タコは海のスーパーインテリジェンス 海底の賢者が見せる驚異の知性 ((DOJIN選書: 88))
- 化学同人 (2020年12月24日発売)
本棚登録 : 86人
感想 : 9件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (238ページ) / ISBN・EAN: 9784759816884
作品紹介・あらすじ
8本の腕と柔軟な身体を使って太古の昔より生存してきたタコ.巨大な脳と優れた眼をもち,知的行動もやってのける.そんな「海底の賢者」とも呼ばれるタコは,どんな生き物なのか.本書では,タコの知性と身体をキーワードに,学習,記憶,道具使用といった知性,タコどうしのつながりや性格から導かれる社会性の特徴,優れた視覚や触腕を使って認識する世界など,いまだ多くの謎に包まれたタコの素顔に迫る.墨色のベールの向こうのタコはどんな姿をしているのだろう.
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
2020年刊。驚くようなタコの知性!
これまで知的な動物で行われてきた実験パラダイムを採用。タコの知性や社会性を探る。なんと、回り道問題、観察学習、迷路学習、道具使用、遊び、対面実験、鏡像自己認知テスト、クロスモーダル課題など、ほぼクリア! でも、クリアできない課題も少数ある。そこも重要。
著者はもとはイカを研究していた(see池田譲『イカの心を探る』NHKブックス)。タコにも取り組むようになったのは、サカナくんのおかげ。NHKのテレビ番組で、彼がイタリアの研究者(フィオリト博士)のところでタコの学習実験をするという企画。それを監修したら、タコにもはまってしまったという。(そういえば、この番組(たぶん2012年OA)は印象的だった。サカナくんは実験者として静かに動かずにいなければいけないのに、被験体のタコの一挙手一投足に大興奮。フィオリト先生がちょっと怒っていたっけ。)
本書刊行の半年前に、池田譲『タコの知性』(朝日新書)が出ている。内容は半分かぶっているが、例として出てくる実験や書きぶりは異なる。比べながら読むのも一興。 -
馴染み深いはずのタコに関して、これほど自分が無知だったことに驚き。
-
タコには知能があるというのは聞いたことがあった。脳の重量は鳥類と爬虫類に近いレベルのようだ。
タコは海の底を這って移動する。
タコは体の色や凹凸や形状や光の反射を瞬時かつ自在に変化させることができる。
タコは視角が発達しており、目は単眼で人間と似た構造をしているが色覚は無い。
タコの寿命は1年間程度と考えられている。
タコは物の形状を学習で見分けることができる。硝子瓶に入ったカニを見つけると、蓋を外してカニを取り出すことができる。
タコの腕は頭から生えている。8本合計で2億個ほどの受容体がある高感度センサーとなっている。
タコは2週間以上の記憶ができる。 -
-
植物には知性がある。と言う論説の書籍を読んだ後にこのタコに関する書籍へと突っ込んだお陰で自己流ではあるものの独自の生命史構築へと繋げることができた。感謝でしかない読後感である。なお、今後は蛸はーい食するだけでなく友達として接していきたい。愛してまちゅー(^^)
-
タコの学術的な知見がまとめられた一冊。
そもそもタコに関して図鑑的な生態が触れられることがあっても、この本のように研究的な視点から所見が語られる本というのはなかなかない気がします。そうした意味では、長年研究に携わってこられた著者の渾身の一冊という気概が読み取れます。
しかし、これは学術的な視点あるいは専門家の所見を述べる本にありがちな点だと思いますが、どうしても書籍が論文化してしまうという点、そしてあまり読者が期待していない自分語りが入ってしまうという点があると思います。こうした本を通してもっとタコの知られざる生態について、さらにはタコ研究の実態を知って興味を持って欲しいという志がおありだと思いますから、そうした工夫が欲しかったなと思います。
実際私はタコの驚異的な知性がどんなものか知りたくてこの本を読みましたが、他にも色んなことが書いてあるので結局あまり覚えられずでした。要点をまとめたり、ポイントはココ!!という書き方をして欲しかったなあと少し残念です。
著者プロフィール
池田譲の作品
