品紹介・あらすじ
母代わりの了然尼が建立中の寺の庫裏になつめが越して初めて迎えた秋のある日、
駿河で医者をしている兄・慶一郎が突然訪ねてきた。
なつめが七歳のときに京の生家で起きた火事の夜以来、十余年ぶりの再会である。
兄からは、両親が亡くなった火事の真相が明かされる。
一方、京の菓子司・果林堂の御曹司で、江戸遊学中の長門からもたらされた寒天なる材料に興味津々のなつめ。
世話になった照月堂を辞め、今後どのような菓子を作っていこうかと模索した後に辿り着いた道とは……。
菓子職人を志した娘・なつめの物語、ついに完結。
感想・レビュー・書評
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江戸菓子舗照月堂シリーズ完結。
少し駆け足ではあったけど大団円かな。
10年以上離れて暮らしていた兄の慶一郎ともわかりあえ、その兄と一緒に父母の墓前に参り、自身の手で作った最中の月を供えられた。
なつめが願いが叶うと同時に、
これからのなつめが行くべき道筋がくっきりと浮かんだ。
人々が健やかになるような菓子を。
きっとなつめなら、自分だけの神様の果物を手にすることができるだろう。 -
照月堂シリーズ堂々の完結編。
最終巻の題名は全ての始まりだった「最中の月」かな、と予測していたけれど見事に外れた。「なるほど、こういう趣向ね」と納得できる、完結編に相応しい名づけだった。
なつめと兄の再会がなり、火事の真相も明らかになったけど、予測通り「不幸な行き違い」だった。肩透かしを食らったような、物足りない気分になる人もいるだろうけど、そこはこういう話なのでと納得していただくしかない。
なつめの「一人前の菓子職人になりたい」という夢が実現しないままの幕切れではある。それでも「体にも心にも優しいお菓子を作りたい」とはっきりビジョンを掴んでいる、成長したなつめに安心して読了できる。「あれになりたいこれになりたい病」であった一巻からよくここまで、と知らず微笑む終わり方だ。
後書きに「機会があれば」とあったので、またなつめたちに会える日を期待している。 -
初めて読む作者 篠綾子氏の本である。
女性時代小説が、好きであるので手にした本である。 江戸のお菓子屋で、主人公なつめ。
茶道を習っていたので、お正月の花びら餅が、出て来たりして、読み進むのだが、もう一つ、話の展開が、面白くない。
兄慶一郎が、京の生家で、起きた火事とその時の父母の死の内容も、もう一つ納得できない話。
慶一郎の父も、自分の息子を信用していなかったと言うのも、残念だし、息子の不始末を、家族一連で、死を持って償うやり方もおかしい。
武士として、お家の存続は、何を置いても、必須なのだから。
簡単に腹切りで、償いをさすのは、……?
読んでいて、初めて読んだけど:これが、完結編であることに気がつかず読んでいた。
もう少し、なつめの菓子への情熱や店の候補などや他の菓子職人の繋がりが、分かりにくかった。 -
え!!?
急に終わり?
そんな急に和解??
これからのナツメが面白そうなのに?
別シリーズで続きが読みたい
安吉がお父さんに会うシーンと
最後なつめと慶一郎の似てると話すシーンがちょっと泣ける -
だが、長門はその誰とも違う
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これで完結の「江戸菓子舗 照月堂」シリーズ。
火事で両親を亡くし、兄とは離れ離れになったなつめは、京都から遠い江戸にやってきた。
了然尼を母親のように慕い、縁あって菓子屋に勤めることになる。それから菓子職人への道を進むのだが。
次々と登場人物が現れるが、完結編ではそれはひとりとして無駄がないことがわかる。
一番グッときたのは、性格が少し悪い安吉という職人見習いなのだが、京都へ修行に行き、幼いながら天才的な菓子職人である長門をしることで、成長。
今回の失明した父親との再会は涙を誘う。
篠綾子さんの得意とする「和歌」の世界と、和菓子の世界が融合した魅力的なシリーズでした。 -
特別編でも良いので、続編希望です。