猛毒国家に囲まれた日本: ロシア・中国・北朝鮮

  • 海竜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759311228

作品紹介・あらすじ

「教養」「情念」「超越性への感覚」が日本を救う。虚言と虚構に包まれた世界を見抜く力、動かす力がここにある。猛毒国家に囲まれた日本が、それらの実情を見抜き、生き残るためにはどうあるべきか。「戦後最強の外交官」とも称されたミスター・ロシア佐藤優氏と、中国問題のエキスパート宮崎正弘氏による対論集。

感想・レビュー・書評

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  • ロシア・中国・北朝鮮…。「猛毒国家」に囲まれた日本がそれらの実情を見抜き生き残るためにはどうあるべきか。露と中。両方のエキスパート二人が織り成すスリリングな対談です。これらの国の今後の情勢に注目です。

    この本は2010年に出版され、現在では少し事情が違っていますが、大本のところは『え、この時期にここまで予測していたのか!?』と何度もうなってしまうほどのものでした。ロシア分析の専門家である佐藤優氏と中国問題の第一人者である宮崎正弘氏との対談は非常にビビッドで、扱われているテーマもロシア、中国、北朝鮮とどれもこれもが『一筋縄ではいかない』国家と隣同士になっている日本が彼らのことをどのように理解して今度、どのように立ち振る舞っていけばよいのか、ということで非常に内容は示唆に富んでいるものです。

    佐藤・宮崎両氏ともに、ロシア、中国と国は違えど彼らのような人間や国家とがっぷり四つになって取っ組み合いを続けてきた彼らだからこそ見えるもの、それが面白かったです。

    たとえば、ロシアではどんなにエリートでも週末は必ず土いじりをすることが精神的な安らぎを得る手段であったり、中国では利害が一致するがきりは結束する。などといったお話が僕の中では印象に残っております。

    今後、彼らとどう付き合っていくのか?その問題を考える上で抑えておきたい文献のひとつであると思います。

  • 目次
    プロローグ 国を憂うということ―国家の根幹を成すのは「愛国」か「憂国」か
    1章 虚構の大国、ロシア―国家にも貨幣にも頼れないときに頼るもの
    2章 日本人とは何であるか―国を守るために必要なこと
    3章 猛毒国家に囲まれた日本―北朝鮮、ロシア、中国の行く先
    4章 猛毒国家とどう向き合うか―戦略的「虚言」と「虚構」の見抜き方
    5章 世界を見抜く力、国を動かす力―「教養」「情念」「見えないものへの感覚」が真の力に

     刺激的なタイトルだが、ロシア人と中国人の文化歴史比較が論点のひとつとなっている。
     基本、農耕民族的でお金は忌むべきものとし、友達とあの世を信じているロシア人。狩猟民族的で拝金主義、現世快楽を求めあの世も友達も信じない中国人。
     「厄介な隣人」として我が国では一緒くたに扱われがちな両国の人間だが、かような差がある。
     で、「こんだけ違うと両国(ロシアと中国)の友好なんて永遠に無理じゃないか」というのが宮崎氏の発言。
     ちなみに、ロシアではずるい人間を軽蔑して「中国人100人分ずるい」というらしい。

    <感想>
     私自身は佐藤氏をはじめとして、ロシアの本はそれなりに読んでいるが、中国は手薄。
     なので、宮崎氏の指摘が興味深かった。
     曰く、中国は「ネーションステイト(国民国家)」を確立しようと四苦八苦しているがうまくいかない。
     まずは「共産主義」、次に「拝金主義」、そして「狂信的中華主義」を利用しているが、チベットやウイグルを始め、爆弾はいくつもある。
     あとは佐藤氏の国家間の分析の基礎には、常に「宗教」と「言語」がある。両者が同一だと同化しやすい。どちらかが違っているor似ているケドちょっと違うくらいだとと紛争のタネ。全く違うとケンカになりにくい。
     この論法でいくと、ウクライナとチェチェンがロシアの火薬庫だが、そのとおりである。
     それからあの広大なロシア領土をおさめるには「権力の密度」にバラつきがある。
     シベリアなんかはボソボソ。だが、ウクライナやチェチェンなんかはそういう意味では権力が密に集まる場所であり、そこで揉め事を起こすとロシアが真剣に鎮圧にかかってくる等が面白い視点だった。

  • “2010/8/3:
    だからどうせ​いっちゅう話は?”

  •  日本が置かれた現状についてロシアの視点から語る佐藤優氏と、中国の視点から語る宮崎正弘氏の対談本。

     中国はまだ感覚的に分かる部分もあるのですが、私たちにとってロシア(旧ソ連)は、どんな国なのかイメージが付きにくく、またヨーロッパなのかアジアなのか分からない部分もあったんですが、この対談を通して、ロシアはどちらでもないユーラシアというまた別の存在であることの確認が取れた気がしました。

     タイトルにある通り、ロシア、中国、北朝鮮、そしてアメリカとどう付き合っていくのかを考えさせられる1冊です。
     
     ロシアと中国の宗教観、国家観、人間関係の在り方の比較を通して、我が国のことについて考え直してみるという作業ができます。最後は、佐藤優氏が以前から指摘している新自由主義の問題についての対談で、改めて小泉政権下で一気に広まった新自由主義について、佐藤優氏のロシアの視点、神学の視点から考えてみるのも刺激的だと思います。

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著者プロフィール

一九四六年生まれ。東京工業大学理工学部卒業。新潟大学名誉教授(情報工学)・工学博士。現在、新潟大学発ベンチャーとして創業した株式会社ラングテックの代表取締役社長として、コンピュータによる文の意味理解の研究、高品質な日英翻訳ソフトや使いやすい英語学習支援ツールの研究開発など自然言語処理の基礎研究から応用研究に至る幅広い活動に取り組んでいる。著書に『日本語語彙大系』(共著、岩波書店)、『言語過程説の探求 第三巻 自然言語処理への展開』(共著、明石書店)など。

「2023年 『言語本質論と個別言語分析』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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