女の背ぼね

著者 :
  • 海竜社
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本棚登録 : 10
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759310528

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  • 佐藤愛子さんのエッセイ「こんな幸福もある」「こんないき方もある」「こんな考え方もある」・・・といった「こんな~もある」シリーズ。
    そこから抜粋し再編集された本です。
    佐藤愛子さんが40代後半から70代はじめに書かれたもので、「幸福について」「夫婦関係」「親として」「老いとして」といったテーマについて、それぞれの年代に書かれたエッセイが載っています。

    40代で書かれたエッセイはどちらかと言うと真面目でスッと背骨が伸びた感じ。
    まるで背中に定規を入れたような・・・。
    それが50代、60代・・・と歳をとるにつれて丸みを帯びていっているという印象をもちました。

    今回も色んなエピソードが載っていて、例えばファンの方から朝4時に並んで買った柏餅をもらって涙が湧き出そうになった話とか、ファンの高校生が母親が厳しいという事を書いたファンレターに返事を書いたという話とか、これだけの有名作家なのに親しみやすい人だな~、いい人だな~と思いました。
    佐藤愛子さんは北海道に別荘を持っていて、地元の漁師さんたちと親しいつきあいをしておられます。
    女流文学賞を受賞した時、その漁師さんの一人が祝ってくれた。
    その際、「偉くならないでくれな・・・あんまり」と言われ、その『正直な直情溢れる言葉』に心を打たれたという話も良かった。
    私もそういう言葉にはジンとなるだろうな・・・と思った。

    今回の本ではこの言葉が印象的でした。
    『人の好き嫌いの殆どは、相性というものだと私は思っている。相性が悪いということは、感受性が違うということだ。多くの人に好かれる人は一般向きの感性の持ち主だともいえるのではないだろうか。個性が強い人は人から好かれる率は低いかもしれない。しかしだからといってその個性を殺して、人に好かれるように努力しなければならないというものでもないと私は思っている。好かれるためのとってつけたような努力をわざとらしく感じて疲れる人もいる。
    「ありのままでいいんですよ。あなたの自然でいいんですよ。人生経験を大切にしていれば、自然に魅力がそなわってくるものですよ」
    と私はいいたい。』

    歳をとってスッと伸びた背筋が自然に猫背になっていく。
    その猫背なエッセイも愛しいと感じる本でした。
    ただ、作者本人もまえがきで書かれているように、時代のうつり変わりにより主義主張が古く感じるものもあり、「ふーん、こんないい分が通用していた時代があったのねえ・・・」くらいで読んでいただければ、との事です。

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著者プロフィール

佐藤 愛子(さとう あいこ)
1923(大正12)年、大阪に生まれる。甲南高女卒。
1969(昭和44)年、『戦いすんで日が暮れて』で第61回直木賞、1979(昭和54)年、『幸福の絵』で第18回女流文学賞、2000(平成12)年、『血脈』で第48回菊池寛賞、2015(平成27)年、『晩鐘』で第25回紫式部文学賞を受賞。2017(平成29)年、旭日小綬章を授賞。ユーモアあふれる世相風刺と人生の哀歓を描く小説およびエッセイは多くの読者の心をつかむ。
著書に『九十歳。何がめでたい』(小学館)、『私の遺言』(新潮文庫)、『晩鐘』『血脈』『わが孫育て』『我が老後』シリーズ――『我が老後』『なんでこうなるの』『だからこうなるの』『そして、こうなった』『それからどうなる』『まだ生きている』(以上、文春文庫)、『ああ面白かったと言って死にたい――佐藤愛子の箴言集』『幸福とは何ぞや―佐藤愛子の箴言』『そもそもこの世を生きるとは―佐藤愛子の箴言集2』(以上、海竜社)ほか、著書多数。

「2019年 『ガムシャラ人間の心得』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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