象の鼻から言語学 主語・目的語カメレオン説

  • 開拓社 (2023年4月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (164ページ) / ISBN・EAN: 9784758923842

作品紹介・あらすじ

本書は、三上章 (1960)『象は鼻が長い』を出発点として、言語学の問題「主語・目的語って何だ?」に取り組みます。調査の結果、日本語の主語も目的語も、「カメレオン」でした。カメレオンが周囲の色に応じて体の色を変えるように、主語も目的語もさまざまな助詞をかぶって変装しています。さらに、小・中・高の国語・英語の教科書も調査し、「主語・目的語の教科間の揺らぎ」や形容詞・副詞の謎も明らかにしていきます。

感想・レビュー・書評

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  • 星の数:★★★

     日本語学習における超重要課題ともいえる助詞「は」「が」において、三上章氏が著した「象は鼻が長い」における持論を世界の言語や目的語をもとに展開している。なかでも私が重視したのは助詞「は」による主語(話題)はどうなるのかという点である。ややネタバレになってしまうが、著者はある文章について「のはテスト」というシステムを用いて文章の名詞のどれが主語に当たるのかを検証している。私はこれについて、三上章(1960)『象は鼻が長い』における「ハの兼務」が果たす役割の一つであり、実際は「象」という具体的な名詞が以下の「鼻が長い」を包括していると考えられる。ただこれについては現在も結論がついておらず泥沼化しているため、明確化するには莫大な時間を要する。そのため、あくまで「は」と「が」議論の一説として参考にするのが無難だろう。このほか、先述した三上章の著書においては「ハの兼務」のほか、本務やピリオド越えなど別の役割を果たすものも存在するため、あらかじめ予備知識を持って読むとわかりやすいのではないか。
    (S.E.4さんからのおすすめコメント)

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00616554

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著者プロフィール

岐阜大学地域科学部シニア教授。1995年コネチカット大学で博士号(言語学)を取得。研究対象は言語学と英語教育。
主な著書:Essays on Irish Syntax(共著)、Essays on Mongolian Syntax(共著)、Essays on Irish Syntax II(共著)、『The Minimal English Test(最小英語テスト)研究』、『誰でも言語学』、『最小英語テスト(MET)ドリル〈標準レベル:高校生から社会人〉』、『最小英語テスト〈センター試験レベル〉』、『中学生版 最小英語テスト(jMET)ドリル』(以上)、「英語monogrammarシリーズ」(監修)、『金言版 最小英語テスト(kMET)ドリル』、『これでも言語学―中国の中の「日本語』、Essays on Case、『それでも言語学―ヒトの言葉の意外な約束』、『最小日本語テスト(MJT)ドリル』、『最小中国語テスト(MCT)ドリル』、『最小韓国語テスト(MKT)ドリル』、『MCT中国語実践会話』(共著)[以上、開拓社]など。

「2023年 『象の鼻から言語学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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