ヒューマンボデイショツプ: 臓器売買と生命操作の裏側

  • 化学同人
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  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759802788

作品紹介・あらすじ

「生命とは」を根底から問いただす。人体がテクノロジーの対象として商品化されていく過程とその背景を克明に綴ったドキュメンタリー。

感想・レビュー・書評

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  • 約三十年前の本だが、議論されている内容は新しい。
    本書に出てくる中にまともな人はほぼいない。
    臓器移植のため胎児を生きたまま取り出して殺す医者、
    利己的で冷血なブローカー、
    先端技術に便乗して(望み通りの)子どもを欲しがる、自然の道理を捨て去った親。
    経済的理由から、彼らに血肉や臓器を与え、子宮を貸す人々が 
    まともにみえてくるほどだ。
    人間部品産業の波は確実に日本を侵食しつつある。 
    制度や法律はひとびとの価値観を変える。
    だから「自分は利用しないが他人の権利は認める」では不足なのだ。

  • 臓器移植や体外受精など、いわゆる “ 神の領域 ” にまで足を踏み入れた現在の医療のあり方に警鐘を鳴らすノンフィクション作品。

    他人の血液を体内に入れる輸血に始まって、今は、肺や心臓といった命に直結する臓器まで、まるで機械の部品を交換するように取り替えることができる。
    それに伴い、臓器売買が普通に行われている。
    また、命の根源である精子や卵子も金銭で取り引きされている。
    体の一部に値段をつける行為は、命に値段をつけるのと同じではないかと著者は憂う。

    貧困国の貧困層の人々の間では、今でも臓器売買が重要な収入源であり、何度にも渡る臓器摘出により命を落とす者も多い。

    アルツハイマー患者の脳に胎児の脳を移植する治療法が研究されている。
    その研究に使われるのは、業者によってバラ売りされている人工中絶された胎児の脳である。

    人工呼吸器をつけた状態で生存している植物状態(脳死状態)の患者を “ 死体 ” として臓器摘出するのは是か非か。
    人工授精された胚は “ 生 ” なのか、生命になる前の “ 物 ” にすぎないのか。

    医療技術が進歩すればするほど曖昧になる人間の生と死。
    少し難しい内容ではあったけど、とても興味深かった。

  • 会社に働かせてもらって賃金をいただいているんだと思ってきたけど、『賃金労働とは、自分の時間を切り売りにして労働を“売る”ことだ』というくだりは目からウロコ!

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