あきない世傳 金と銀(十一) 風待ち篇 (ハルキ文庫 た 19-26)

著者 :
  • 角川春樹事務所
4.31
  • (246)
  • (233)
  • (73)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 1667
感想 : 184
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758444255

作品紹介・あらすじ

湯上りの身拭いにすぎなかった「湯帷子」を、夕涼みや寛ぎ着としての「浴衣」に
──そんな思いから売り出した五鈴屋の藍染め浴衣地は、江戸中の支持を集めた。
店主の幸は「一時の流行りで終らせないためにはどうすべきか」を考え続ける。
折しも宝暦十年、辰の年。かねてよりの予言通り、江戸の街を災禍が襲う。
困難を極める状況の中で、「買うての幸い、売っての幸せ」を貫くため、幸のくだす決断とは何か。
大海に出るために、風を信じて帆を上げる五鈴屋の主従と仲間たちの奮闘を描く、シリーズ第十一弾!!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 仲間って最高やん?

    いいわ〜
    とってもいいわ〜

    日本橋音羽屋の蛸坊主の企みによって呉服仲間(ま、簡単に言うとカルテルですな)から外された五鈴屋と幸でしたが、今では太物商いによって飛ぶ鳥を落とす勢い

    そんな中でも浅草太物仲間の面々はまぁのんびりというか、お人好し揃いというか
    へんに羨むでもなく、ましてや悪く言ったり商売の邪魔をするよな店は皆無
    そんな仲間たちを見た幸は太物仲間たちに大成功した藍染め浴衣の商いを共に広げようと提案し、苦労の末に編み出した技や柄を惜しげもなく教えてしまいます

    それもこれも「浴衣商いを一時のものでなく、末永く続く商いにしたい」との想いからですが、信用できる面々が浅草太物仲間に揃っていたというのも大きかった

    そしてさらなる商いを一致団結して成功させます

    苦労の末に固い絆で結ばれた仲間たちから「真っ当な恩返し」が提案されます
    それは五鈴屋の主従にとっては念願の…



    いやぁ、もう良い!
    仲間って良い
    他人の商いを盗み蹴落とす音羽屋と音羽屋のいいように使われる呉服仲間に比べて、浅草太物仲間たちのなんと気持ちのいいこと

    やっぱね真っ当な商売を続けることで、良い奉公人が集まり、良い仲間が集まってくるわけよ
    他の店は全て商売敵と思ってるような蛸には決して得られない境地よ

    天晴!

    • ゆーき本さん
      楽しいレビューには楽しい人たちが寄ってくるのですね。いいな〜仲間って(*´ `)

      イッキューさん それは「1分いってきます」では済まなそう...
      楽しいレビューには楽しい人たちが寄ってくるのですね。いいな〜仲間って(*´ `)

      イッキューさん それは「1分いってきます」では済まなそうですね。しばらくこもりそう。お大事に。
      2023/11/07
    • みんみんさん
      毎年バリウムってお腹で彫像できるくらい居座るよねε- (´ー`*) フッ
      毎年バリウムってお腹で彫像できるくらい居座るよねε- (´ー`*) フッ
      2023/11/07
    • 1Q84O1さん
      ひま師匠
      下剤が効かずに溜るのはキツイですね〜
      腸を活性化するために、それ!運動!運動!
      ٩(๑´0`๑)۶

      ゆーき本さん
      1分では絶対無...
      ひま師匠
      下剤が効かずに溜るのはキツイですね〜
      腸を活性化するために、それ!運動!運動!
      ٩(๑´0`๑)۶

      ゆーき本さん
      1分では絶対無理!
      トイレから出て1分後にまたトイレですw
      (;´Д`)ハァハァ


      みんみんさん
      バリウム居座らなくていいです!
      早く出ていって!w
      けど、腹痛〜い(¯―¯٥)
      2023/11/07
  • あと2巻で終わりだね...。寂しいね。
    最近は幸せに終わる巻が続いていて、私も一安心だよ。幸せな結末というのにも、やっと慣れてきたよ。それでも残り2ページになると、まだ少しドキドキするけどね。ところどころ、引っかかる嫌〜な感じの人もいるね。気をつけて。それでも念願の呉服を、そろそろ扱えそうで私は嬉しいよ。幸、頑張るんやで。

    ...手紙のようだよ、このレビュー。

    • ひまわりめろんさん
      気持ちのこもった手紙じゃないか
      ええやないか
      気持ちのこもった手紙じゃないか
      ええやないか
      2024/02/12
    • へぶたんさん
      幸に、気持ち伝わりましたかねえ。
      もう母さんは、あと終わり2巻の展開が心配で心配で。口で伝えるのはなかなか難儀なもんで...。

      ...あ、...
      幸に、気持ち伝わりましたかねえ。
      もう母さんは、あと終わり2巻の展開が心配で心配で。口で伝えるのはなかなか難儀なもんで...。

      ...あ、因みに私は、令和の一般人の母さんです。
      2024/02/12
  • 宝暦十年、辰の年。予言通りに江戸の町を災禍が襲います。そして前巻で鳴りを顰めていた音羽屋が不穏な動きを…
    汚い手を使う音羽屋に腹が立ちます…が!幸の決断に胸が空く今作!!浅草太物仲間はこの苦しい状況に更に団結!!がっぷり四つの作戦に江戸の人々が狂喜乱舞でございます‹‹\(´ω` )/››

    次巻はどんな快進撃が見られるのか乞うご期待!
    「買うての幸い、売っての幸せ」だす!!


  • 買(こ)うての幸い、売って幸せ。
    宝暦9年(1759年)、師走(12月)14日の朝。
    江戸浅草田原町3丁目で太物(木綿)を扱う五鈴屋江戸本店は、開店丸8年を迎える。
    店主・幸は、大阪の五鈴屋からこの浅草の地に店を出して8年を想い描くと、喜びも苦しみも……と。一番の喜びは、五鈴屋江戸本店が、この地に根をおろしたこと。苦しみは、実の妹・結(ゆい)の裏切りです。そして両替商・音羽屋忠兵衛のはかりごとで呉服(絹物)の販売が出来なくなり、太物(木綿)を扱う店へと変ったことです。

    幸の知恵が、太物販売でも開花し、湯上りに使う浴衣を、夕涼みや寛ぎに……と、お洒落な浴衣として広めます。これが大当たりし、大変な売り上げになります。幸は、将来の浴衣の普及を考えて自店だけで扱うのでなく同業の浅草太物仲間(組合みたいなもの)全員で扱えるように生地、染め方の技術、紙型を無償で提供します。

    それによって浅草太物仲間加盟の各店が大儲けをし。それに感動した河内屋が、浅草太物仲間の会合で、太物だけ扱う浅草太物仲間から太物も呉服も扱う浅草呉服太物仲間へと変えて。五鈴屋江戸本店が昔のように呉服も太物も扱える店にという提案をします。今作は、ここ迄です。

    【読後】
    火事があったり、音羽屋忠兵衛に買い占められたり……と苦難が続きましたが。幸と周りの知恵で乗り切ります。此度は、喜びも苦しいことも有り、もうひとつもり上がりに欠けるが。丁寧に、こまやかに書かれているのが印象的です。

    風待ち篇 ー あきない世傳 金と銀シリーズの11作目
    2021.08発行。字の大きさは…小。
    312ページ
    2021.09.18~19読了
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【バックナンバー】
    あきない世傳 金と銀シリーズのバックナンバーは、私の本棚より「タグ」→「タグの一覧を絞り込む」に「高田郁」と入力。または、その中から高田郁を探してください。そうすると著者高田郁さんの本が一覧表示されます。
    私は、本を登録するときには、著者名と登録した年(2021)で登録しています。たまにシリーズ名でも登録もします。例えば「風烈廻り与力・青柳剣一郎」などです。

  • この人気シリーズも第11弾。
    五鈴屋江戸本店も江戸に進出してから8年経ったなんて…感慨深い。

    またしても蛸からの思わぬ横槍に歯噛みしつつも、知恵と経験と団結力により困難を乗り越えた。
    俯いてばかりいては何も始まらない。
    顔を上げ真っ直ぐ前を向き、信頼の置ける仲間と共に新たな道へと進むべし!

    副題にもなっている「風待ち」。
    読む前は何のことかと思ったけれど、読了した後しみじみ思う。
    髙田先生もニクイ副題つけるな、と。
    今回は確かに、大海に出る前の「風待ち」の回。
    力も充分に蓄え準備は万端整った。
    「ここならば間違いない」と長年のお客から信用される店にも成長した。
    ここは一つ、土俵際まで寄られながら一気に逆転する「打っ棄り(うっちゃり)」で技ありをキメるのみ。
    次回いよいよ大海へと漕ぎ出すのか…半年後が今から楽しみでワクワクしてきた。

    五鈴屋五代目惣次時代には横柄で何かと手こずらされていた、現・井筒屋三代目保晴。
    この男は果たして味方なのか、やっぱり敵なのか…。その展開も今後の楽しみの一つ。

  • 久しぶりに不幸な話しが続くかと思ったが、最後に何とか非常に明るい未来が見えてきたようで嬉しい。
    江戸が大火に見舞われるが、店も良い関係のところも無事でホッとする。一方、因縁の妹の所は悲惨な目に遭うが、その巻き返しで五鈴屋に酷い仕打ちをしてくる。本当に腹立たしくなってくるが、何とか乗り越えられただけで無く、新たな取り組みを「幸」に考え付かせる。長年、謎だった顧客からも仕事を頂き新しい仲間達と成功に導いた。その仲間達の「幸」への恩返しの案が最後に出てきた。ハードルは高そうだが、上手く行けば次回作は店の大発展・最終話なのだが・・?
    何度も裏切られてきたので楽観は出来ないが、次回が楽しみだ。

  • 江戸の町を襲う度重なる大火や長雨、流行り病
    疲弊した人々の心を何とか元気づけようと知恵をしぼる五鈴屋

    その五鈴屋を痛めつけるための音羽屋忠兵衛と結夫婦の悪巧みの数々
    姉妹といえども一旦憎しみを持つとそこまでできるのかと気分が悪くなるが、それならばと堂々と迎え撃つ幸

    「この世には、神仏の定めた『則』がある。己のためだけ、我欲だけの者は、天下が取れたところで、一時のこと。自利のみでない利他、惜しみのう分け合うた者の方が、結局は残りますのや」
    まあ気張りなはれ、と励ます菊次郎の言葉が胸に沁みる

    両面糊置きの技、藍染め浴衣に『火の用心』を願った拍子木の図柄、買い占めと悪天候のため、不足する白生地の融通の付け合い、四股名と手形を染めた力士の浴衣等

    次々と画期的なアイデアを考え出す五鈴屋だが、その技を決して独り占めすることなく、浅草太物仲間の共有の財産とした幸

    全ては『のちの世に伝えられるものに育てたい』という
    お家さんから受け継いだ信念によるものだ

    自利を考えないあまりの遠大な志に言葉が出ない
    日常生活に相通じる大切なことに気付かされた思いがする

    歌舞伎の千秋楽で、富五郎と吉次が菊栄の考え出した簪をつけ娘道成寺を舞うため登場した場面、
    勧進相撲の後、男衆が競って自分のご贔屓の力士の浴衣を求めに浅草太物仲間の店を訪れる最後の場面など
    感動で目頭が熱くなった

    「幸が賢輔を見つめる目が・・・」
    と気になる表現があった
    二人の行く末も見届けたい
    まだまだこのシリーズ目が離せない

  • シリーズ第11弾

    「買うての幸い、売っての幸せ」を貫き、五鈴屋七代目・幸は「湯帷子」を、夕涼みや寛ぎ着としての浴衣にするため、藍染めの浴衣地を作り、支持され、その努力が報われ、定着しつつあった。

    五鈴屋の奉公人・お梅と型彫師・梅松との祝言が無事に行われた翌年「十年の辰年」厄災が、江戸の人々を襲う。俗に「宝暦の大火」と呼ばれる大火事である。

    さいわいにも五鈴屋は無事だったが、幸の妹・結が五鈴屋を裏切り、妻に収まっている音羽屋は、本店と日本橋店共、焼失。商う品も、蓄えていた宝も帳簿類も、ほぼ全てを失った。

    そんな中、七代目・幸が、提案して、浅草太物仲間が協力して愛染の浴衣を売り出すことになった。
    江戸市民の希望の柄、拍子木をあしらった浴衣地を、一斉に売り出そうとした矢先、火事で被災したにもかかわらず、音羽屋が、またも、悪どい所業。

    手段を選ばぬ音羽屋に、対抗する太物仲間。
    軍配は、太物仲間に上がった。

    開店記念日の日に、年に一度来店する夫婦が、次に繋がる話を持ってくる。
    そして、新たな展開に。

    今回は、仲間の大切さが、問われる。

  • 2021年8月ハルキ文庫刊。書下ろし。シリーズ11作目。菊栄さんのきっぷの良さ、決断力、仕草、様子が素敵です。夜のお帰りのシーンなんかでは、物騒なことがおこらないのかと心配します。江戸の大火はあれど、前回に続いてアゲアゲな展開は、気持が良いですが、かえって疑心暗鬼にとらわれます。結ちゃん事件があってから、高田さんには、たくさんの苦情が行ってる気がするので、当分は安心か、いやいやわからんわなと思ったりもします。

  • 他の巻もそうだけど、特にこの11巻は
    電車とか病院の待合室、カフェとか
    公共の場所で読んではなりません。
    最後の数ページは顔が歪みました。
    仲間と仕事をするというのは
    こういうことなんですね。

全184件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高田郁の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×