あきない世傳 金と銀(十二) 出帆篇 (ハルキ文庫 た 19-27 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
4.10
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感想 : 143
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758444613

作品紹介・あらすじ

浅草田原町に「五鈴屋江戸本店」を開いて十年。
藍染め浴衣地でその名を江戸中に知られる五鈴屋ではあるが、
再び呉服も扱えるようになりたい、というのが主従の願いであった。
仲間の協力を得て道筋が見えてきたものの、決して容易くはない。
因縁の相手、幕府、そして思いがけない現象。
しかし、帆を上げて大海を目指す、という固い決心のもと、
幸と奉公人、そして仲間たちは、知恵を絞って様々な困難を乗り越えて行く。
源流から始まった商いの流れに乗り、いよいよ出帆の刻を迎えるシリーズ第十二弾!!

感想・レビュー・書評

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  • ただ金銀が町人の氏系図になるぞかし
        ーーー井原西鶴著「日本永代蔵」より

    「購入」
    江戸は浅草田原町に店を開いて10年。藍染め浴衣地でその名を江戸中に知られる五鈴屋江戸本店の店主、幸は、真摯な客への対応と知恵で急速に顧客が増え、今のままでいいのか戸惑っている。その時に

    吉原の女芸者「歌扇」が言ったことから五鈴屋江戸本店の今後の方針を暗示された。それは、「暑さ寒さから身を守り、そのひとらしくあるためのものだ、と」。慎ましい太物(木綿物)でも、贅を尽くした呉服(絹織物)でも、そのひとらしくあるための一反を提供できればいい、それに優るものはないと、幸は心に決める。

    吉原の芸者は男ですが遊郭「扇屋」の歌扇は、遊女の年季が明けても吉原に残り女芸者として三味線と唄、そして踊りにと芸で生きて行くことにこだわります。その歌扇に幸は、吉原で行われる衣装競べに出てくれるように頼みます。衣装競べには、同じ扇屋の一番の売れっ子の花魁「花扇」を宿敵の日本橋音羽屋などが出ます。

    【読後】
    次作でこの物語も完結です。華やかさを競う吉原の衣装競べに美形の売れっ子の花魁でなく、売れなく辛抱して年季が開けるのを待っていた、地味な元遊女の花扇で衣装競べに臨む幸が楽しみで仕方がありません。知恵を絞り生き抜いてきた幸を応援しています。頑張れ幸‼
    字が小さいので、ひとつの章を読んでは目を休め、11章を読み終りました。次作が最後と思うと、もっともッと幸の活躍を見ていたい私には、寂しさが湧いてきますが。どんな終わり方にするのか次作が楽しみです。
    読み終って帯を見てホッコリ。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    出帆(しゅっぱん)篇 ー あきない世傳 金と銀シリーズの12作目
    2022.02発行。字の大きさは…小。2022.10.05~07読了。★★★★☆
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  • いつの間にか、あきない世傳も12巻。みをつくしシリーズを超えてしまった。

    あの小さかった幸が、今巻では40歳になる。
    もともと落ち着いていたけれど、強く優しい五鈴屋の七代目店主として、買うての幸い、売っての幸せを追求し続ける。同業者から妬まれ敵対視されたり嫌がらせされたりしていた五鈴屋を受け入れてくれた浅草太物仲間たちの何と心強いことか。
    しかし太物仲間で呉服も取り扱えるようにおかみに願い入れるが、なんと1600両もの莫大な冥加金の上納を命じられる。
    また、江戸店初めての武家の婚姻衣装の商いを、因縁の相手に奪われることになり…。

    結が顔は出さないけれど、どんどん人相悪くなってそう。昔は可愛い妹だったのにね…つくづく残念すぎる。

    幸と奉公人らは知恵を絞ってさまざまな苦難を乗り越えて、いざ出帆の刻を迎える。
    幸は、吉原の衣装比べに出ることを決める。この衣装比べには、結ら音羽屋が吉原遊廓に食い込むためにしのぎを削ってくる。
    ただ豪華だけではない、本当の衣装の意味を。五鈴屋はどのように戦うのだろう。結との因縁の?対決は次巻にきそう。楽しみだ。
    そして個人的には、賢輔との仲に何かしらの進展がほしい。。

    この巻では、江戸暦に載っていない日食が起きる。それは五鈴屋にとってはある意味吉兆だったのかもしれないが、日食をはずすというのは天文方の落ち度で、幕府の信用を失うこと。
    なんか今村翔吾さんぼろ鳶シリーズの天文方の軋轢を思い出して、ぼろ鳶と幸たちとほぼ同時代なんだなーと思った。なるほど浅草界隈で火事になればぼろ鳶がきてくれると…(違うシリーズですってば)

  • 人気シリーズ第十二弾。
    わずか九つの時に五鈴屋へ奉公に上がった幸も、とうとう四十歳…そりゃあ少々肝も太くなりましょうとも。

    相変わらず妥協を許さないプロフェッショナル集団・五鈴屋江戸本店メンバー。
    どうすれば一人でも多くのお客を喜ばせることができるのか。
    しかも贅沢に設えれば良い、という訳ではなく、庶民が気軽に手に取ることのできる質素で丈夫なものを。
    お上からの無理難題も知恵を絞って難なく振り切り幾度の苦難も乗り越え、五鈴屋江戸本店の評判も正にうなぎのぼり。
    けれど反面、新たな悩みも生まれる訳で…。
    誰かさんのセリフじゃないけれど、五鈴屋江戸本店にとってここが正念場。悩んでる暇も迷うてる暇もおまへんで。いよいよ蛸との真っ向勝負?せいぜい気張んなはれ!そして五鈴屋江戸本店の進むべき航路を見定めなはれ!
    と声高にエールを送りつつ、次回第十三弾を心してお待ち申し上げます。

    …ってこのシリーズもいよいよ終盤?それもまた寂しい。

  • シリーズ12

    9歳で呉服商「五鈴屋」に奉公した幸は、40歳となり、12月14日、赤穂義士所縁の日に浅草田原町に店を開いて、ちょうど10年。
    「買うての幸い、売っての幸せ」を基とした商いは、次第に江戸の人々を魅了して行った。

    小紋染を町人のものとし
    鉢巻用に江戸紫の小紋染の切り売り
    帯結び指南
    反物の裁ち方指南
    湯帷子を浴衣に転じ
    相撲力士と揃いの浴衣の売り出し

    買い手目線の誠実な姿勢を貫いて、押しも押されもせぬ店へと成長した。

    太物組合仲間の協力も得て、ようやく「呉服太物」共に扱えるようになる。

    知恵を絞り出した「呉服切手」も、因縁の相手、日本橋音羽屋に真似られたりはするものの、音羽屋に陰りが見え始めている。

    次回は、吉原の衣裳比べ。
    女芸者「歌扇」に着せる衣裳で、吉原に乗り込むとか。
    どんな衣裳になるやら、楽しみである。

  • 前作が良かったので発売を楽しみにしていたが、もしやと思って本屋に行ったら発売日前にも関わらず売っていたので購入して即読了。
    念願の呉服商いに漕ぎ着けるまでが長かった。仲間内に風邪が出て寄合が延期。やっと寄合で決まって申請したら長期間待たされ、更に莫大な冥加金に仲間がびびってしまう。なんとか元夫の知恵も借り、ウルトラCを捻り出す。流石の知恵で新しい売り方を編み出し、新しい客も増えてくるのに、やっぱり立ち塞がるのが宿敵の因縁のあの店。山あり谷ありで気を持たせるが、何とか好転に導く。
    最後は奇想天外な展開で次回に結びつけた。半年毎に発売しているので次回8月が楽しみだ。

  • 五鈴屋が呉服に、太物にと勢いづく中、やはり暮らし向きの厳しい客に辛い思いをさせてしまう、手の届かないものを買い求めていく客と一緒にするのは気の毒だと感じる幸。しかしお客の一人が言ったように、「上見りゃ切りなし、下見りゃ切りなし。」この言葉は胸に響いた。

    また、吉原廓に商いを広げるのはとてもワクワクする。次回作が楽しみだ。

  • 本屋さんで見つけいそいそと購入
    はや12巻 出帆だ!

    いつもながらいろんなことが怒涛の如く押し寄せ
    読むスピードを落とせない

    木綿も絹物も
    お金持ちも武家も庶民も みんなお客様
    五鈴屋の面々が魅力的

    そして、次は吉原
    うーん、楽しみです

    ≪ 待っていた 風をはらんで 出帆だ ≫

  • 2022年2月ハルキ文庫刊。書き下ろし。シリーズ12作目。一難去ってまた一難。という感じでよく毎回ハラハラが続くものだと感心します。名人芸の域です。吉原の衣装競べの件が楽しみです。面白いお話が続いて行くのが頼もしいです。

  • 待ってました!
    いよいよ呉服商い復活!
    まぁ、そんなにすんなりとはいかないとは思ってたけど。
    節目節目の行事を大切に、四季を感じて生きてる江戸時代っていいな。
    決まり事も多くて窮屈で不便なところもあるけど。

    丁寧に噛み締めるようにして読んだけど、すぐ読み終わってしまった。
    次がますます楽しみ!あぁまた半年待たされるのかぁ。
    それにしても江戸に出てきてもう12年、幸も40歳かぁ!

  • 五十鈴屋の店舗に掛けている掛け軸「菜根譚」の一節には、その続きがあったとは、前に明かされた

    哀颯的景象 就在盛満中
    発生的機緘 即在零落内

    事態はその詩の通りになった
    呉服屋でありながら呉服を扱うことを禁じられ、太物の商いで知恵を絞り、耐え忍び、その時を待っていた五十鈴屋にやっとその時が来た

    それも五十鈴屋だけではなく、浅草太物仲間の15の店と共に・・・

    今回12巻の前半は、お上の許しが下りるのをじっと待つ静の描写が続き、ちょっと物足りない気がしたが、その間も幸は、新たな知恵を絞り続ける

    そして、ついに『呉服切手』という誰も考えつかないことを実行に移す
    五十鈴屋だけの手柄にせず、仲間に明かし共に知恵を出し合い、幸の知恵は、より高みへと昇華させていくことになる

    たった一枚の呉服切手が商品と同等の価値を持つのは、仲間の『信』。信用、信頼、信念、信義全てを含んだ『信』だと幸は、お客に説く

    著者の高田郁さんは、女性の自立した生き方をライフワークのテーマに掲げておられるのではないかと前々から思っていたが、この巻はその思いを強くした

    やっと呉服も扱えるようになり、やっと順風満帆の船出かと思いきや、幸の心はなぜかすっきりしない

    その心のもやもやが晴れたかのように、吉原の衣装比べに出ることを決断する

    次巻が待ち遠しい

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