代筆屋

著者 :
  • 海竜社
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本棚登録 : 465
感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759308334

作品紹介・あらすじ

いい小説は、人生観を変える。いい手紙は、人生を変える。心を動かされた手紙に心が動く、10のハートフルストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 手紙っていいなぁと改めて思う。
    字を書くことが少なくなったから余計に。
    手紙を書きたくなるそんな1冊。

  • 「代筆屋」というタイトルに惹かれて手に取った。ツバキ文具店のときもおもったけど、いいな、この仕事。でも大変そうだな。文字を書くのは好きだけれど、その人に似せて書くなんて考えたことがなかった。それぞれの立場の字や文体。そして依頼人、受け取った側の想い。

  • 10通(章)のオムニバス。
    表現が素敵。
    文章から著者の優しさを感じる。
    気持ちを言葉にして、そして、伝えることの大切さを教えてもらった。

  • 誰かに手紙を書きたくなります。
    万年筆を買って…。

  • 売れない小説家が始めた代筆屋の仕事。吉祥寺のとあるカフェに舞い込む代筆依頼に応じて書いた手紙をめぐる10篇の物語。

    恋文、遺書、謝罪文、祝い文、三行半など手紙の内容は様々だけど、手紙というものは人に思いを伝える手段であるとともに、自分の心の内を整理して前に進む手段でもあると感じた。

    優柔不断な自分を変えたくても変えられない女性、88歳にして夫に見切りをつけた妻、手紙で人生の最期を彩られた老女など、彼女たちのその後は手紙によってそれまでの人生よりも輝いていく。

    それはきっと、メールやスタンプでは決して代わることのできないものに違いない。コスパ、タイパと何もかもが忙しない時代だからこそ、手紙でしか伝えられない思いがあるのだとしみじみ思う。

    辻さんの優しい文章と相まって、ゆったりとした時間の流れに揺蕩うような読書でした。

  • 吉祥寺に住んでいた小説家は、手紙の代筆で評判になっていた。小説家は依頼者に代わってラブレターを書き、感謝の手紙を書き、励ましの手紙を書く。
    時には自分が代筆した手紙に対する返信の代筆を頼まれることもあった。依頼者の真の想いをくみ取って、依頼内容とは異なる内容の手紙を書くこともあった。

    10の短編のなかに様々な人間模様があり、小説家はキザな言い回しの手紙をせっせと代筆する。

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    親密な仲であればあるほど、代筆された手紙を受け取った相手は代筆に気づいてしまうんじゃないかと思った。話し言葉と書き言葉はちがうとは言っても、キザな言い回しを多用されたら、これは送り主本人の文章なのかと疑われるだろう。
    とはいえ、キザな言い回しに心を打たれないのかと訊かれたら、答えはNOではない。全部が全部ってわけではないけど、代筆された手紙の中にはキザだけど素敵な言い回しがいくつもあった。

    ”感謝ができること、これは間違いなく幸福のあかしである。もしも死ぬ間際に感謝で胸がいっぱいになって逝くことができたなら、こんなに素晴らしい最期はない。わたしはお前たちにたくさんの感謝を言い残してこの世を去ることにする。”
    (P60 第三章『過去に囚われず、未来に縛られず』から引用)

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB00101083

  • 辻仁成さんの『代筆屋』読了。
    このお話の代筆屋さんが書いた手紙は文章がとても美しく滑らかで相手を思いやる気持ちが込められて読み心地良かった。心がジンワリと温まりました。

  • タイトルに惹かれて。吉祥寺を風景に、手紙に纏わる悲喜こもごも。微笑ましかったり、切なかったり。こんな素敵な手紙が書けたらいいな。それが難しいなら、私の街でこんな素敵な代筆屋さんに出会えたらいいのにな。

  • 売れない小説家である主人公は、文章を書くのが苦手な人たちからの依頼で、手紙の代筆を請け負う。
    手紙を通して見えてくる、それぞれの人生模様。
    相手へ伝えるべき手紙が、出来上がってみたら自分へのメッセージだったり、代筆屋に語ることによって自分の気持ちに気付いたり。
    「本書を読んで手紙を書いてみようと読者が思ってくれたら」とあとがきで著者が言っているように、本書を読むと手紙を書きたくなる。
    また、誰に宛てるでもなく、文章を書くことは自分の気持ちの整理にもなるだろう。
    とても素敵な小説だった。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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