きつねのぼんおどり (エルくらぶ)

著者 :
制作 : 宇野 亜喜良 
  • 解放出版社
3.20
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本棚登録 : 10
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759222203

感想・レビュー・書評

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  • 田舎で盆踊りに参加したことのある人なら、このお話の面白さを堪能できるだろう。
    ある意味コアな作品だが、宇野亜喜良さんの幻想的な絵が雰囲気を盛り上げる。
    おじいちゃんのいる田舎で「ぼく」が味わう、夏の不思議な話。
    約13分。「ぼく」に合わせると小学校低学年くらい、かな。

    お盆には殺生はしないものだ。
    そう言われたのに、川でひとり釣り糸を垂れる少年。
    川向うの森に近づいてはいけない。
    そう言われたのに、少年は森に連れ込まれてしまった。
    そこから始まる、森の中の盆踊り。。。

    見た目も 妖しげな踊り衆を、宇野亜喜良さんの絵が実に不思議なふわふわ感で描いている。
    薄い青と緑を重ねた背景のぼかしが効いて、いつものごとくアンニュイな表情の大きな瞳の少女も登場する。
    意味深長な盆踊り歌も面白い。
    歌われるのは、陰陽師として名高い安倍清明でちょっぴり有名になった感のある「葛の葉伝説」。
    そう、何しろ踊っているのはみんなきつねたちなのだ。
    遠くまで、どどん、どん・・と太鼓の音が響きそうな描写だ。
    見開きで描かれた、満月をバックに「ぼく」が飛び跳ねる場面など、はっとするほど美しい。

    異世界に一歩足を踏み入れたような気になる、お盆。
    その、非日常の出来事としてとても味のあるお話しだ。
    夢の中のこととしてあっけなく覚めてしまうのがまことに惜しい。
    でも深入りさせたら現実世界に帰って来れなくなる恐れもあるので、これで良いのだろう。
    古戦場に住み着いたと言う大勢のきつねたち。
    人間に追いやられてもなお盆踊りの時期には集まる姿が、哀れさを誘う。
    不思議なだけでなく、懐かしさも含んでいる宇野亜喜良さんの絵で、いよいよその魅力も増している。

    昨日のニュースで見たことだが、隣近所に配慮するとかいう理由で、消音で盆踊りをしている地区もあるらしい。
    手拍子はOKだが、笛の音も太鼓も歌も、不気味なほど何もないらしい。
    結果、盆踊りの本来の意味からは、どんどんかけ離れてしまっている。
    これでは、子供に何をどう伝えたらよいか、分からなくなるね。
    配慮って、お互いさまってことだと思うんだけどなぁ・・

    • nejidonさん
      vilureefさん、こんにちは♪
      盆踊りのやぐらをご覧になったのですね。
      なんと、郷里でもやってないし、今のお住まいの地域でもやってないと...
      vilureefさん、こんにちは♪
      盆踊りのやぐらをご覧になったのですね。
      なんと、郷里でもやってないし、今のお住まいの地域でもやってないとは・・
      集まる人がほとんどいなくなったとか。
      地区の子ども会も、そういうものには参加しなくなったのかもしれません。
      「〇〇会」というものが、そもそも激減してますものねぇ。
      こちらはまだまだ田舎なので、毎年律儀に行われてますよ。
      あちこちの方角から盆踊りの音が聞こえると、ああ夏だなと思います。

      『なんと、盆踊りを消音で!?
       またまたとんちんかんな事を!
       シュールだな・・・・(-_-;) 』
      ねー、驚きますよねぇ。
      それでも踊り手がぴったり揃っているのは、ひとりずつに小さな
      プレイヤーを手渡ししてあるからなんですって。
      それを帯の間に挟み、接続したイヤホンで聞きながら踊っているのです。
      もっと驚いたのは、同じ盆踊りの会場で、やぐらに近い連と遠い連とで、
      踊りがまるで違っていることでした。
      どうやら、それぞれ違う音楽を聴きながら踊っているようでした。
      シュールというか、気味が悪いというか。

      盆踊りが大好きであちこち参加した私ですが、もう全然出たくないわ。
      発散するどころか、鬱屈してきそうです。
      2013/08/20
    • vilureefさん
      こんにちは。

      シュールを通り越して唖然ですね。
      なんでしょう、そのイヤホンをしての盆踊りと言うのは・・・。
      盆踊りがうるさいと苦情...
      こんにちは。

      シュールを通り越して唖然ですね。
      なんでしょう、そのイヤホンをしての盆踊りと言うのは・・・。
      盆踊りがうるさいと苦情を申し立てるのも大人達、気味の悪い盆踊りを教えるのもまた大人達。
      大丈夫なんでしょうか、この日本は。

      幼稚園や小学校の運動会がうるさいと言う苦情もまた然りですね。
      文句を言う方も、それを受け入れてしまう方も、双方が問題ですよね。

      なんだか悲しくなります・・・。
      はぁ。
      2013/08/20
    • nejidonさん
      vilureefさん、こんにちは♪
      こちらは蝉の声がすごいことになってます・・

      そうそう、「唖然」という表現がぴったりですよね。
      盆踊りな...
      vilureefさん、こんにちは♪
      こちらは蝉の声がすごいことになってます・・

      そうそう、「唖然」という表現がぴったりですよね。
      盆踊りなど、長くてもせいぜい3日間、365日のうちの3日間ですよ。
      それさえも片隅に追いやられるとは、情けない話です。

      運動会もね、教頭が事前に近隣住民宅にお伺いをたてるそうです。
      もちろん、菓子折り持参で何十軒もまわるのです。
      グランドでやる体育の授業も大変らしいですよ。
      教員の声や生徒の声がうるさいとか、苦情の電話がしょっちゅうあるそうです。
      不思議なことに、学校の傍に引っ越してきたお宅が、そういうことを言うそうです。
      また、いちいち謝りに行くんだそうですよ。行かなくていいのにねぇ。。
      病気でも貧乏でも、先ずはおおらかに暮らしたいものです。
      2013/08/21
  • 夏。じいちゃんの田舎に来て、釣りをするぼく。お盆に殺生するものではない・・・からか、魚も釣れない。
    お盆だから魚も盆踊りしてるのやろ
    そんな風に誰かに声をかけられたと思ったら、夕立。思わず飛び移った岸の小舟で、ゴザをかぶって雨宿りした。雨がやんだら、船頭が舟をこぎ出し、あし原トンネルに入り、向こう岸についた。ぼくは船頭と一緒に、すすきの穂の原っぱをぬけて、盆踊りの広場にたどり着く。
    森の上には丸い月。音は聞こえない。花嫁行列、魚、虚無僧、巡礼姿の女の子、・・・仮装した人たちの盆踊り。
    ぼくもキツネのお面をかぶって、キツネのになって盆踊り。
    聞こえてきた歌は、しのだキツネの物語。
    人間と結婚したキツネの物語。


    作者山下明生さんの育った瀬戸内の島の情景と、大阪泉州地区の盆踊り(無形文化財に指定された東盆踊り、樫井三夜おどり、葛の葉伝説の信太山盆踊り)が重なり、幻想的な物語絵本となっている。

  • お盆に川の向こうの森のキツネの盆踊りへ。

    絵と相まって不思議な世界。

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著者プロフィール

1937年東京生まれ。瀬戸内海の能美島で育つ。京都大学文学部仏文科卒業。児童書編集を経て、1970年に「かいぞくオネション」発表。以後、幼年童話から長編作品、絵本の翻訳などで活躍。「海のしろうま」(野間児童文芸賞)「はんぶんちょうだい」(小学館文学賞)「ねずみのでんしゃ」「ふとんかいすいよく」「メロンのメロディー」「海のコウモリ」(赤い鳥文学賞)「カモメの家」(日本児童文学者協会賞・路傍の石文学賞)、翻訳に「おばけのバーバパパ」や「カロリーヌ」シリーズなどがある。

「2014年 『大きな船の旅 ジャカスカ号で大西洋へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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