日常言語に潜む音法則の世界 (開拓社言語・文化選書)

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  • 開拓社
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758925105

作品紹介・あらすじ

日常言語の中に音法則の不思議を発見する喜び、その不思議を納得に変える醍醐味を、日本語や英語を通して丁寧に解説した音韻論の本格的入門書。要素間の「関わりあい」という統一的視点から音韻理論のこれまでの歩みを辿りつつ、現在の最適性理論までに至る歴史的必然性も明らかになる。実証と理論をバランスよく配置した解説は、音の獲得、類型、歴史変化、社会的バリエーションに及ぶ。

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  • 【書誌情報】
    著者:田中伸一 
    ISBN:978-4-7589-2510-5
    発売日:2009年3月24日
    定価:1,944円(税込)(四六・224頁)

     日常言語の中に音法則の不思議を発見する喜び、その不思議を納得に変える醍醐味を、日本語や英語を通して丁寧に解説した音韻論の本格的入門書。要素間の「関わりあい」という統一的視点から音韻理論のこれまでの歩みを辿りつつ、現在の最適性理論までに至る歴史的必然性も明らかになる。実証と理論をバランスよく配置した解説は、音の獲得、類型、歴史変化、社会的バリエーションに及ぶ。
    http://www.kaitakusha.co.jp/book/book.php?c=2510

     シリーズ一覧
    http://www.kaitakusha.co.jp/book/sensho.html



    【目次】
    はしがき 

    第1章 関係論としての音韻論 
    1.1. 「音声」が「言語音」になるとき
    1.2. 言語音と虹の関係:範疇化とプロトタイプ
    1.3. 「意味のある音」の意味:音素
    1.4. 言語の音声文法:音素と規則
    1.5. 音声の実体論と関係論
    1.6. 20世紀の音韻理論の歩み

    第2章 音素と規則との関わりあい
    2.1. 音の表示レベルと四つの音韻パターン
    2.2. 日本語の鼻濁音の文法
      2.2.1. 二つの音素が一つの音声へ:中和規則
      2.2.2. 中和と言語音の無標性/有標性
      2.2.3. 一つの音素が二つの音声へ:異音規則
      2.2.4. 文法の妥当性の検証:含意の法則,順序関係,自由変異
      2.2.5. 四つの音韻パターンと文法のまとめ
    2.3. 音素か異音か:矛盾と逆説的な裏づけ
    2.4. 規則の種類と性質
      2.4.1. 同化規則
      2.4.2. 削除規則・挿入規則
      2.4.3. 規則適用の引き金,対象,産物
    2.5. 規則の適用性の問題
      2.5.1. 世代・発話スタイル・発話速度に起因する随意性
      2.5.2. 語種で変わる規則の有無
    2.6. 文法体系の整備
      2.6.1. 言語接触(借入)における本来語化の方法
      2.6.2. 歴史発達と有標音の排除
      2.6.3. 体系における「有標性の排除」と「忠実性の確保」

    第3章 規則と規則との関わりあい
    3.1. 段階的派生
      3.1.1. 規則の集合としての文法体系
      3.1.2. ハ行音の文法
      3.1.3. ハ行音の音素特定の証拠
    3.2. 規則の縦の関係1:順序付け
      3.2.1. 順序付けの原理と内在的順序
      3.2.2. 外在的順序:利益供与と利益奪取
      3.2.3. 順序付け設定の証拠
    3.3. 規則の縦の関係2:語彙音韻論
      3.3.1. 語彙規則と後語彙規則:音声学とのインターフェイス
      3.3.2. 語彙規則の精密化:形態論とのインターフェイス
      3.3.3. 順序付けのパラドックス
    3.4. 規則の横の関係
      3.4.1. 規則の共謀:制約の発見
      3.4.2. 規則適用の必要条件としての制約

    第4章 規則と制約との関わりあい
    4.1. 規則と制約の関わりあい方
      4.1.1. 規則適用と制約による阻止:出力条件としての制約
      4.1.2. 制約違反と規則による修復:入力条件としての制約
    4.2. 制約を介した規則の相互作用
      4.2.1. 規則の適用阻止と規則による修復
      4.2.2. 随意的な規則による修復
      4.2.3. 修復の類型論:一つの言語内
      4.2.4. 修復の類型論:複数の言語間
      4.2.5. その他の複雑な関わりあい
    4.3. 規則と制約の「統一場」:無関係の中に新たな関係を発見
      4.3.1. 制約の視点からの規則の統合
      4.3.2. 制約の統合と一般化
      4.3.3. 規則と制約の統合
    4.4. 規則に基づく文法の限界
      4.4.1. 機能の余剰性と「オッカムの剃刀」
      4.4.2. 重複問題と「オッカムの剃刀」
      4.4.3. 「違反不可能」な制約の一般性欠如
      4.4.4. 規則の含意関係の問題
      4.4.5. 規則の矛盾の問題
      4.4.6. 「違反不可能」な制約の違反

    第5章 制約と制約との関わりあい
    5.1. 最適性理論の基本的枠組み
      5.1.1. 制約の優先順位と出力候補の評価
      5.1.2. 2種類の制約
       5.1.2.1. 「有標性の排除」と「忠実性の確保」のバランス
       5.1.2.2. 有標性制約と忠実性制約
      5.1.3. 重要な仮説群
       5.1.3.1. 「違反可能」な制約の利点
       5.1.3.2. 忠実性制約は何に「忠実」なのか
       5.1.3.3. 制約の存在証明
       5.1.3.4. 普遍的な制約ランキング
    5.2. 制約に基づく文法モデル
      5.2.1. 四つの基本パターン
      5.2.2. 規則の順序付け
      5.2.3. 語彙規則と後語彙規則
      5.2.4. 語彙レベルの区分と順序付けパラドックス
      5.2.5. 語種の異相性
      5.2.6. その他の複雑な関わりあい
    5.3. 最適性理論の応用可能性
      5.3.1. 初期状態と発達進化
      5.3.2. 言語起源と言語類型
      5.3.3. 言語獲得
      5.3.4. 歴史変化とバリエーション
    5.4. 最適性理論のアキレス腱:不透明性の処理

    あとがき
    参考文献
    索引

  • 日本語で書かれた音韻論概説の中で個人的には最高レベル。論理展開が直截で揺れがなく本当に素晴らしい! 最初から丁寧に読み進めることで、1960年代の初期生成音韻論から現在の最適性理論に至るまでに音韻理論がどう発展してきたかという、その歴史的必然性も理解できる。

    再読するたびに新たな発見があるとともに、より厳密な議論が必要と思われる個所も見つかり、非常に勉強になります。

    この本のすごさの1つは、音韻論と音韻論史のエッセンスを提示するための素材を、ほぼ日本語から取り出している点で、これも日本語の母語話者には嬉しい。

    本書は分節素と音韻素性を扱う分節音韻論がメインなので、モーラ以上の超分節音韻論に関しては同著者の『アクセントとリズム』研究社、および、窪薗晴夫・本間猛『音節とモーラ』研究社がおすすめです。

  • 説明はとっても丁寧で、素材も日本語を多く用いているのでわかりやすい。
    ただし、順を追ってしっかり理解して読まないと、後半において前半での分析をあらたなとらえ方でやり直す部分でついていけなくなるかもしれない。時間をかけて読み、わからないところを誰かに質問できる環境が望ましい。

  • 勉強会で通読。


    音韻論の歴史がよくまとまっていて、

    著者の音韻論への熱意が伝わってくるよう。


    しかし、もうちょっと門外漢への配慮がないと、

    門外漢ひとりでは通読できない。挫折してしまう。

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