笑いの方程式―あのネタはなぜ受けるのか (DOJIN選書 10)

著者 :
  • 化学同人
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759813104

作品紹介・あらすじ

笑いに関する書物は数あれど、作品構造を分析・批評した本は皆無に等しい。ほとんどのネタは惜しまれることなく、この世から消えてゆく。そんな儚い運命にあるネタに仕掛けられた笑いのテクニックを形態分類し、笑いを引き起こす構造を分析。見て楽しむのとはひと味違う、読んで楽しむお笑い論。笑わせるテクニックの博物学的形態分類。

感想・レビュー・書評

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  • 分類することは便利ではあるが、分けて納得してしまうと、その先を探さなくなってしまう恐れがある。「なぜ面白いのか」を考える参考には良い。

  • ふむ

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/40581

  • お笑いオンエアバトルから2007年(本書刊行)までのお笑いについて分析したもの。
    非常識と常識の交わり的に分析しており、アンジャッシュさんとラーメンズさんを著者は推してますがマイナーな芸人さんも追っており(出雲阿国さんまで出てくるんだぜ)
    お笑い好きにはたまらない本だと思う

  • あの漫才やコントはなぜ面白いのか?筆者はお笑いのネタを活字化し構成を分析し形態を分類するといった科学的な観点からお笑いのテクニックを追及しています。あなたの好きな芸人さんのネタはどのタイプかなど考えて観るのも楽しいかも。章の最後には練習問題もあり,自分のお笑いセンスを試してみては。

  • 比較的新しいネタを題材としながら、汎用的なお笑いの構造を簡潔に説明してくれる本です。

  • お笑い好きの大学教授がネタの構造を分析し、体系立てました。
    有名な中堅お笑い芸人のネタを、ダジャレ、自虐、あるある、言葉遊び、シュールなどに体系立てて説明しています。
    サンプル抽出されたネタの多少から察するに、この教授はアンジャッシュ、ラーメンズのような作り込んだネタが好みのようです。

    この本が面白いのは、各章の最後にネタ作りの問題集がある処です。
    「空白を埋めてネタを完成せよ」という形式で、実際の芸人のネタが出題されます。
    これを解くことで、ネタ作りの触りを経験できたような楽しみがありました。
    しかしネタ作りという創作活動は楽しいものですが、やはりお笑いは演者次第でいかようにも料理されるものということも改めて感じました。

  • お笑いのネタを多数収録している、という点で価値はあると思う。
    例えば、私のようなアマチュアのお笑い好きが、知っているネタを文章で再確認するためのツールとしては問題なく使えた。

    しかし、知らないネタについては、まったくと言っていいほど解説が頭に入ってこなかった。情景描写にやや難があるか。
    DVD映像でも添付されていればいいのだろうが。

    図書館で一周読んでじゅうぶんに堪能し、満足できた。
    再読はないだろう。

  • ふつう図式というものは分かりにくい文章を分かりやすくするものなのだろうが余計わかりにくいと思うのは自分だけ・・・・自分だけ?

    シナリオ台本を読むというのも一つの表現方法だと思うがやっぱり映像と並列だとなお、わかりやすかったのではないだろうか。

  • 学者センセが余興手すさびに書いた、最近のテレビお笑い芸人ネタ羅列本。
    「方程式」というほどの抽象形式はどこにもなにもありません。
    分類・用例・口述書き起こし、ともにかなりいい加減です。

    これはさすがにちと1600円の価値はないかと。借りてさらさらと通読するが吉。

  • お笑いの型について説明。こんな本は確かに他にあまりないかも。漫然と見ていたお笑いをこんな風に説明されるとなるほど、と思うことしきり。
    笑いは生活の潤滑油。自分にできそうな小ねたでも考えてみようかな

  • 現実世界(R世界) ← 観客 → 形式と間仕切りによるパッケージ(P世界)
    笑いが起きるのは、この2つの世界がリアリティを求めて競合するから
    自賛ネタ(武勇伝、パッション屋良、瞬間メタル、クールポコ)

    自虐ネタの構造
    舞台のヒロシ<突き放し・距離化>(R世界) ← 観客 → 「ヒロシです」の反復によるパッケージ<対自化されたヒロシ>(P世界) 「ヒロシ」
    =対自化
    「男に騙されている」という視点から解釈された世界 (P世界1) ← 共通の事件 →「男は自分を愛している」という視点から解釈された世界(P世界2)←観客 「出雲阿国」
    =ルビンの壺、ゲシュタルト変換

    日常世界によくあること。観客の想起による日常世界の再現 (R世界) ← 共通の事件 →「気になること」によるパッケージ(P世界)←観客 「だいたひかる」

    魔邪の言説に基づく現実のパッケージ化「…っていう女」 (P世界1) ← ツッコミ →魔邪の懐疑的精神によって生まれた批評世界(P世界2)←観客
    =下降性の不一致=ずれ下がり(スペンサー)

    七五調という定型に押し込まれたネタは、その時点で日常とは別の世界を形成する。観客はこの別世界(P世界)と自らが慣れ親しむ現実世界(R世界)とを知らず知らずのうちに比較し、そのギャップを楽しむ。「レギュラー あるある探検隊」

    取り違え(キプロクオ) 構造で笑わせる唯一の形式
    家庭教師と生徒の会話 (P世界1) ← 偶然の符合(P世界3が発生) → 友人と恋人をめぐる会話(P世界2)←観客 「アンジャッシュ」
    交通安全教室 (P世界1) ← 間違った台詞 → ピーポ君の不謹慎な発言(P世界2)←観客 「アンジャッシュ」
    ある情況が全然独立している事件の二系列に同時に属しており、そしてそれが同時に異なった2つの意味に解釈できるとき、その情況は常に滑稽である

    唐突な深刻さ
    お客様は一人ぼっちでよろしかったでしょうか?

    異種統合
    ラジオ番組と面接、実況中継と待ち合わせ、葬式と前説、老人とロボット、駅員とコンビニ、駅員と結婚の承認、殺し屋とファン、刑事とホスト、どのコントもいずれか片方の世界だけに着目すると、そこにはこれといった笑いの要素が含まれていないことが分かる。つまりパラレルな2つの世界が現出して初めて滑稽味が生まれる。この場合異世界の導入は必ずしも「現実的」である必要はない

    ヨハンリーベルトの恐怖の世界 (P世界) ← 注射の脅威 → 救急車の中の救急隊員の現実世界(R世界)←観客 「インパルス」

    言語独立の法則 「SMタクシー運転手」と日常世界を代表する「乗客」がそれぞれ自分の世界の言語で語り続けなければいけない

    強度拮抗の法則 両者の存在感が拮抗し、観客にとって同等のリアリティを持って立ち現れる

    チリンチリン=警鈴 福田の身近な事件 (R世界) → チリンチリン=女性 徳井の過去の女性(P世界)←観客 「チュートリアル」

    シュール
    ・ サスペンス・シュール
    正体や理由が不明のものがあり、それが何であるか終始気がかりになる型 
    「一体何を言おうとしているのか?」と不可解な気分にさせる。観客に何故なんだ?という気分をもようさせる。例)バカリズム「怒るとワンピースを着る男」
    非現実シュール 非現実の合理化
    茶の間の会話 (R世界) → 仮想的世界(P世界)←観客 「ジョビジョバ バッファロー」
    地と図の反転

    ・言語系シュール 
    言葉の約束事を一部変更し、観客を日常言語のまどろみから覚醒させる型
    例)よいこ「濁点誘拐」 バカリズム「イニシャルトーク」
    過剰なイニシャルの使用はそれ自体滑稽であり、そこに視座を移動させた観客の眼を現実へと向かわせる。この2つの世界の比較対照とリアリティにおける両者の競合が笑いの振動を引き起こす。現実世界に身を置く観客に対する異化作用

    「異化」観客が当然のように期待していた展開を回避し、そうすることで牢固とした日常的前提を意識し、慣れ親しんだ信念や常識を「異なるもの」として距離を置いてみるように仕向ける効果、ブレヒトがその実験的演劇で導入した効果のこと

    批評是正の欠如=ツッコミ不在

    ・ SF系シュールコント 
    現実にはありえない事態や存在を導入するが、その他については現実の機構が忠実に守られている型 ラーメンズ「現代片桐概論」

    過剰なディティールの描写

    ・ パラレル系シュール 
    ありえない仮定を含む世界が、さらに架空の世界を生み出し、パラレルワールドが出現する型
    対抗戦のあるなわとび歌というシュールな設定 (P世界1) ← なわとび → 真知子の縁談話(P世界2)←観客 いつしか現実から脱出、2つの世界を往還する(R世界)ラーメンズ「なわとび部」

    ・ ソフトシュール
    不条理で非常識なものの結合が、観客の日常感覚を麻痺させ、軽度の眩暈をもようさせ、それが笑いにつながる作品
    ポイズンガールバンド 中日

    笑いのテクニック
    ・模倣
    ・ナンセンス
    ・反復 タカアンドトシ「欧米か!」
    ・ずれ下がり 意識が大きなものから小さなものへ不意に移される(下降性の不一致 スペンサー)
    ・唐突な深刻さ お客様は一人ぼっちでよろしかったでしょうか?
    ・論理的逸脱 論理的にずれた発言や行為 矛盾、言葉と行動の不一致、期待を裏切る態度、勝手な決めつけ
    ・針小棒大 過剰な現実性 例)青木さやか
    ・唐突なリアル 
    ・論点ズレ
    ・同語反復(むち打ち患者にむちを打つ)、語義矛盾(友達の家に引きこもる)

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著者プロフィール

新潟大学人文学部教授(2013年現在)

「2013年 『パラドックスの科学論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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