あきない世傳 金と銀(十二) 出帆篇 (ハルキ文庫 た 19-27 時代小説文庫)
- 角川春樹事務所 (2022年2月15日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758444613
作品紹介・あらすじ
浅草田原町に「五鈴屋江戸本店」を開いて十年。
藍染め浴衣地でその名を江戸中に知られる五鈴屋ではあるが、
再び呉服も扱えるようになりたい、というのが主従の願いであった。
仲間の協力を得て道筋が見えてきたものの、決して容易くはない。
因縁の相手、幕府、そして思いがけない現象。
しかし、帆を上げて大海を目指す、という固い決心のもと、
幸と奉公人、そして仲間たちは、知恵を絞って様々な困難を乗り越えて行く。
源流から始まった商いの流れに乗り、いよいよ出帆の刻を迎えるシリーズ第十二弾!!
感想・レビュー・書評
-
自分たちが生きる「今」が、幸や菊栄が望んだ「未来」にどこまで近づけているのかな?
そんなことを思いました
女性であることが自分が好きなことで身を立てること、言ってみれば自分の夢を追うことに立ちはだかる最初のそして最大の壁であった時代に、後に続く者たちのためにも、そしてまず何より自分の夢のために少しでも穴を開けようとした女性たちの物語でもありました
え?フィクションでしょって?
お前もう小説読むなこのバカちんが!ヽ(`Д´#)ノ
もちろん実際には幸や菊栄なんて人はいなかったでしょう
しかし幸や菊栄の「ような」人はたくさんいたに違わないのです
最初の問に戻ります
「今」は?
まだまだ合格点には程遠い気がします
そして合格点に程遠いから高田郁さんはこの物語を書いたのではと思うのです
むしろ壁は増えている気もします
壁のひとつひとつはさすがに江戸時代から比べたら多少は低くなってるのかもしれませんが、壁の種類はめちゃくちゃ増えてる気がします
ひたむきに頑張っている
幸や菊栄、お竹どんに歌扇に、もちろん結にも
なんか申し訳ない
こんな「今」で申し訳ない
お梅どん?
お梅どんはお梅どんなんでだいじょうぶじゃね?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ただ金銀が町人の氏系図になるぞかし
ーーー井原西鶴著「日本永代蔵」より
「購入」
江戸は浅草田原町に店を開いて10年。藍染め浴衣地でその名を江戸中に知られる五鈴屋江戸本店の店主、幸は、真摯な客への対応と知恵で急速に顧客が増え、今のままでいいのか戸惑っている。その時に
吉原の女芸者「歌扇」が言ったことから五鈴屋江戸本店の今後の方針を暗示された。それは、「暑さ寒さから身を守り、そのひとらしくあるためのものだ、と」。慎ましい太物(木綿物)でも、贅を尽くした呉服(絹織物)でも、そのひとらしくあるための一反を提供できればいい、それに優るものはないと、幸は心に決める。
吉原の芸者は男ですが遊郭「扇屋」の歌扇は、遊女の年季が明けても吉原に残り女芸者として三味線と唄、そして踊りにと芸で生きて行くことにこだわります。その歌扇に幸は、吉原で行われる衣装競べに出てくれるように頼みます。衣装競べには、同じ扇屋の一番の売れっ子の花魁「花扇」を宿敵の日本橋音羽屋などが出ます。
【読後】
次作でこの物語も完結です。華やかさを競う吉原の衣装競べに美形の売れっ子の花魁でなく、売れなく辛抱して年季が開けるのを待っていた、地味な元遊女の花扇で衣装競べに臨む幸が楽しみで仕方がありません。知恵を絞り生き抜いてきた幸を応援しています。頑張れ幸‼
字が小さいので、ひとつの章を読んでは目を休め、11章を読み終りました。次作が最後と思うと、もっともッと幸の活躍を見ていたい私には、寂しさが湧いてきますが。どんな終わり方にするのか次作が楽しみです。
読み終って帯を見てホッコリ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
出帆(しゅっぱん)篇 ー あきない世傳 金と銀シリーズの12作目
2022.02発行。字の大きさは…小。2022.10.05~07読了。★★★★☆
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ -
江戸に店を構えて10年が経ちました。
9歳で奉公に上がった幸も40歳に…
タイトル出帆篇の名のとうりに呉服商いの夢が叶う今作になっております!
幸と奉公人との絆は更に強固になり、今までに築いてきた信頼できる仲間達も増えてきました。
もうすぐ終わってしまう…
早く読みたい…けど読みたくない…
次巻ラスト大海篇でどんな結末で終わるのか
楽しみだけど悲しいだす(/ _ ; )
-
2023/09/05
-
2023/09/05
-
2023/09/05
-
-
いつの間にか、あきない世傳も12巻。みをつくしシリーズを超えてしまった。
あの小さかった幸が、今巻では40歳になる。
もともと落ち着いていたけれど、強く優しい五鈴屋の七代目店主として、買うての幸い、売っての幸せを追求し続ける。同業者から妬まれ敵対視されたり嫌がらせされたりしていた五鈴屋を受け入れてくれた浅草太物仲間たちの何と心強いことか。
しかし太物仲間で呉服も取り扱えるようにおかみに願い入れるが、なんと1600両もの莫大な冥加金の上納を命じられる。
また、江戸店初めての武家の婚姻衣装の商いを、因縁の相手に奪われることになり…。
結が顔は出さないけれど、どんどん人相悪くなってそう。昔は可愛い妹だったのにね…つくづく残念すぎる。
幸と奉公人らは知恵を絞ってさまざまな苦難を乗り越えて、いざ出帆の刻を迎える。
幸は、吉原の衣装比べに出ることを決める。この衣装比べには、結ら音羽屋が吉原遊廓に食い込むためにしのぎを削ってくる。
ただ豪華だけではない、本当の衣装の意味を。五鈴屋はどのように戦うのだろう。結との因縁の?対決は次巻にきそう。楽しみだ。
そして個人的には、賢輔との仲に何かしらの進展がほしい。。
この巻では、江戸暦に載っていない日食が起きる。それは五鈴屋にとってはある意味吉兆だったのかもしれないが、日食をはずすというのは天文方の落ち度で、幕府の信用を失うこと。
なんか今村翔吾さんぼろ鳶シリーズの天文方の軋轢を思い出して、ぼろ鳶と幸たちとほぼ同時代なんだなーと思った。なるほど浅草界隈で火事になればぼろ鳶がきてくれると…(違うシリーズですってば)
-
前作が良かったので発売を楽しみにしていたが、もしやと思って本屋に行ったら発売日前にも関わらず売っていたので購入して即読了。
念願の呉服商いに漕ぎ着けるまでが長かった。仲間内に風邪が出て寄合が延期。やっと寄合で決まって申請したら長期間待たされ、更に莫大な冥加金に仲間がびびってしまう。なんとか元夫の知恵も借り、ウルトラCを捻り出す。流石の知恵で新しい売り方を編み出し、新しい客も増えてくるのに、やっぱり立ち塞がるのが宿敵の因縁のあの店。山あり谷ありで気を持たせるが、何とか好転に導く。
最後は奇想天外な展開で次回に結びつけた。半年毎に発売しているので次回8月が楽しみだ。 -
シリーズ12
9歳で呉服商「五鈴屋」に奉公した幸は、40歳となり、12月14日、赤穂義士所縁の日に浅草田原町に店を開いて、ちょうど10年。
「買うての幸い、売っての幸せ」を基とした商いは、次第に江戸の人々を魅了して行った。
小紋染を町人のものとし
鉢巻用に江戸紫の小紋染の切り売り
帯結び指南
反物の裁ち方指南
湯帷子を浴衣に転じ
相撲力士と揃いの浴衣の売り出し
買い手目線の誠実な姿勢を貫いて、押しも押されもせぬ店へと成長した。
太物組合仲間の協力も得て、ようやく「呉服太物」共に扱えるようになる。
知恵を絞り出した「呉服切手」も、因縁の相手、日本橋音羽屋に真似られたりはするものの、音羽屋に陰りが見え始めている。
次回は、吉原の衣裳比べ。
女芸者「歌扇」に着せる衣裳で、吉原に乗り込むとか。
どんな衣裳になるやら、楽しみである。 -
2022年2月ハルキ文庫刊。書き下ろし。シリーズ12作目。一難去ってまた一難。という感じでよく毎回ハラハラが続くものだと感心します。名人芸の域です。吉原の衣装競べの件が楽しみです。面白いお話が続いて行くのが頼もしいです。
著者プロフィール
高田郁の作品






この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。





