告白 多重人格―わかって下さい。私たちのことを

著者 :
  • 海竜社
3.45
  • (1)
  • (3)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 28
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759307528

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 多重人格という言葉は知っていても、その実態を知るひとはほとんどいないだろう。
    ドラマや小説、映画などの中で描かれているキャラクター設定としての多重人格。
    その描写が正しいものかどうなのか、それすらもわからないまま「多重人格」のイメージが刷り込まれていく。
    この本は、精神科医として数多くの多重人格患者と向き合い、その治療にあたってきた町沢医師によるノンフィクションである。
    多重人格を発祥する事例。そのメカニズム。
    精神的に耐えられない状況に追い込まれたとき、生きていくために、心の逃げ道として他の人格が生まれるらしい。
    したがって、新たな人格はその状況に見合った特性を持っている。
    虐待で殴られ蹴られることに耐えられなくなった子どもは、痛みを感じない人格を生み出す。
    ドラマなどでは複数の人格を統合することが治療の最終地点だと描かれていることが多い。
    けれど町沢さんは「人格統合するだけがすべてではない」という。
    安定した生活を送れることがまず最優先事項だという。
    たとえ複数の人格を持ったままでも、互いがバランスを取り合い、協調しあって生きていけるのならば。
    最悪の状態よりは良いという。
    統合された人格は消えてしまうのではない。
    主人格に加わり、溶け合い、その中に混じって生きていくのだと。
    主人格以外の人格の中でも、リーダー格の人格は比較的しっかりとしているし知的能力的にも高い。
    逆に主人格は耐えられない状況を他に変わってもらう、あらたな人格を生み出すことでようやく生きてこられたほど、弱いことが多い。
    自分の考えをしっかりと持ち、冷静に自分たちの置かれている状況を分析できるリーダー格にとって、「統合」という形は複雑な思いもあるだろう。
    多重人格と言われる人たち。
    彼らの苦しみはきっと私には理解できない。
    犯罪絡みで多重人格を装う人間もいるだろう。
    本当に多重人格である人間などほとんどいないという世間の思いもある。
    だからせめて、彼らに付けられた「多重人格」という状況を少しでも理解できればと思った。
    知らないということは、そのまま差別や偏見につながるような気がするからだ。
    まず知ること。
    そのことが何より大切なことなのだろう。

  • ドクターと患者の対話形式で進む。各人格が描いた頭の中の図は大変興味深い。

  • 「わかって下さい。わたしたちのことを」

    多重人格者達の言葉だ。
    人の心のあり方を少しでもわかりたい、知りたいという、
    その思いで読んでみた。

    人はそれぞれに、それぞれの「宇宙」を持ちながら生きている、
    というのが読後感で、「分かって下さい」との言葉には、
    より謙虚に学んでいきます、としか応えようがない・・。

  • 2012年5月22日

    ブックデザイン/宮坂佳枝
    カバーイラスト/井筒啓之

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1945年新潟県糸魚川市に生まれる。1968年東京大学文学部心理学科卒業。1976年横浜市立大学医学部卒業、東京大学付属病院分院神経科勤務。1986年国立精神・神経センター精神センター精神保健研究所室長。1994年町沢メンタル・ヘルス研究所開設。1998年立教大学コミュニティ福祉学部教授。現在は精神科医・医学博士、町沢メンタルクリニック院長。
専攻は思春期・青年期精神医学/社会病理学・異常心理学/心理療法・犯罪学。
主な著書として、『ボーダーラインの心の病理』(創元社)、『成熟できない若者たち』(講談社)、『ボーダーライン』(丸善ライブラリー)、『閉じこもるフクロウ』(朝日新聞社)、『あなたの心にひそむ』(PHP研究所)、『こころの健康辞典』、『心の壊れた子どもたち』(朝日出版社)、『臨床心理学』(医学書院)、『ぼくの心をなおしてください』(幻冬社)、『ADHD』、『心の健康ひろば』(駿河台出版社)、『人格障害とその治療』(創元社)。

「2012年 『多重人格とボーダーライン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町沢静夫の作品

ツイートする