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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784759813517
感想・レビュー・書評
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調べてみたら20年以上経過していましたが「脳内革命」という本を読んで、右脳の働きの重要性を認識して、それ以来、私にとっては常識となっていました。そんな私にとって、この本のタイトルにある「左脳・右脳神話の誤解」というのは興味を惹くものでした。
私が受け取ったメッセージは、左脳と右脳に独自の働きがあるわけではなく、両方の脳が協力して作業をしているとのことです。その結論を導き出すために、この本の著者である八田氏は、過去の文献や研究の内容について解説、不備な点の指摘も含めて行っています。
この本を読むことで、今までのように右脳だけに意識を向けるのではなく、自分の脳全体を活性化させるように生活をしていこうと思いました。
以下は気になったポイントです。
・右脳に関する情報は、30年ほどで一つの世代が交代の時期を迎えると、以前に否定されたはずの話題が、あたかも目新しい情報のようにメディアに取り上げられるだけのこと(p3)
・脳梁は左脳の情報を右脳に送り、逆に右脳の情報を左脳に送る情報の伝達路である、そこを通過するのに要する時間は20歳頃まで短くなる、従って、左右脳の働きとその相互作用も変化する(p104)
・そろばん熟達者は、普通の人と異なり、左脳と右脳を共働させ、統合的に働かせるようになっている(p136)
・左右脳研究は、左、右それぞれの脳の働きの差異を検討することは終わり、左右がどのように共働するかの仕組みの解明にシフトするだろう(p162)
・人が話すとき、左脳運動野だけが働くのではなく、前頭葉前野も、右脳や小脳などその他の多くの脳部位が連携している(p163)
・加齢に伴って、左右それぞれの脳の活動が低下しても互いに協力し合うことで、左右それぞれの脳が得意な働きをする(p169)
・一番の責任があるのは、素人のメディア編集者に科学的でない方法で行った実験資料を提供した者である、自分の主張に合うデータのみを選択的に使用した形跡がある(p191)
・科学的に物事をとらえる際の基本、「疑う」「比べる」「確かめる」ことの面倒くささや厄介さを省くべきでない(p194)
・アンチエイジングの基本は、結果の成功や失敗を考えたりせずに何事にも好奇心をもって行動すること(p198)
2013年5月18日作成詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「右脳を鍛えると創造性が育つ」,「芸術肌の人は右脳優位,理屈っぽい人は左脳優位」…といった話を耳にしたことがある人も多いだろう.これらの俗説はマスコミを介して広まり,一般に信じられてしまっている神話だと著者は言う.1981年にノーベル生理学・医学賞を受賞したロジャー・スペリーの分離脳(離断脳)の研究や自身の研究を交えながら,左右脳半球の機能差や情報統合について解説している.本書の後半では,角田テストを例に,検証がされぬまま研究結果が独り歩きし,神話として人口に膾炙することへの警鐘を鳴らしている.
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左脳・右脳が完全に分かれており、それぞれが機能分担しているというのは誤った認識である。そのことについてファクトベースで述べた本である。
研究結果を引用し、左脳・右脳の違いを述べたものがある。そこから派生した逸話も多い。しかしその多くは、偏りが見られるが完全な左右の脳に完全に機能分担されている訳ではないということの様である。
これらの誤解は、左右の脳をつなぐ脳梁を切断した患者の症例や実験に基づくものにあるようだ。そこから話を極端にしたものが多く、実験の結果とはかけ離れているという。
研修用の教材を作るときのこの手のものを引用することがある。科学的に正しいか。書いていることに誇張はないのか。確認が必要だと思った。可能な限り原著、論文を確認することが必要なのだと思う。 -
No.551
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