知っておくべき日本人の底力

  • 海竜社 (2008年2月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784759310061

感想・レビュー・書評

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  • 国体が変わったとあるが日本は天皇を核とする国体は変わっていない。

    天皇のもとに政治を担う人が変わったに過ぎない。

  • 内容自体は「日本の歴史」に関するもので非常によかった。
    ただ、偉人の偉業をすべて「日本人の底力」としてしまうのはどうかと思う。

    著者は、「日本人にはそれこそ神話の時代からから誇れるべき底力があり、その底力というのは日本人の根源のようなもので、現代も生きているものである」といった主張をしている。
    そして、「それぞれの文化にはその文化圏独特の『根本的な感じ方』があるのだ。」というのもわからないでもないが、やはり個人と日本国民全部を同列に論じるのは無理があるように感じる。

    また、一部に読んでいて辛いレベルで、極右的とも取られかねない記述があるのが気になる。

  • 日本の歴史の素晴らしさは、外国との歴史の比較ができて初めて理解出来ると思いますが、渡部氏の著作を読むとそれを強く感じることができます。

    最近の若者は根性がなくなってきたと言われていますが、この本で書かれている日本人の素晴らしさの一つである「底力=本当の力」を自分も少しでも身に付けていきたいと思いました。

    特に、日本の歴史上の人物において、どんなに権力を握ることになっても天皇の権威を侵そうとしなかったのは、特徴的だと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・インドのパル判事が全員無罪を主張した根拠の一つとして、田中義一内閣の次の内閣は反対の立場の浜口雄幸であり、共同謀議にはあたらない(p25)

    ・安倍元首相のインド訪問は、東京裁判史観、自虐史観からの脱却を目指したものだった(p28)

    ・日本は東京裁判の判決には従ったが、東京裁判の中味を認めたわけではない、これは重要なポイント(p31)

    ・女系天皇にすると、皇室の男系遺伝子は二代で消滅することになる、以前に三笠宮寛仁殿下が女系天皇に反対したのはこの理由からと考えられる(p59)

    ・組織が底力を維持する最大の条件は、組織としての原理を動かさないこと、日本ならば男系世襲を守ること、ローマカトリック教会は、法王は結婚せず後継者を男子に限るである(p63)

    ・遺伝子の相続でなく、「家産の相続」の場合は、娘を優秀な番頭等に継がせたりしても大丈夫である、ヨーロッパの王家は「家産相続」である(p65、67)

    ・1648年のウェストファリア条約以来、文明国同士では、宗教と政治を絡ませて争ってはいけないことになっている、例外はアメリカ占領軍の神道指令のみ(p73)

    ・天皇家の専売特許が「お伊勢参り」が庶民のものになったのは、応仁の乱のおかげ、伊勢神宮が「御師」というものを作って、お札を売出して普及につとめた(p76)

    ・本地垂迹説とは、人間をこえた聖なる存在があるとすれば、それぞれの民族に応じた形で現れるに違いないとする考え方で、インドでは釈迦や如来、菩薩等、日本では古代の神々の姿で現れる(p85)

    ・日本の諸システムは唐にならって始めたが、唐にはいわゆる神様を扱う官はなかった、日本の場合には、大宝律令においても神祗官はトップの座にあった(p113)

    ・唐において土地を持てたのは労働力(18歳以上の男子)に対してのみであったが、日本では6歳以上の男子に2段、女子と官戸、官奴婢には3分の2、家人と私奴婢には3分の1を与えて終身使用を許可しているのが相違(p122)

    ・七福神において、大黒様、毘沙門様、弁財様は、インドヒンズー教、布袋様は中国の仏教、福禄寿と寿老人は道教、日本からは恵比寿様のみ(p135)

    ・1274年に蒙古・高麗軍は10月5日に対馬へ上陸、宗氏は奮戦したが全員玉砕(80騎)、14日には壱岐に上陸、平氏も勇戦したが自害した(p155)

    ・元寇を退けた北条時宗は、従五位の上から、正五位の下になったのみで功績は殆ど認められなかった(p162)

    ・建武の中興が短期間で崩れたのは、論功行賞がいい加減であったから(p178)

    ・日本人には立身出世を考えるときには、秀吉を考え、平和を求めるときには家康のこと、新しい改革を求めるときには信長をイメージしてそれの人気が出てくる(p185)

    ・貞観政要の思想のポイントは、「治めるよりも、治められる民衆のほうが重要だ」としているので、徳川時代には「民衆に背かれる大名は大名たる資格はない」とされる(p201、202)

    ・日本の特徴として、1)日本語、2)皇室、3)神社、4)日本仏教、がある(p223)

    ・漢字の「訓」よみは日本語で、「音」は当時の日本人が外国語(漢語)と感じた言葉である、漢字は発音記号として使っている(p225)

    ・航空母艦を作れたのは、日本・アメリカ・イギリスのみ、イギリスでも機動部隊(航空母艦、巡洋艦、駆逐艦等の編成)は作れなかった(p242)

    ・20世紀初頭に当然にあった人種差別において、人類進化の順序は、類人猿、黒人、褐色人、赤色人、黄色人、白人であった(p249)

    ・文明は継続的なものであり、文化は時代的にも地域的にも分けて語り得るもの、時代や地域のある特徴的なもの(p258)

    ・日露戦争の日本勝因は、日英同盟を結んだことにある(p262)

  • 日本の文化や歴史のすげぇところを論じる。
    日本ってやっぱいいわぁ。おれも日本人のはしくれとして今厳しい状況にある日本を背負っていきたい。
    ただ女系天皇云々ではイマイチ納得しかねる。遺伝子なんかどうでもいいやん、馬や犬じゃないんだから。とおれは思いました。神話時代から連綿と続く遺伝子とゆうことですが、イスラム社会に啓蒙の必要を述べる割りには神話と現実をごっちゃにして論じてるのね。

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著者プロフィール

上智大学名誉教授。英語学、言語学専攻。1930年、山形県鶴岡市生まれ。1955年、上智大学大学院修士課程修了後、ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学へ留学。ミュンスター大学における学位論文「英文法史」で発生期の英文法に関する研究を発表。ミュンスター大学より、1958年に哲学博士号(Dr.Phil.)、1994年に名誉哲学博士号(Dr.Phil.h.c.)を授与される。文明、歴史批評の分野でも幅広い活動を行ない、ベストセラーとなった『知的生活の技術』をはじめ、『日本そして日本人』『日本史から見た日本人』『アメリカ史の真実(監修)』など多数の著作、監修がある。2017年4月、逝去。

「2022年 『60歳からの人生を楽しむ技術〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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