母住井すゑ

著者 :
  • 海竜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759305357

作品紹介・あらすじ

母は畑に出る、かまどの前に座る、井戸端で洗濯をする。母の手の下からはいつも、いいもの、面白いものが出てくる、まるで手品師のようだ-。九十五歳の生涯。その笑顔はいのちを包む。娘が綴る作家住井すゑの意外な素顔、逞しくあたたかい人間像。

感想・レビュー・書評

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  •  住井すゑさん、1997.6.16、95歳の生涯を閉じた。育てた4人の子どもは全部5日生まれ。章(1923.5.5)、かほる(1926.3.5)、れい子(1929.1.5)、充(1931.2.5)。増田れい子「母 住井すゑ」、1998.1発行。著者は1935年4月杉並第2小学校に入学。入学式で私だけが「君が代」を知らなかった。日の丸を持たず、君が代を教えず、セーラー服も寄せつけない母であった。1935年7月、自然豊かな牛久沼に移住。家の改造、開墾、井戸掘り。牛久沼での暮らし、母との思い出を綴った作品。

  • すてきな本だった。
    「おカネは人を卑しくする」という言葉にハッとした。

  • すゑさんが亡くなった半年後に執筆されたのか。

    餅つきの日の楽しみを読んで、おばあちゃんたちを思い出した。
    すゑさんが東京の出版社に行った時のお土産。
    私が小さい頃は、こういうのがあったなぁ。
    喜び合うこどもを満足そうに眺める…、なんて幸せな家族なんだろうか。

    色んなすゑさんに関する述懐から、私もお母さんとおばあちゃんを思い出す。毛糸にセーター。家出。湯たんぽ。風邪っぴき。服の準備。
    苦い思い出とともに、思い出すことも多い。

    橋のない川の執筆についても、ちらりと出てくる。母と娘の、暮らしの思い出を綴った本。

  • 著者の母親はいわゆる「差別を受ける人たち」を
    事柄について執筆した人でした。

    そんな彼女を一番そばで見ていた彼女。
    とっても働き者でモノを作ることにたけていて…
    でも時に服の寸法を間違えてしまうことも…

    確かに生活は貧しかったでしょう。
    だけれども時に、輝くような時間があったのです。
    いわゆるハレの日ですね。

    ラストには母親の最後となった対談があります。
    これ、今だからこそ読んでほしいです。
    ある凶悪事件のあった施設と同業の
    人のお話です。

    彼も時に、思うようにならないそういう人たちを
    疎ましく思ってしまうことがあります。
    だけれどもその時、はっと思い返せました。

    一方「あの人」は。
    ここに別のお話が出てきますが
    根底にある差別の心をこじらせてしまったのでしょう。


  • 娘が綴る作家住井すゑの意外な素顔、逞しくあたたかな人間像。
    母は畑に出る、かまどの前に座る、井戸端で洗濯をする。母の手の下からはいつも、いいもの、面白いものが出てくる、まるで手品師のようだ――。
    九十五歳の生涯。
    その笑顔はいのちを包む。

    目次
    白い骨 涙の海 母の笑い 光る沼 かまどの火 赤飯と餅つき まぜごはんのこと 小麦まんじゅう 藤代へ行く日 雨蛙の財布 夏帽子を買いに 毛糸編みとカイロ 東京のカアチャン とんだ失敗 大和恋い さいごの対話

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著者プロフィール

1929年東京生まれ。ジャーナリスト・エッセイスト。毎日新聞東京本社論説委員、学芸部員編集委員、サンデー毎日記者、論説委員を歴任。女性初の日本記者クラブ賞を受賞。住井すゑの次女。2012年逝去。

「2020年 『たんぽぽのメニュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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