カタニア先生は,キモい生きものに夢中! その不思議な行動・進化の謎をとく

  • 化学同人 (2022年8月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784759820812

作品紹介・あらすじ

鋭い感覚の鼻をもつホシバナモグラから獲物を麻痺させるデンキウナギまで,生きものたちはユニークで並外れた能力をもっている.本書でカタニア先生は自然界で最も注目すべき「キモい」生きものを面白おかしく,そして魅力的に描く.触手のあるヘビ,小さなトガリネズミ,ゾンビをつくるスズメバチなどの行動の背後にある謎に光を当てる.これらの動物を研究することで,生命がどのように進化してきたかについて,深い洞察が得られるだけでなく,科学的発見がいかにワクワクして冒険と楽しみに満ちたものかを本書で示している.若い人必見の書.動画も二次元コードですぐ見られる.2022 AAAS/Subaru SB&F Prize Winners Announced:YOUNG ADULT SCIENCE BOOK 受賞.

感想・レビュー・書評

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  • 朝起きて、顔からイソギンチャクのようにうねうねした触手が生えていたらどうしよう。

    本書に登場する「キモい生きもの」と呼ばれるホシバナモグラはそんな顔だ。確かにキモい。しかし「キモいと感じる生物がいる」という事実は、この世界が人間に都合よく、人間だけのために存在するものではない事の証明にもなるかも知れない。

    とにかく、キモい触手じゃなくて良かった。私の目鼻は、ヒトという種においては大差のない目鼻だ。我々はその形で生まれ、続いてきた。片方は土の中での世界を把握するために、片方の我々は、開かれた空間を視界で把握するために。更に、匂いを嗅ぎ、空気の振動を感じ、手触りで相手を理解する事もできる。

    キモくない、与えられた贅沢な身体機能。

    キモいかキモくないかは、生存と繁栄に関わる。個体と種のレベルによっても異なり、残酷なことだが、個体間では同じ種でも生殖を拒むようなキモいという感覚を持ち合わせておかねばならない。不衛生でだらしない見た目をそうして拒絶することで、自他にケアできる個体を優先的に選ぶ。キモさは、また、触手や目で感じ取った一次面接としての「安全性」の後の「二次面接」の基準である。

    敵でなければ、餌かも知れない。仲間になれるかも。もしかしたら、生殖相手かも。
    (日本の女が戦争で日本の男に守ってもらわないほうが、敵のもっと「いい男」と出会えるかも by 上野先生の迷言)

    微弱な電場でそれを探る生きものもいる。エコーロケーションのような音波の跳ね返りで知覚する生きものもいる。典型的なヒトの手にある触覚神経繊維の数はおよそ17000本だが、ホシバナモグラの星には、ヒトの爪ひとつくらいの面積に、その6倍の数が密集している。ホシバナモグラは地球上でもっとも高感度かつ高解像度な触覚系をもつ動物かも知れない。

    この世界を、自分なりに知覚する。
    「自分なり」とは人間に与えられた身体機能の常識の範囲内。キモさと魅力を評価するスペクトラムの中で、恋をして、掛け合わせ、多様性を演じていく。

  •  ファーブル昆虫記を思いだしました。奇妙な動物たちの不思議と、そのミステリーが解き明かされるワクワクが楽しかったです。生きものが好きで、研究に関心があるかたにおすすめします。
     ブクログレビューで、jubeさんも書かれていましたが、このタイトルはちょっとどうなんでしょうか?
     原著は『Great Adaptations』(翻訳アプリだと『素晴らしい適応』)「キモい」なんて、本のどこにも書かれていないんです(訳者あとがきを除きます)。主役の動物たちは、一風変わっているかもしれませんが、みなかわいいです。
     わたしは、トンネルから地面に顔をだして、口を開けているモグラが好きです。白い歯並びがきれいだし。

     もう一方の主役は、著者ケネス・カタニアさん。
     生きもの好きで、自然のなかのフィールドワークが得意でありながら、研究室で精度の高い実験もこなします。
     ケネスさんが生物学者になったのはお母さんの影響が大きいようですね。わたしの好きなエピソードは彼の少年時代の大発見にまつわる話です。
     ある日、ケネス少年が森で大発見します。さっそく家に帰ってお母さんに報告。お母さんは、自分の哺乳類フィールド図鑑をかしてあげ、一緒にみて、大発見をサポートします。
     お母さん、クール!わたしも図鑑をサッとだして、大発見をサポートできるおじいになりたいとおもいました。

     生物学の未解決ミステリーが大好きなケネスさんが取り組んだものに、ミミズとモグラのミステリーがあります。
     アメリカにはワームグランダ―という職業があるみたい。かわった方法でミミズを取り、釣りエサとして販売するそうです。
     なぜワームグランディングがうまくいくのか、興味を持ったケネスさんが文献を調べていくと、チャールズ・ダーウィン著『ミミズによる腐植土の形成』の一節をみつけます。
     これでダーウィンの、ミミズとモグラに関する推測を知って、そのミステリーに挑みます。この研究を、モグラの嗅覚に関する研究にまで、内容を広げるとこがすごいです。

     ケネスさんのすばらしさは、偶然を見逃さない観察力にもあるようにおもいます。
     例えば、「動物の感覚システムと行動」の授業につかう動画を撮ろうとデンキウナギを入手します。
     ある日、「ワクと柄が金属製の網」を持ってデンキウナギの水槽に近づくと、見たこともないおかしな行動を目撃。そこからが、ケネスさんのすごいところ。
     ケネスさんが文献を調べていくと、1800年、当時最高の博物学者といわれたフンボルトが記録した、「馬とデンキウナギの戦い」、にいきつきます。これまで、フンボルトの眉唾話と言われていたそうですが、ケネスさんは自分の観察と実験結果から、ことの真偽を明らかにします。
     それをまとめた論文は、『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に掲載されます。わたしはタイトルしかみてないけど、たぶんPNASにふさわしい堂々たる論文だとおもいます。その裏話が読める本書は、ほんとうにすばらしいです。

     この本で紹介されている動物たちは、いずれも捕食者と被捕食者として、食うか食われるのなかで、種を進化させてきた動物たちです。
     ケネスさんは、捕食者と被捕食者の双方の視点で、起きていることを観察して研究を深めています。動物たちの進化のすごさを、研究プロセスも含めて教えてくれたケネスさんには、ほんとに感謝です。

    • けよしさん
      コルベットさん、おはようございます!
      コメントありがとうございます!
      はじめタイトルにちょっとビビりました(笑)

      レビューを読んで...
      コルベットさん、おはようございます!
      コメントありがとうございます!
      はじめタイトルにちょっとビビりました(笑)

      レビューを読んで急にコメント欲?がたかまるときがあります(^^;)
      自分の反応がおもしろく、気づきがあります。
      なので、今後も突然コメントするとおもいますが
      よろしくおねがいします。
      2024/07/05
    • riyumomさん
      <お母さん、クール!わたしも図鑑をサッとだして、大発見をサポートできるおじいになりたいとおもいました。

      なんだかとってもあったかいコメ...
      <お母さん、クール!わたしも図鑑をサッとだして、大発見をサポートできるおじいになりたいとおもいました。

      なんだかとってもあったかいコメントで、ニヤッとしてしまいました。私は昆虫や両生類が苦手なので、そこをサポートできる自信は全くなく、
      「ごめん!他のところで頑張るから!!」
      ということしかできません。

      でも、よき母としての心構えを持つために機会があればぜひ読んでみようと思いました。
      2024/07/05
    • けよしさん
      riyumomさん、こんにちは!

      コメント&フォロー、ありがとうございます!
      お母さん、ちょっとしか書いてないんですよ。
      どんな人...
      riyumomさん、こんにちは!

      コメント&フォロー、ありがとうございます!
      お母さん、ちょっとしか書いてないんですよ。
      どんな人か興味あるんですけど。
      だから、心構えよりも、防護服なんかをおすすめします!
      あとは、防災訓練的なものでしょうか。
      がんばってください(^^)/

      2024/07/05
  • めちゃくちゃ面白かった!
    マッカーサーフェロー受賞している神経科学者で、ホシバナモグラの研究者。内容がわかりやすく、写真、図などが効果的、ところどころにQRコードで動画などにアクセスできる。特に序盤のホシバナモグラの星と脳マップの章はめちゃめちゃ面白い。ホシバナモグラ、ヒゲミズヘビ、ワームグランティング、トウブモグラ、トガリネズミ、ミズベトガリネズミ、デンキウナギ、エメラルドゴキブリバチ。

    ただ、ものすごく難がある
    面白かったが、邦題が酷い。
    とても損をしていると感じる。

    "Great Adaptations"
    Star-nosed Moles, Electric Eels, and Other tails of Evolutions Mysteries Solved
    by Kenneth Catania 2020

    Great Adaptationsがなんでそうなるんよ?なんか、素晴らしく面白い本なのに、ガッカリ感ただようわ(主観)。
    この邦題だと、今流行の読むところ少ない、面白図鑑的な(先日読んだ”毛”ぇのやつ的な)雰囲気。アレを期待した小学生が手にとって、かなり読むのにてこずるのではないかと思う。そして、自然科学に苦手意識を持たれたりすると、ほんと悲しい(どこまでも妄想が進む)。
    そういえば、、私が小学生低学年の頃、『猫と魚の出会い』という文庫本を買って、ものすんごく読むのにてこずった(なんなら当時半分ぐらい理解できてなかった)のを思い出した。食生態の研究書だった。その文庫本、実家に置いてあるんだが、猫と魚のとっても可愛い装丁。今、南米河で検索したら、29980円だった!!さんまんえん!なにそれ怖い。

  • ふむ

  • 神経科学を専門とする研究者が書く生物学のミステリー。不思議な行動やおかしな形の秘密の謎が解ける。

  • 請求記号 480.4/C 26

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