英語教育に役立つ英語の基礎知識Q&A (開拓社言語・文化選書 27)

  • 開拓社 (2011年10月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784758925273

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  •  英語教員向けに、英語の歴史や音声について、英語学的な基礎の知識を与えるとともに、there'sの後に複数名詞が来たり、a caseを受ける関係詞はwhenかwhereかといった語法的な話、そして最後に著者の考える「英語を学ぶ意義」について書かれている。
     英語学を一通りやった人には復習となる内容だが、英語辞書の歴史(pp.59-73)とか、「国名の語源」(pp.52-3)とか、that our own timeで、実はthatが接続詞である(p.113-4)とかbecome of huge interestでbecome ofではなくbecome / of huge interestになる(pp.129-30)という、英文解釈の話などは、特に英語教師ならではの内容で、授業で使えそうな部分も見つけられた。
     英語を学ぶ意義や学び方については共感できる部分も多いし、特に語法の専門家である著者が「受験生にとって文法書を読んだり練習問題を解くよりも、大学入試問題の長文を読む練習のほうがはるかにいい。その読み方は、内容把握に徹することが好ましく、全体を読まずに1行目から訳していくような読み方をすると、内容理解が伴わないことが往々にあります。全体把握の練習が結局は読解力をつけることになります。細かい文法事項に拘泥すると全体の意味が分からなくなりがちです。」(pp.152-3)というのは説得力がある。「英語に関連した話題提供をして、脱線を試みる」(p.v)という手法を著者は薦めており、そのためのツールとしてこの本が使える、と主張している。が、著者は中高現場で英語を授業したことがある訳ではないと思うので、ただ雑学的な知識で授業を脱線させて授業を知的に面白くする、というのは中高生相手にそれをやるのは結構気を遣う(タイミングや話す量、導入の仕方等)手法で、失敗した時のリスクは大きいということがどれくらい分かっているのか、は疑問だった。だから「授業を豊かにする」というのは、こういう知識のある教員が、うまくタイミングや雰囲気を見計らってできる、副次的に出てくる効果であって、この本の主たる目的は英語教員としての教養を高め、英語に対する知識を得ることであると思う。むしろ、知っているけどいかにその知識を喋らないか、という力が試される場合の方が圧倒的に教員には多い気がする。特に中学の授業では。まあ、結局読み手が分かっておけばいいだけの話なんだけど。
     「~することになる」という「結果をすでに見たうえでまるで過去の時点で予測を立てたような表現にする」(p.119) be to不定詞の用法、というのはちゃんと説明したことがなかったので、ここに載っている例文も見ながら、どこかで生徒に説明したい。(20/03/06)

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著者プロフィール

関西学院大学名誉教授。専門は英語の語法・文法、辞書学、フレイジオロジー。
主要業績:『英語定型表現研究』(共著、開拓社、2013)、『熟語本位英和中辞典 新版』(校注、岩波書店、2016)、『斎藤さんの英和中辞典―響きあう日本語と英語を求めて』(岩波書店、2016)、『英語にまつわるエトセトラ』(研究社、2018)、『現代高等英文法―学習文法から科学文法へ』(開拓社、2021)など。

「2022年 『文法活用の大学英語演習』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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