- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784759312300
感想・レビュー・書評
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ある人が自分の心の求めに応じて、悩み苦しみながら得た信仰告白として読みました。賛成できない部分もあるけれど、人の信仰にケチをつけるなんて野暮ですよね。日本人のこういう本って、各宗教、哲学や自然科学にも公平で好きです。
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霊魂や死後の世界は存在するのかという問いについて論じた思索の書である。
筆者はそれらは存在すると確固として信じており、様々なことをその根拠として上げているが、正直これで説得されることは少ないだろうし、きっと筆者もそれを期待してはいないのだろう。
重要なのは、霊魂や死後の世界があると信じることで、心安らかな日々を送ること。
筆者はパスカルの言葉を引用し、死後の世界が無いと信じて消滅の不安におびえるよりも、有ると信じた方が確実に充実した日々を送れると説いているが、それは確かにその通りだと思う。
そう心から信じきった状態というのを少し想像すると、うらやましくも思えるが、明日から死後の世界を信じきることは絶対にできない。
本書ではルルドの奇跡を目の当たりにして神父になった医学者の話などが出てくるが、そういう強烈な体験をするか、筆者のように深い思索の果てに確信に至るしか方法はないように思える。
「悟り」というのはその確信に至った境地なのかもしれない。 -
トルストイの「人生論」に通じるものを感じた。
筆者の姿は、「人生論」の解説を著した山折哲雄の言葉を借りれば、「言葉を尽くし、理屈をこね、とうとうと弁じたててはいるのだが、どこか十字街頭に一人立つ、寂し気な預言者」のような雰囲気を漂わせている。
しかし、「哲学する」者は、そのような孤独な姿を常にまとわせているのではないか。
常識を疑い、己の研ぎ澄まされた理性だけをよすがに現象を再び記述するためには、孤独にならねばならない。