天空の玉座 中国古代帝国の朝政と儀礼 (叢書 歴史学と現在)

渡辺信一郎

• 柏書房 (1996年1月1日発売)

感想・レビュー・書評

[zhangtanさんの感想 · 2005年12月24日]

中国史研究者である渡辺信一郎先生が中国の漢代〜唐にかけての皇帝支配の実態を掘り起こした研究書です。従来の中国古代の政治構造の研究では、「皇帝」の下に形成する官僚機構に焦点があてられてきましたが、渡辺先生はその構造の頂点に君臨する「皇帝」という存在を「最高意志決定システム」として捉え直しています。ただ、この本の一番印象に残った個所は実は「おわりに」でした・・・。唐代の重臣柳公権の晩年の国家祭祀における失態を挙げて著者の心境を知的に皮肉に表現しています。私にもこんなセンスがあったらもっといい文章が書けるのになあ・・・。

著者プロフィール

京都府立大学名誉教授、中国古代史。京都大学大学院文学研究科博士課程単位修得退学。

「2023年 『さまざまな歴史世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」