生き抜け、その日のために ―長崎の被差別部落とキリシタン―

著者 :
  • 解放出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759250374

作品紹介・あらすじ

1945年8月9日、長崎に原爆が投下される。爆心地は、被差別部落であった。この地に生まれた磯本恒信は、母からの「出自を名乗るな」という戒めを破り、長崎における部落解放運動の発展に邁進していく。
 他方、スペインから日本に渡った結城了悟(ディエゴ・パチェコ)神父は日本二十六聖人記念館を開館、初代館長を務めると同時に、長崎に残る膨大な史料を発掘、整理。大きな功績を残し、被差別部落民とキリシタンのあいだで歴史的和解をめざした。
 のちに部落解放同盟長崎県連副委員長となる中尾貫は、初代委員長である磯本恒信を支え、同和教育運動に力を注いでいく。
 この三人が、1979年に起きた世界宗教者会議での差別発言事件をきっかけに出会い、被差別部落民とキリシタンとの歴史的和解へ向けて動き始める。
 平和を希求し差別と闘い続けた三人と、その想いに呼応する多くの人びととの熱く静かな、祈りにも似た壮大な物語

感想・レビュー・書評

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  • 4.25/40
    『1945年8月9日、長崎に原爆が投下される。爆心地は、被差別部落であった。この地に生まれた磯本恒信は、母からの「出自を名乗るな」という戒めを破り、長崎における部落解放運動の発展に邁進していく。  他方、スペインから日本に渡った結城了悟(ディエゴ・パチェコ)神父は日本二十六聖人記念館を開館、初代館長を務めると同時に、長崎に残る膨大な史料を発掘、整理。大きな功績を残し、被差別部落民とキリシタンのあいだで歴史的和解をめざした。  のちに部落解放同盟長崎県連副委員長となる中尾貫は、初代委員長である磯本恒信を支え、同和教育運動に力を注いでいく。  この三人が、1979年に起きた世界宗教者会議での差別発言事件をきっかけに出会い、被差別部落民とキリシタンとの歴史的和解へ向けて動き始める。  平和を希求し差別と闘い続けた三人と、その想いに呼応する多くの人びととの熱く静かな、祈りにも似た壮大な物語』(「解放出版社」サイトより)

    『生き抜け、その日のために ―長崎の被差別部落とキリシタン―』
    著者:
    出版社 ‏: ‎解放出版社
    単行本 ‏: ‎341ページ
    発売日 : ‎2017/4/25
    ISBN‏ : ‎9784759250374

    目次
    第一部
     第一章 原爆が投下された
     第二章 水平社のまぼろし
     第三章 生きていく青春
     第四章 破戒
     第五章 キリシタン弾圧と解放運動の出発
    第二部
     第六章 救世主あらわる
     第七章 運命の浦上天主堂
     第八章 真実を見よ
    第三部
     第九章 めぐり会った両者
     第十章 幸いなる再会
     終章 神父、最後の日々
    あとがき

  • 長崎のキリシタンと被差別部落の関係を描いた、力作だと思う。

    印象的だったところをいくつか。
    浦上天守堂の近くには、被差別部落があったけれど
    原爆ですっかりなくなってしまった。
    でも、生き残った人はもちろんいた。

    戦時中の長崎は、軍事関係の工場などが多かったから、写真は撮れず、観光もほぼ出来なくて、学校の卒業アルバムですら許可が必要だったとか…。

    原爆で亡くなった人たちが、野焼きで埋葬されるけど、火力が足りず2日かかったっていう記述、ショックだったな。

    後、表面上は受け入れたように見えても、部落の人と結婚する花婿の両親と親戚一同が披露宴に欠席するって、想像し難い。最初は、受け入れたように振る舞うことが、余計罪だと思った。

  • 「人間は人間にとって敵ではなく、自分と同じ権利をもつ兄弟なのです」と本書にあるとおりで、人間はみな同じ人間で、生まれた”家”によって差別があるのはおかしい。

    こういう本がもっと読まれたらいいのにと思う。

  • 18/08/21

  •  長崎に対する見方は、確実に変化する。
     掘り起こされるのは、部落とキリシタンをめぐる古層。それから、解放運動へむかう戦後地方史という新層。
     

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著者プロフィール

1958年、宮崎県高千穂町生まれ。法政大学文学部中退。2000年、『火花―北条民雄の生涯』(飛鳥新社、2000年)で、第22回講談社ノンフィクション賞、第31回大宅壮一ノンフィクション賞を同時受賞。著書に『水平記―松本治一郎と部落解放運動の100年』(新潮社、2005年)、『父を葬(おく)る』(幻戯書房、2009年)、『どん底―部落差別自作自演事件』(小学館、2012年)、『宿命の子―笹川一族の神話』(小学館、2014年)、『ふたり―皇后美智子と石牟礼道子』(講談社、2015年)など。

「2016年 『生き抜け、その日のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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