(新装版)三国志 十三の巻 極北の星 (時代小説文庫 き-3-53)

  • 角川春樹事務所 (2024年11月15日発売)
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本 ・本 (372ページ) / ISBN・EAN: 9784758446754

作品紹介・あらすじ

曹真を大将軍とする三十万の魏軍の進攻に対し、諸葛亮孔明率いる蜀軍は、南鄭で迎撃の構えをとる。
緒戦を制した蜀軍だったが、止むことのない長雨に両軍撤退を余儀なくされる。
蜀の存亡を賭ける孔明に対し、長安を死守すべく魏の運命を背負う司馬懿。
そして、時代を生き抜いた馬超、爰京は戦いの果てに何を思うか……。
壮大な叙事詩の幕が降りる。傑作「北方版・三国志」新装版、堂々の完結。

感想・レビュー・書評

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  • ようやっと最終巻までたどり着きました。
    呂布亡き後の後半を、ワクワクすることなく、淡々と読み進めてきて思ったこと。
    国を興すのは英雄でも、国を作っているのは名もなき庶民なんだな。
    英雄は一代で終わるけど、名もなき庶民はずっとそこに居つづける。

    作者が書きたかったのは英雄たちの戦いぶりなんだろうけれど、三国志とあらば国づくりも書かねばならない。
    でも『水滸伝』の時のように、梁山泊のシステムを築き上げたようには、三国の国の姿を描けていたとは思えなかった。
    特に呉は、周瑜亡き後の存在感がなさすぎる。
    戦ではなくて暗殺で勝ちに行くし。

    蜀こそが、国づくりにページを割けるポジションにあったと思うんだけど、孔明は劉備の遺志を継ぐことが最優先で、寝る間も惜しんで働いているとは書いているけど、具体的に何をしているかは見えてこない。

    あんまり孔明のこと好きじゃなかったんかなあ。
    馬謖といい、李厳といい、信じて任せた者に裏切られて負けを喫するわけだけど、自分でも「人を見る目がないのかもしれない」と反省してたし。
    でもつまり、悪いのは自分の作戦ではなく、見る目がなくて間違えた人選で作戦を遂行してしまったことだと思ってるってことで、あんまり感じよくないよね。

    しかも、五丈原でナレ死。
    生ける仲達は走ったかもわからない。書いてないからな。

    最後は三国志の英雄たちとかかわりながらも巻き込まれることなく己の道を進んだ馬超と爰京のシーンで、この先の未来を馬超の息子世代に託すような終わり方。

    今まで読んだ『三国志』の中で、一番英雄を書くのが上手い北方謙三が、一番英雄を書かなかった。
    ということをあらかじめ分かっていれば、もう少し違う読み方ができたかもしれない。
    英雄を期待しちゃったんだよなあ。
    呂布はかっこよかったし。

    『三国志』初心者は、やっぱり吉川英治からスタートすればいいと思います。
    フィクションであるけれども、無理のない範囲で史実には沿っているし、キャラ立ちしているし、有名エピソードを抑えているし。
    そこから少し史実を知りたいと思ったら宮城谷昌光の『三国志』を読むべし。
    いや、北方謙三の中国物が読みたいんだよ、というのであれば『水滸伝』が面白いです。
    しかし、『楊令伝』『岳飛伝』と続くうちにやっぱりちょっと…。
    楊令抜きの『楊令伝』は、面白いと思うんだけどね。(あくまで個人の感想です)

  • 全13巻。読破は易くなかったが、読んでよかった。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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